JAMSTEC、トピー工業株式会社と共同研究。内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に応用していく
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は12月19日、同社が国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC、本部:神奈川県横須賀市夏島町 理事長:平 朝彦)、及び、トピー工業株式会社(本社:東京都品川区大崎、社長:藤井 康雄)と共に実施した、アラウンドビューモニターを装着した遠隔操作無人探査機(Remotely operated vehicle; ROV)試作ユニットの浅海実験に成功した。
この実験は、既に昨年発表している、同社のアラウンドビューモニター技術を、内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題の一つ「次世代海洋資源調査技術」を構成する研究開発課題、「ROVによる高効率海中作業システムの開発」に応用する実験である。
自動運転につながる要素技術であるアラウンドビューモニターは、クルマを真上から見ているかのような映像により周囲の状況を知ることで、駐車を容易に行うことが出来る運転支援技術で、日産が2007年に世界で初めて採用した。
アラウンドビューモニターは、2011年に移動物検知機能を追加する等、その後も進化を続けている。
日産は、JAMSTEC、及びトピー工業と共同で2015年4月から試作ユニットを開発していたが、この度、日本サルヴェージ株式会社が所有するROVにアラウンドビューモニター技術を追加装着し水中実験を実施した結果、ROV自身を任意の視点から客観視する様な立体的な映像をリアルタイムで表示することに成功した。
試作ユニットは水深3000mでの使用が可能で、ジャイロと水中高度計により海底面を探知しアラウンドビューモニターに反映することで、限定的ながらも海中を3Dで表現する。
また、ROVが水中を浮遊して移動する場合でも、船上で操作するオペレーターが瞬時に海底やROVの状態を把握出来る事から、水中作業効率の大幅な改善が見込まれる。
この技術は将来、世界に1000台程度普及している大型ROVへの活用や、窓が小さく視野が極端に狭い有人潜水船の運転支援にも期待されている。今後、関連3者は深海での動作確認を進めると共に、共同開発で培ってきた技術の産業化に向け、引き続き実験を継続していくとしている。
また日産は「自社で開発した技術やノウハウなどを自社での利用のみに留まらず、多くの分野で利用促進する取り組みにより、技術発展に寄与していきたいと考えています。
加えてこれらの無形資産の有効活用によって得られる収入を、新たな技術開発に投資することで自社の技術開発を高めていきます。
自動運転技術は、ドライバーをサポートすることで交通事故の低減を目指し、安心、快適、便利なモビリティを提供し、社会に貢献する事を目的に開発が進められております。
今回の共同開発は、アラウンドビューモニターの技術を通した海洋資源の有効利用による社会への貢献を狙うと共に、自動運転技術開発につながる要素技術開発の一環として、今後も推進してまいります」と結んでいる。