「セントラ NISMO」は、レーシングカーを手掛けるNISMOがモータースポーツの経験を活かしてチューニングを施した米国向け主力モデル
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)傘下の北米日産は、11月18日から27日に開催されているロサンゼルスモーターショーに於いて「セントラ NISMO」2017年モデルを初公開した。
同車は、NISMOチューニングを施したモータースポーツのパフォーマンスを持つ米国向け初の主力モデルとなると云う。当地に於いては、「NISSAN GT-R NISMO」、「370Z NISMO」、「JUKE NISMO」、「JUKE NISMO RS」と並ぶ、NISMOブランドの米国向けラインアップのひとつとしている。
その車両概要は、大胆なエクステリア改良に加え、機能性を重視したインテリアデザインを採用。その上でNISMO専用のサスペンションチューニングを施すなどのディメンションの刷新を行った。これにより、デイリーユースに適したセダンから高性能なマシーンへと変貌を遂げていると云う。
大胆なエクステリア改良に加え、機能性を重視したインテリア、ボディ構造の強化、サスペンションの専用チューニングなど全面的に改良
今回の車両発表にあたって、北米日産の商品企画担当バイス・プレジデントであるMichael Bunce氏は、「『GT-R NISMO』や『370Z NISMO』などのスポーツカーを手がけてきた開発者の手により新型『セントラ NISMO』が生まれました。これによってNISMOブランドのラインアップ拡充を図られています。
彼ら開発陣は、新型『セントラ NISMO』について、単なるビジュアル面の変更だけでなく、ドライビングパフォーマンスを大きく向上させることで、NISMOブランドに相応しい特性をセントラに与えました」と語っている。
この新型「セントラ NISMO」の場合は、2017年モデルの「セントラSR」に初搭載された新型1.6リッター直噴4気筒ターボチャージャー付エンジンをチューニングを施した上で搭載。
アルミニウム合金製DOHC16バルブを持つこの直列4気筒エンジンは、圧縮比10.5:1、連続可変バルブタイミング制御システム(CVTCS)を採用し、シリンダーボアには溶射皮膜のミラーコーティングを施している。
また、可変圧縮オイルポンプと低圧縮EGRシステムを採用することで排ガスの低温化とノッキングも改善。
CVTCSには吸気側に中間ロック機能を搭載し、シリンダーライナーを挿入する代わりにミラーボアコーティングを施すことで、エンジン内部の摩擦を12%軽減した。
これらの結果、ノッキングの抑制力が高まり、エンジンの軽量化を実現。燃料をより正確に燃焼室に噴射させる新型直噴ガソリン(DIG)燃料システムにより、パワー、トルク、燃費を向上させる一方で、ターボチャージャーとインタークーラーにより更なるパワーの増大もを実現。また、吸気および排気の可変タイミング制御により、ローエンドエンジンのレスポンスを改善している。
結果、そのスペックは最高出力188馬力(5,600回転)、最大トルク177 lb-ft(1,600~5,200回転)にまで向上した。
トランスミッションは、6速マニュアルトランスミッションとマニュアルモード付エクストロニックCVTの2タイプ
このエンジン施策に対して、パワーバンドやトルクカーブを最大限に活用できる持つ6速マニュアルトランスミッションと、専用チューンを施した最新型エクストロニックCVTと云う2つのトランスミッションを用意。
なかでもエクストロニックCVTを搭載したモデルは、エンジンパフォーマンスに合わせて特別なチューニングを施した。これは加減速に合わせて回転数を調整、リニアな加速感を実現するDモード・シフトプログラムにより、加速感の向上を実現させている。
併せて開発チームは、車両のハンドリング性能面においても大幅な改良を行い、新型「セントラSRターボ」を凌ぐハンドリングパフォーマンスを引き出した。
同車は、NISMO基準として設定された、ハンドリングレスポンス、グリップ、ステアリングフィール、ボディコントロール、ライド・ハンドリングバランスの5つの重要要素を満たし、北米日産によると新型「セントラ NISMO」は、同車のスポーツグレード「セントラ SR」や「セントラ SRターボ」を大きく凌ぐパフォーマンスと存在感を打ち出すことに成功した。
同車の空力デザインでは、「安定した高速走行と究極のドライビングプレジャーを提供するため、全体的にバランスのとれたチューニングを行う」というNISMOの哲学通りに、空力抵抗値(Cd値)を犠牲にすることなくダウンフォースを増大。
この結果、従来モデルと同様のCd値0.29を維持しながら、揚力を30%低減することに成功。NISMO専用のリヤスポイラーだけでなく、デザインを刷新したリアバンパーも揚力低減に大きく貢献している。
空力性能の向上に加え、NISMOブランドの象徴である「レイヤード・ダブル・ウィング」をフロント、サイドおよびリヤ下部のボディパネルに採用することで、一目でNISMOであることが分かる外観に仕上げた。
なおフロントには、標準規格のLEDデイタイムランニングライト、専用ダーククローム仕上げの「Vモーショングリル」、専用エンブレムも奢られた。
その他、専用のサイドシル、リヤデザイン、スポイラー、エキゾーストフィニッシャー、ダーククローム仕上げのドアハンドル、トランクフィニッシャー、リヤエンブレム、専用レッドライン入り方向指示器搭載型サイドミラーキャップなど、NISMOならではのスタイリング特徴を備えている。
セダンの実用性を維持しながら、モータースポーツのようなワクワクするドライビングを提供
足まわりには、厳選されたミシュランのオールシーズン対応タイヤ「215/45R18パイロットスポーツ」に、NISMOの10本スポークアルミニウム合金ホール組み合わせることで、ハンドリング性能を向上を狙う。
エクステリアカラーは、「ブリリアントシルバー」、「ガンメタリック」、「スーパーブラック」、「アスペンホワイト」の4色から選択可能。
対してインテリアは、サイドの強度を高めNISMOのロゴをあしらったフロントシートなど、エキサイティングなドライビングをサポートするデザインとした。なおリヤシートにもレッドステッチ入りの専用シート素材を使用している。
その他、専用の本革・アルカンターラ巻ステアリング、リング型エンジンスタートボタン、赤い文字盤のタコメーターを特徴とする専用メータークラスター、本革シフトレバー、専用刺繍を施したカーペットなど、インテリア全体にスポーティ感を強調する赤のアクセントを取り入れている。
表面的な部分だけでなく構造自体へのチューニングなどにより、バランスの取れたパフォーマンスを提供
コンパクトな外観に対し、比較的広めの室内空間を持つ同車は、ファクトリーチューンによるボディ補強を施すことで車体構造も大きく強化させた。
具体的にはカウルの厚みを増し、フロアやリヤパーセルシェルフを補強することで、ボディ構造の剛性を高めた。これにより、ステアリング操作に対するレスポンスが向上し、新型エンジンやNISMO専用チューニングを施したサスペンションに最適な車体剛性の確保を目指した。
NISMO専用チューンを実施したストラット式インディペントフロントサスペンションおよびトーションビーム式リヤサスペンションには、モノチューブリヤダンパーと専用チューニングを施したフロントスプリングおよびストラットを採用することで、「セントラ SRターボ」を越えるパフォーマンスを発揮。
軽量構造のモノチューブ式ショックアブソーバーは、オイルとガスを切り離したチャンバーや高圧ガスチャージにより、ダンパーのストローク量や速度変化に対して素早いレスポンスを可能にした。
ダンパーレスポンスを向上させたことで、ステアリングやロードコンディションの変化により素早く対応することができるようになった。また、スプリングやストラットにNISMO専用チューニングを施すことでボディコントロールを向上し、難しいコーナリングをスムーズにこなすと云う。
電動式パワーステアリング(EPS)は、レスポンス特性を特別にチューニングすることで、高速道路やワインディングロードでのフィードバックや、リニアかつダイレクトなステアリングフィールを実現した。
また、「セントラNISMO」専用ホイールとタイヤの組み合わせが全体的なハンドリングパフォーマンスの向上に貢献。新開発されたミシュランのオールシーズン対応タイヤ「215/45ZR18パイロットスポーツ」にNISMO専用18インチアルミ合金ホイールを組み合わせることで、新型「セントラ SRターボ」よりも優れたコーナリング力とグリップレベルを可能にしている。
北米日産では、この新型『セントラNISMO』を手頃な価格でありながら、楽しく運転できるスポーティなクルマを求めているユーザーをターゲットにしていくと述べている。
なお「セントラNISMO」2017年モデルは、メキシコのアグアスカリエンテス工場で、エンジンは横浜工場で生産される予定だ。
エンジン主要諸元(北米仕様)
型式 MR16DDT
種類 DOHC
総排気量 1.6L
最高出力 188 hp @ 5,600 RPM
最大トルク 177 lb-ft @ 1,600 – 5,200 RPM
主要諸元
全長 183.6インチ
全幅(ドアミラー除く) 69.3インチ
全高 58.9インチ
ホイールベース 106.3インチ