UDトラックス、旗艦モデルのクオン(Quon)を刷新


UDトラックス株式会社(本社:埼玉県上尾市、代表取締役社長:村上吉弘)は4月11日、同社のフラッグシップ大型トラック「クオン(Quon)」を刷新・同日より発売を開始した。

この新型「クオン(Quon)」は、人間工学に基づく運転・操作系の刷新に加え、電子制御式トランスミッションなど、ハード並びにソフトウエア両面から、より使い易く、よりスムーズさを求めて開発が勧められてきた。

その車両開発にあたっての目標は、5つのテーマが設定されたとしており、まず第1に運転性能の大幅なジャップアップ。第2にGPSの先読み機能などによる燃費・環境性能の改善。

第3に「ベーシックセーフティ」・「アクティブセーフティ」・「パッシブセーフティ」の3つの観点から安全性能を高めた。

これに加え、より効率的な生産性を実現できる資質。車両の稼働率向上にも拘り、これからの時代を担う先駆けになる車両に仕上げたと云う。

今発表にあたり、代表取締役社長の村上吉弘氏は、「UDトラックスは、これまでもそれぞれの時代時代で、次々と革新的な技術を車両という形で商品化し、世に送り出してきました。

しかし、そんな私たちにとっての「革新」とは、単なる技術的な奇抜さや目新しさを意味するものではありません。

私たちの商品やサービスは、経済活動に於ける物流世界の一翼を担う生産財として、お客様や社会に『真の価値』を提供するものでなくてはなならいと思い続けてきました。

今回発表した新型クオンは、お客様のビジネスに全力で貢献するというDNAを受け継ぎ、2004年の発表以来初となるフルモデルチェンジを果たしました。

創業時から私たちUDトラックスは、未来を見据え、新しい技術の導入に挑戦し、常に時代が求めるトラックをご提供し続けて来ました。

今回の車両刷新に於いても近年の規制強化のなか、環境面に関して厳格化された排出ガス規制に単純に適合させるだけではなく、車両としての『価値』を、その性能に反映させることに腐心致しました。

その仕上がりは平素、私たちが掲げ続けて来たブランドプロミス(お客様との約束)“Going the Extra Mile その一歩先へ”を体現したものになったと自負致しております。

現代社会における輸送ソリューションに求められるニーズにお応えするべく、細部にわたり“人を想い”、時代の“先を駆ける“次の時代を担うトラックとして、必ずやご満足頂けるはずです」と述べた。

そんな新型「クオン」の5つの基本性能と、その進化は以下の通り。

運転性能(より使いやすく、よりスムーズに):
人間工学に基づいて操作性や視認性を根本から見直し、ドライバーの使い心地を追求してコックピットを刷新。

電子制御式オートマチックトランスミッション「エスコット・シックス」は、シンプルで使いやすいストレート式のシフトパターンを採用するなど比類ない操作性がさらに進化するとともに、雪道や泥濘地での脱出性も向上した。

また、全車に設定したディスクブレーキは、素早く滑らかに応答し、優れた制動力を発揮。これら装備により新型「クオン」は、すべてのドライバーに快適かつ運転に集中できる運転環境を提供する。

燃費・環境性能 (よりクリーンに、より力強く):
省燃費・パワフル・クリーンを実現する排気量11リッター「GH11エンジン」は、平成28年排出ガス規制に適合すると共に、全車平成27年度重量車燃費基準+5%を達成。低回転域から幅広い回転域で力強いトルクを発生させ、ゆとりある走りを実現する。

さらに「エスコット・シックス」のGPSを駆使した先読み機能「フォアトラック」と、省燃費運転アドバイス機能「燃費コーチ」により省燃費運転をサポートする。

安全性(より安全に、より頼もしく):
ミリ波レーダーに加え、キャブ内に設置されたカメラで前方を二重監視するトラフィックアイブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)や、ドライバーアラートサポート(ふらつき注意喚起装置)をはじめ先進のドライバーサポートシステムを搭載。

また放熱性が高く、耐フェード性にも優れたディスクブレーキを採用した。

こうした数々の先進システムを組み合わせることで、ベーシックセーフティ(運転時の疲労軽減に貢献し、安全運行を支援)・アクティブセーフティ(危険を予測し、ドライバーをサポート)・パッシブセーフティ(被害を最小限に抑える)の3つの観点から安全性能を強化した。

生産性(より多く、より効率的に):
車両全体の軽量化のために各部品の徹底的な見直しを行い、車種によっては200KGの積載性の向上を実現。また荷役性の向上や架装効率、微速後退によるプラットフォームつけのスムーズさも徹底的に追求した。

さらに、「パーフェクトクオン」ではドライウイングのバリエーションを拡大した他、直結冷蔵ウイングを設定。ビジネスに生産性の高い車両として仕上がっている。

稼働率(より長く、より安心に):
新型「クオン」は車両の信頼性と耐久性にさらに磨きをかけている。また定期交換部品の削減や純正部品のロングインターバル化など、メンテナンス性も追求した。

加えて「UD純正整備」、整備契約「UD-TRUST」、最新のテレマティクスサービス「UDインフォメーションサービス」などを含む包括的な「UDエクストラマイルサポート」を提供することにより、常に車両を最良の状態で維持し、稼働率を最大限高めている。

さて以上、13年振りの刷新を果たした新型「クオン(Quon)」。同車登場を契機に、UDトラックスが悲願としてきた大型トラックの販売シェア25%が現実のものになるのか。

貨物輸送の業界では、この数値の行方が話題に挙がっている。実のところ同社は、ここ数年来、同じ数値目標を掲げ続けて来てきたのだが、現実の登録シェアは対目標値でおよそ10ポイント下回っており、残念ながら未達の状況が永らく続いている。

そこでこれを受けて、今車両刷新ではハードウェア領域の刷新だけでなく、ドライバー不足の解消につながる運転環境の改善にも真摯に取り組み、輸送事業にまとわりつく根源的な課題解決に取り組んでいる。果たして同施策が、積年の目標数値達成に繫がるのか、その行方に期待したい。

ちなみにUDトラックスは、包括的な輸送ソリューションを提供する日本発の商用車ブランドである。

その歴史は、1950年5月発足の民生デイゼル工業株式会社にまで遡れるもので、当時、自社設計を経て社会へ送りだしたUD(Uniflow scavenge Diesel)型2ストロークディーゼルエンジンの信頼性を糧に、2000年以降に於いても電気二重層コンデンサを用いたパラレルハイブリッド方式の「キャパシタハイブリッド」技術。

独自の尿素SCR(選択的触媒還元)システム「FLENDS」等を開発するなど、技術面で日本のトラック市場を牽引してきた。そして先の2007年に、同社はボルボ・グループの一員となった。

今日も埼玉県上尾市を本拠に世界60カ国以上で、社会の屋台骨を支える物流市場を担う顧客企業のUltimate Dependability (究極の信頼)を受け継ぐブランドであり続けている。