ポルシェAG、今季限りでWEC・LMP1撤退。軸足をフォーミュラEへ


電気自動車と GT カテゴリーに注力する新たなモータースポーツ戦略を打ち出す

ポルシェ AG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:オリバー・ブルーメ)は 2019 年よりフォーミュラ E に参戦すると発表した。これに伴い、FIA 世界耐久選手権(WEC) の LMP1 カテゴリーからは 2017 年末をもって撤退する。

ポルシェは今後、耐久選手権に関しては911 RSRによるGTカテゴリーのみに注力。

同じくル・マン 24 時間およびWECとアメリカのIMSAウェザーテックス ポーツカーチャンピオンシップと、その他の耐久レースに限り、GTカテゴリーへの参戦を継続していく構え。

この新しいモータースポーツ活動の方針は、同社がミッションEに代表されるピュアEVに注力するとして打ち出した経営方針「ポルシェ ストラテジー2025」に沿ったもの。

ポルシェ AG の研究開発担当役員のミヒャエル・ シュタイナー氏は、「フォーミュラ E へ参戦し、成功を収めることは、我々が目下、開発中のミッション E の論理的な成果と結実しているといえます。

昨今になって、独自に開発したテクノロジー採用の自由度が拡大してきているフォーミュラ Eは、今や非常に魅力的なカテゴリーに育ってきています。

ポルシェは、市販のロードゴーイングカーについても、これまでにない革新的なドライブコンセプトに取り組んでおり、我々は電動車として極限のレベルで争われるフォーミュラE を、環境性能・効率性そして持続可能性を前進させるための最良の競争の場として捉えているのです。

もちろん、これを踏まえ我々は既に、フォーミュラ E 車両を開発するための取り組みを始めています。

一方、ポルシェはGT カテゴリーでの活動も活発化させていきます。これは、多様なマニュファクチュアラーが参戦するWEC並びIMSAに関しては、我々の労力を集中させ甲斐のあるカテゴリーであるからです。

ナンバーワンになるという目標を達成するには、それを達成しようとする意欲と投資が必要であり、高いクオリティを保っている同シリーズのへの注力は、我々の未来に向けての労力・コストを掛けるだけの価値が充分にあります」とコメントした。

さらに「これに対してル・マン 24 時間での3連勝と2015年・2016年のドライバーおよびチームタイトル獲得をはじめとした輝かしい4年間の活動を経て、ポルシェは LMP1 カテゴリーからは撤退します。

しかしヴァイザッハを拠点とするポルシェ ワークスチームは、今季もその手綱を緩めることなく2つの世界タイトルを防衛すべく努力しています。しかし我々のWEC・LMP1への挑戦は、11月18日のバーレーンで幕を閉じます」と語った。

2014 年にポルシェがトップレベルのモータースポーツに復帰する際に中心的な役割を果たした LMP1 担当副社長のフリッツ・エンツインガー氏は、「何もないところからル・マンに向けて チームを作ることは大きなチャレンジでした。

この数年間で、私たちは信じられないほどの成功を収める優れたチームへと成長しました。

これは我々が前へ進むための基礎となります。私はフォーミュラ E でも高いレベルで戦えることを確信しています。モチベーションは高く、新しいチャレンジに興奮しています」と述べている。

なおポルシェでは、ここまでの成功を得ることが出来たワークスドライバーを含めた LMP1 チーム全体を保持していくと云う。

またポルシェは継続参戦するカテゴリーと、フォーミュラEへ集中的な準備を行うため、様々な分野における研究開発について検証を重ねていく予定であるとしている。

ちなみに来季から同社が参戦することになった世界初のフル電動車両によるレースシリーズの「フォーミュラ E」、このレースシリーズは2014年9月13日にスタートした。

フォーミュラ 1 も管轄する FIA は、若者をターゲットとして電気自動車に賛同する意志を示すべくフォーミュラ E を立ち上げた経緯がある。

そんな同カテゴリは、その他の多くのレースと違って、秋に始まり夏に終わる。またレースはより多くの観客を集めるため、大都市の中心部の特設コースで開催される。

そうした電気自動車のレースから生み出された新たなシリーズの定着と、テクノロジーの数々は、今日に於いても特に大都市圏に於いて、モビリティの未来に対して重要な役割を担っている。