日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は現地時間の3月28日、米国ニューヨーク州のニューヨーク ジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センターで開催されたNYモーターショーのプレス公開日に新型「アルティマ」を初披露した。
車両発表にあたり、日産のチーフ・パフォーマンス・オフィサーであるホセ ムニョス氏は「新型『アルティマ』は、新型『日産リーフ』と同様に、クルマがエネルギーをどのように使い、どのように走るのか、そして社会とどのようにつながっていくのかということを再定義することで、日産車をより魅力的なクルマにするアプローチ『ニッサン インテリジェント モビリティ』を体現したモデルです。
そして、デザイン、ドライビングフィール、搭載した先進技術やその手頃感によって、セダンセグメントの活性化を目指します」と語っている。
この新型「アルティマ」(2019年モデル)には、5つのグレードが設定されており、今秋、米国の日産ディーラーで販売が開始される予定だ。また、今後数年間で、新型「アルティマ」は世界の各国の市場へ向けてリリースされていく予定としている。
同社が搭載技術として筆頭に挙げているのは、ニッサン インテリジェント モビリティと謳い、同社が位置付けている自動運転技術「プロパイロット」がある。
具体的には、高速道路の単一車線での操舵を含めた車線維持機能の「プロパイロット」が搭載されている。搭載対象のグレードは2019年モデルのSV、SL、Platinumの3つのグレードとなり、渋滞走行と長時間の巡航走行の2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリングのすべてを自動的に制御し、ドライバーの負担を軽減する。
併せて後退時に車両後方の静止した物体を検知し、必要に応じて自動でブレーキを作動させて衝突防止を支援する「リアオートマチックブレーキ(RR-AB)」を搭載。
使い勝手のシステムの仕組みは、低速での後退時に物体を検知すると、表示と警告音でドライバーに報知。それでもドライバーのブレーキ操作が不十分な場合や、衝突するリスクがあると判断した場合には、再度、表示と警告音で報知し、より強いブレーキを作動させるもの。同機能は、SV、SL、Platinumの3つのグレードに標準装備した。
その他、ルームミラー前方のフロントウインドウに取り付けられたカメラが道路脇に表示されている制限速度を検知し、ナビゲーションシステムのデータと組み合わせ、直近の道路の制限速度をディスプレイに表示しドライバーに報知する「トラフィックサインレコグイニション」を装備した。
なお米国に於ける新型「アルティマ」は、米国北部のユーザーニーズに応えるため、4輪駆動システム「インテリジェント4×4」を初採用しました(新型2.5リッターエンジン搭載車に設定)。同社では「インテリジェント4×4」を搭載した4輪駆動モデルが同地域で大きなシェアを占めることを期待していると云う。
パワーユニットのひとつは日本国内製造で、同社が世界初と謳う量産型2.0リッター直列4気筒可変圧縮比ターボエンジン「VCターボ」を搭載。V6ガソリンエンジンと並ぶ動力性能を発揮しながら、4気筒エンジンと同等の低燃費を実現しているとする。
この「VCターボ」エンジンは、ピストンの上死点の位置をシームレスに変化させることが可能となり、圧縮比は8:1(高性能)から14:1(高効率)の間で自在に変えることができる。
運転状況に応じてエンジンの制御ロジックは、自動的に最適な圧縮比を選択。また同技術は、燃料消費量と排出ガスの大幅な削減、騒音や振動レベルの低減を実現はつつ、248馬力・最大トルクは273lb-ft(プレミアムガソリン)の実力を持っている。
さらにテネシー州のデカード工場で生産されている直列4気筒DOHC 2.5リッター直噴エンジンモデルもあり、最大出力、最大トルクは、188馬力、180lb-ftで、エンジン部品の80%以上が、新しい部品もしくは新設計の部品となった。
なお車体デザインについて日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員のアルフォンソ アルバイサ氏は、「日産にとっての最大市場である米国において『アルティマ』は、長年、日産の『顔』となっています。
そのため、私たちは新型『アルティマ』では、そのエクステリアデザインを大きく進化させたいと考えました。そこで、『Vmotion 2.0』のコンセプトカーの着想と要素を反映させて、量産モデルに適用しました。
また新型「アルティマ」は、従来モデルに対し、1.1インチ車高を下げ、全長を1.0インチ長く、車幅を0.9インチ拡大しました。加えてホイールベースを1.9インチ伸長し、リヤホイールをリヤエンドにさらに近く位置させることで、フロントオーバーハングが短くスポーティなたたずまいになっています。よりスリークで洗練されたデザインを実現し、Cd値0.26を実現しています」と語っている。
ちなみに米国に於けるドライバーたちの車両取得は、数年のリース契約によるものが多くを占めている。このため同ショーでは、当地に於ける今後の金利上昇の可能性を視野に、各社、これまで主力だった中型SUVモデルからシフトし、小型SUVモデルの開発・発表に主戦場が移っている。
このためこれまでの稼ぎ頭の一角にあったミッドサイズセダンの販売比率が下落に向かいつつある。そうした折、同社発表の新型「アルティマ」が米国市場に於いて、どれだけの市場占有率を占めるのか、その数字の積み上げには注目が集まることになるだろう。