電気自動車によるレースシリーズとして、すっかり定着した「FIAフォーミュラE」の世界選手権。この戦いに於いてアウディのステアリングを握ってきたルーカス ディ グラッシ選手が、遂に悲願のシリーズタイトルを獲得した。
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アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長兼CEO:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)が支援するチームABT Schaeffler Audi Sport(チーム アプト シェフラー アウディ スポーツ)のドライバー、ディ グラッシは、モントリオールで開催された第11戦でポール トゥ ウィンからの優勝。
さらに日曜日の最終戦で7位に入ってシリーズを締めくくり、シリーズチャンピオンの栄冠を手にした。
最終戦を前にディ グラッシは、ルノーのドライバー、セバスチャン ブエミに10ポイントの差をつけられた状態でモントリオールに入った。
しかし緊張した面持ちで土曜日のレースに臨んだブエミは、フリー走行でクラッシュを喫し、レースも0ポイントに終わった。
これに対するディ グラッシは、まったくミスを犯さない完璧な走りでポール トゥ ウィンを達成し、ブエミに18ポイント差をつけてランキング首位に立った。
明けて日曜日のレースでは3列目からのスタート。ブエミは予選14番手。対してスタート直後の混乱により、アウディ陣営のディ グラッシとダニエル アプトは、9番手と10番手に順位を落とすも、巧みなエネルギー管理システムにも助けられ、6番手および7番手までポジションを回復してフィニッシュラインを通過。
その結果、チームABT Schaeffler Audi Sportは、チーム部門でも総合2位となった。
フォーミュラEの新チャンピオンに輝いたディ グラッシは興奮気味に、「今日は、これまでのレース人生で最高の1日となりました。
私は、設立当初からフォーミュラEを信じてこれまでやってきました。モータースポーツも含めて、世界は変化しているからです。
3年前、北京でフォーミュラE初優勝を飾り、そしてついに今日タイトルを獲得することができました。
前回のニューヨークでは、強さを発揮することができませんでしたが、今回ABT Sportsline、Schaeffler、そしてAudi Sportは完璧な仕事をしてくれました。
フォーミュラE最高のサーキットであるここモントリオールで、我々は最初からライバルに差をつけることができました」と語った。
ディ グラッシは、フォーミュラEが初開催された年に総合3位、そして昨年は2位となり、ついに今年は世界初の電気自動車によるレースシリーズで3代目のチャンピオンとなった。
これまでの成績は、33レース中6勝を挙げ、表彰台には20回登壇して、遂に今年、最も成功したフォーミュラEドライバーの1人となった。
12レースが開催された2016/2017シーズンにおいて、ディ グラッシは、2回の優勝、3回のポールポジション、7回の表彰台を獲得。ポイントが得られなかったのは、第6戦のパリ・ラウンドのみ。シーズンを振り返ると、コンスタントにポイントを稼いだことがタイトル争いにとって極めて重要だった。
特に見事な逆転劇を演じて2位に入った初戦の香港、圧倒的な強さを見せつけたメキシコでの勝利は、記憶に残るレースとなった。
Audi Motorsport責任者のディーター ガス氏は、「ルーカス ディ グラッシは、フォーミュラEにおいて、現在もっとも優秀なドライバーです。
特に、モントリオールで開催された土曜日のレースは、素晴らしいの一言に尽きます。
ニューヨークの後、多くの人々は、彼が逆転してタイトルを獲得するとは思っていなかったでしょう。しかしディ グラッシは、一瞬たりともあきらめずに、最高のパフォーマンスを発揮するために、チーム全体を鼓舞し続けました」と述べている。
パフォーマンスの面では、ディ グラッシにわずかに及ばなかったダニエル アプトも、モントリオールでは力強い走りを見せて、最高のフィナーレを迎えることができたと云う。
そのダニエル アプトは、「アウディに続いて、BMW、メルセデスベンツ、そしてポルシェが参戦することは、完全な電気自動車によるこの未来志向のレースシリーズが、ますます重要なものになっていることを意味しています。
今年の12月に香港で開催される新しいフォーミュラEシーズンの開幕戦を今から楽しみにしています」とコメントした。
これに対してディグラッシは、「ワークスチームとして参戦する来シーズンは、アウディのモータースポーツ史に新たな章を追加することになるでしょう。
パートナーであるABT及びSchaefflerと共に、ますます競争が激化するこのシリーズにおいて、我々は非常に有利なポジションを確保していると言えるでしょう」と結んでいる。
そんなルーカス ディ グラッシは、8月11日にブラジルのサンパウロで生まれました。
現在は、妻のビアンカと共にモナコに住んでいる。ディ グラッシは、2005年のモナコF3グランプリで優勝した後、テスト&レーシングドライバーとしてF1へステップアップ。
その後、2012年にアウディに移籍して、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。ルマン24時間レースでは、3度の表彰台を獲得。彼は、フォーミュラE設立当初からテストドライバーとして参加し、このレースシリーズの実現に大きく貢献。そして今回、新チャンピオンに輝いたのである。