ジャガー、同社にとって初の電気自動車フォーミュラカー「I-TYPE」をひっさげモータースポーツ界に復帰
予てよりシングルシーターの電気自動車による世界選手権であるFIAフォーミュラE世界選手権への参戦を表明していたジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社:英国・コベントリー、CEO:ラルフ・スペッツ<Ralf Speth>)は、このほど「チームの正式名称」、「ビジョン」、「タイトル・スポンサー」、「ドライバー・ラインアップ」に加え参戦への展望を発表した。
なおチームの正式名称はパナソニック・ジャガー・レーシングとなる。2016年10月に開幕するフォーミュラE第3シーズンから、ジャガー史上初となる電気自動車のレーシングカー「I-TYPE 1」で参戦する。
チーム・ドライバーには、アダム・キャロル、ミッチ・エバンス、ホーピン・タンを迎え、経験者と若手の双方を揃える
ジャガー・コレクションズ・センターで実施した発表イベントでは、パナソニック・ジャガー・レーシングのリザーブ・ドライバーであるホーピン・タン選手が新型マシン「I-TYPE 1」を運転して登場。
この壇上で、パナソニック・ジャガー・レーシングのチェアマンを務めるガード・マウザー氏が登壇し、電気自動車に対する見方を変え、新しい電気技術の開発と次世代のファン獲得を目指す「Race To Innovate(イノベーションのためのレーシング)」というブランド・コミットメントの概要を説明した。
その後、第3シーズンに於いて「I-TYPE 1」を駆るドライバーとして、アダム・キャロル選手と、ミッチ・エバンス選手を発表・披露した。
先のホーピン・タン選手を含め、この3人のドライバーたちが、世界トップレベルのモータースポーツに復帰するジャガーの先頭に立ち戦う。
国際モータースポーツシーンへの復帰に向け、パナソニックがジャガーがタイトル・パートナーに
さらにジャガーは、パナソニックとのパートナーシップの詳細についても発表した。
先のジャガーと同じく、世界をリードする総合電機メーカーで、自動車技術を有するパナソニックも、このチャンスを受けて電気技術の限界に挑戦する。
また併せてオフィシャル・チーム・パートナーとしてリア・コーポレーションも参加することが発表された。
チーム・チェアマンのガード・マウザー氏は、「本日、ジャガー・レーシングは新しい歴史の幕を開けました。
ジャガーはフォーミュラEに参戦する最初のプレミアム自動車メーカーとして、世界トップレベルのモータースポーツに復帰できることをとても誇りに思います。
未来は変化し続けており、当社もその変化の渦中にいます。都市部で開催されるレースに参戦し、新世代のジャガー・レーシングのファンを魅了することができるのを心待ちにしています。
フォーミュラEは次世代のファンの注目を集めるのに最高のプラットフォームだと確信しています」と述べた。
次世代EV開発におけるレース参戦の役割と、未来の製品ラインアップにおける電気自動車の重要性を強調
これに続いてジャガー・ランドローバーのプロダクト・エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクターである、ニック・ロジャース氏は、「ジャガー・ランドローバーは、9,000名を超えるエンジニアを雇用し、様々な産業分野における企業のなかで、研究開発への投資を推し進めている英国屈指の企業です。
これからの自動車業界は、過去30年間に起きてきたこと以上の変化が今後の5年間で起こると、当社はみています。
フォーミュラEに参戦することで、極限条件下で当社の先進技術のエンジニアリングやテストをすることが可能になります。
我々はフォーミュラEで得る貴重な知識は今後市販車の開発に応用していきます。
ジャガー・ランドローバーは、現在9,000人のエンジニアを雇用していますが、このエンジニアたちが蓄積してきたデータを抽出して活用することで、レーシング業界における電気技術の新境地を打ち立てていくことができると自負しています」と語った。
チームはテスト・プログラムの成功を受け、香港(10/9)での第3シーズン開幕戦でデビュー予定
パナソニック・ジャガー・レーシング・チームのディレクターであるジェームズ・バークレー氏は、「パナソニック・ジャガー・レーシングは、ドニントンパーク・サーキットで終了したフォーミュラEの最終公開テストを含め、21日間にわたるテストを無事に終了しました。
そして本日、このようにパナソニック・ジャガー・レーシング・チームの正式発表を行うことができ、チームにとって、そして私自身にとっても特別な日となりました。
フォーミュラEデビュー戦に向け、この9か月間、チーム全員がベストを尽くしてきてくれました。
アダム、ミッチ、ホーピン、パナソニック、リア・コーポレーション、そして新しいファンの皆様を、ジャガー・ファミリーに迎えることができ、大変嬉しく思います。
私たちは、レースでも、レース以外でも常に勝利を目指しています。
ですが、他の競合チームは私たちより2年も先にレースに参加しているなか、勝利を目指すことは決して簡単ではないことは十分承知していますし、冷静な見通しを持っています。
最終的には、フォーミュラEでの優勝を目指していますが、それだけが目的ではなく、技術革新のためにフォーミュラEで戦うのです。F
IA会長のジャン・トッド氏と彼のチーム、そしてフォーミュラEのアレハンドロ・アガグ氏と彼のチームに、この画期的なシリーズの開催と、ジャガーの参戦に伴うこの12か月におよぶ献身的なサポートに対し、心から感謝を申し上げます」とコメントした。
英国最大の研究開発投資規模を背景に、次世代EV開発のプラットフォーム「Race To Innovate(イノベーションのためのレーシング)」である姿勢を強調
なおパナソニック・ジャガー・レーシング・チームのドライバーは以下の通りだ。
アダム・キャロル:33歳、北アイルランド出身
スピードと実績を兼ね備えたドライバー。これまでカート・レースをはじめ、F3、GP2、A1GP、インディカー、WECで経験を積んできた。パナソニック・ジャガー・レーシングが実施したフォーミュラEの膨大なテスト走行にも、ドライバーとして参加してきた。
アダム・キャロルのコメント
「パナソニック・ジャガー・レーシングのドライバーになれたことは、本当に名誉なことです。
このフォーミュラEが持つ競争力や影響力を理解するには、このシリーズに参戦している他チームのドライバーたちを見るだけで十分わかります。
ジャガーのマシンを運転することは私の夢でもあります。なぜなら、ジャガーはフォーミュラEに参戦する格式高いブランドであり、レーシング界で最も影響力のある自動車メーカーの1社だからです」
ミッチ・エバンス:22歳、ニュージーランド出身
2012年のGP3を含む、数多くのカート・レースやフォーミュラカー・レースでタイトルを獲得し、レースにおける才能が認められている若手ドライバー。
また、2015年のル・マン24時間耐久レースでは、クラス2位でゴールするという快挙を果たした。2016年は、カンポス・レーシング・チームの一員としてGP2シリーズに参戦した。
ミッチ・エバンスのコメント
「フォーミュラEは、ドライバーにとって世界で最も熾烈な戦いが繰り広げられる選手権です。
どのドライバーも、フォーミュラEでレーシングカーの限界を知り、1/10秒という極限に挑戦することの大変さを語っていますが、シーズン開幕がとても楽しみです。
ジャガーは歴史に名を馳せる車を今までに何台も製造しています。ジャガーが生み出す電気自動車の将来に携わることができ、またジャガーがモータースポーツ界に復帰する瞬間に立ち会えることに、今からとても興奮しています。」
ホーピン・タン:33歳、中国出身
F3、A1GP、GP2、WEC、インディカー、そしてF1のテスト走行など、フォーミュラカー・レースでの豊富な実績がある。タンはこれまでフォーミュラEに3レース出走した経験を有しており、その経験をもってチームに貢献する。
ホーピン・タンのコメント
「ジャガーがフォーミュラEへの参戦は大変意義のあることだと思います。
私は実際にフォーミュラEで走行した経験があり、このレースがワクワクするような次世代技術で世界中の都市にいるファンたちをいかに魅了するかを、実際に目にしてきました。
電気自動車の未来と、ジャガーのレース界における活躍に貢献できることを楽しみにしています」
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