トヨタ、ミラノデザインウィーク2016に出展する木製コンセプトカーの全容公開


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トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男、以下、トヨタ)は、4月12日(火)~17日(日)イタリア・ミラノにて開催されるミラノデザインウィーク2016に出展する「木」を用いて具現化したコンセプトカー「SETSUNA」の車両概要を公開した。

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4月12日~17日にイタリア・ミラノで開催されるミラノデザインウィークに出展するコンセプトカー「SETSUNA」は、クルマを新しさだけを追い求める工業製品として捉えたものではないと云う。

愛車と呼ばれ「愛」が付く工業製品として、愛着を持って労り手を掛けて受け継いでいくことで、家族だけの新たな価値のある財(=時間財)になっていくとの考えを具現化したもの。

そんな「SETSUNA」には、このクルマの開発責任者である辻賢治らの想いが至るところに詰め込まれている。

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こだわり その1 家族と時を刻む100年メーター

こだわり その1
家族と時を刻む100年メーター
アルミケースの中の短針は時間(1周=24時間)、長針は月日(1周=365日)、カウンターメーターは年を刻む。

その家族の歴史とともにずっと、ずっと一度も止まることなく、寄り添い、共に歩んでいる時間を示し続ける。

その時間は世代を超えても進み続け、受け継がれた時が価値になり、家族の想いをつなぐことになる。振り返ると永い時間に、一瞬一瞬の家族の思い出が詰まり、なくてはならない家族のようなクルマとなっていく。

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こだわり その2 刹那エンブレム

こだわり その2
刹那エンブレム
「刹那の積み重ね」を円と放射状のデザインによって表現。一秒一秒を刻む時計のようでもあり、刹那に咲く花のようでもあるデザインを採用。家族とクルマが年輪のように持続的に成長していくことを願う。

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こだわり その3 木を用いることでコンセプトを具現化

こだわり その3
木を用いることでコンセプトを具現化
コンセプトである「歳月を経て変わることを愛でる」を具現化する手段として、木を材料として採用。

木は、手を掛けいたわることで色や風合いが変化し、愛情を注いだ分だけ家族へ応えてくれる。これを積み重ね幾世代も受け継いでいくことで、その家族だけのクルマへと変化する。その変化は家族との絆そのものであり、あらゆる思い出を封じ込めたものでもある。

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こだわり その4 用途に応じた木材の選定

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こだわり その4
用途に応じた木材の選定
コンセプトカーとは言えクルマとしての基本である、走る・曲がる・止まるといった性能を装備している。

そのため構成部品でもある木材も適材適所の樹種を選択した。木目の鮮やかさや趣き、材質の柔らかさから、外板は「杉」を採用した。

フレームは、高い剛性を保つ「樺(かば)」、フロアは強度が高く、耐久性に優れた「欅(けやき)」、シートには、木肌がなめらかな「栓(せん)」を使用している。

さらに、SETSUNAは木目の美しさを表現すべく、「杉」の外板は、丸太の中心に向かって切断した柾目(まさめ)、丸太の中心から適度にずらして切断した板目(いため)の2パターンを製作している。

柾目はほぼ平行に、木目が均等にはっきりと並ぶフォーマルな印象を与える一方、板目は木目が柔らかで、1本の木でも同じ木目はなく、趣きのあるフレンドリーな印象を与えてくれる。

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こだわり その5 日本古来の伝統技法「送り蟻」「くさび」

こだわり その5
日本古来の伝統技法「送り蟻」「くさび」
木の接合に釘やネジを使用しない日本古来の伝統技法である「送り蟻」「くさび」などを採用。

外板の着脱を釘などを使わずにできる「送り蟻」は、接合部の強度を高めるばかりか、締結部がすり減ったとしても「蟻ほぞ」「ほぞ穴」を部分的に取り換えることができ、本体に加工することなく使い続けることができる。

フレームの接合部には部品と部品を貫通させた「通しほぞ」に「割りくさび」を用いて締結している。このように手間を掛けて木と木だけで組付ける面白さもSETSUNAは持っている。

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こだわり その6 ボディは取り替え可能な木のパネル

こだわり その6
ボディは取り替え可能な木のパネル
積み重なる想いを表現するためにボディは86枚のパネルで構成する。一枚一枚手でつくられたパネルはつくる時から人の想いが込められ、クルマとなった後、それらは一枚ずつ違った変化をしていく。

そして長い月日の中、どうしても修理しなければならなくなった時には全体を交換するのではなく、その一枚だけを交換することができる。傷つき外されたそのパネルを見ると、かつて手間が掛けられた跡が残っていて、その受け継がれてきた想いを感じることができる。

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こだわり その7 拭き漆

こだわり その7
拭き漆
人が手間暇を掛けて塗った漆。今回は木目を生かすため、ドアミラーやシート、ステアリングホイール、ボディの帯状のラインなどに拭き漆を採用した。

これは塗って重ねていく本漆ではなく、塗っては表面を拭くことを繰り返し、木目に沿って漆が定着し木目と漆のコンビネーションが際立つ。初期の美しさもさることながら、時を経て使い込まれることで濃淡や色合いが変わり、世界にひとつだけの味わいを醸し出す。

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こだわり その8 家族を優しく包み込むシート

こだわり その8
家族を優しく包み込むシート
公園のベンチは木でつくられている。誰をも優しく迎え、包み込むような、そんな柔らかな表情を持つシートをつくりたかった。

「栓(せん)」の木に漆を塗り、身体が主に触れるところには革を張ってある。木も、漆も、革も歳月を経て味わい、深みを増す。二つのシートが歳月とともにいろいろな表情をはなち、家族を優しく包み込み続ける。

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こだわり その9 コントラストを生み出すアルミニウム

こだわり その9
コントラストを生み出すアルミニウム
ホイールキャップやステアリングホイール、シートなどの構成素材にアルミニウムを採用。木々との調和を図り、美しいコントラストを表現している。

木や革だけではなく金属も傷がつき愛着を持てる材料ではないかと考える。様々な材料とその組み合わせから創出される美しさ、それらが変わることを愛でる経年美を味わえる。

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こだわり その10 美しいカーブを描くボディライン

こだわり その10
美しいカーブを描くボディライン
材料の木を時間をかけゆっくりとしならせることで、ボディラインは船のような美しいカーブを描く。

正面からみると七角形を描き、側面や上方からでは、紡錘形を描く。家族が大海原に旅立つような、そんな趣きを醸し出す。

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こだわり その11 クルマとして、そしてクルマであるために。

こだわり その11
クルマとして・・・、そしてクルマであるために・・・。
SETSUNAは実際に走行することができるが、普通のクルマと同様にこのまま公道を走行することはできない。

クルマとして、走ること・操縦することの喜びはコンセプトカーであっても伝えて行きたい。だから、いつか皆さんに試乗いただける日が来ることを心より切望する。

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開発責任者 辻賢治メッセージ
SETSUNAは、幾世代にも亘って家族が「愛」を注ぎ込むことで、そのクルマが他の何にも替え難い価値あるものになっていく、クルマと家族の年輪のような持続的成長を願う、私たちのそんな想いを託したクルマである。

木の魅力を活かしたクルマづくりの開発を進めるにあたり、宮大工・船大工など多くの知見を持った方々に直接お話を伺いに行ったほか、本コンセプトに共感いただいた住友林業(株)様には、木の構造等知識の共有はもとより、木材選択、加工技術・組み付け方法の提案など、早い段階から共同開発に加わっていただいた。

また、木を材料にしながらも、運転フィーリングや乗り心地などクルマとしての基本性能を有するために、試作車を製作し評価していくなど、仲間とともに多くの時間と情熱をかけた。

今回、こうした想いを込めてつくったSETSUNAを出展し、広くご意見を頂くことにより、本コンセプトをさらに昇華させることができると信じている。

また、これらの中で特に共感いただけた考えや想いについては、未来のクルマづくりに織り込んでいけたらと考えている。

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