ル・マン決勝、トヨタ陣営は8号車が10番手グリッドを獲得

2025年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦・第93回ル・マン24時間に於いて6月12日、公式練習の3回目、並びに4回目、更にハイパーポールセッションが行われた。

その結果、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 8号車は、スターティンググリッド10番手からのスタートとなった。

8日(日)のテストデーを皮切りに、4回の公式練習セッションと、予選、ハイパーポールを含む合計16時間の走行を行い、GR010 HYBRIDの2台あわせて420周以上、約5,800kmの距離を走破。

この過酷な準備期間を経て、およそ32万人もの大観衆が見守る中で全クラス計62台が争うル・マンでの6勝目に向けた挑戦の準備が整った。

前日11日(水)の予選でハイパーポールへの進出を決めた、GR010 HYBRID8号車のセバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手は、ハイパーポール1でハートレー選手の素晴らしいアタックによって6番手タイムをマーク。

上位10台がポールポジションを争うハイパーポール2への進出を果たした。しかし、ブエミ選手がアタックを担当したハイパーポール2ではパンクに見舞われ、最終的にスターティンググリッドは10番手となった。

一方、予選で悔しい結果となった小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手のGR010 HYBRID 7号車は、17番手グリッドから14日(土)午後4時に行われる決勝をスタートする。

決勝前の走行最終日となるこの日、予選でトップ15に入ったハイパーカーによるハイパーポールセッションと、それを挟む形での2回の練習走行が行われた。

TGRは、決勝に向けて2台のGR010 HYBRIDを最適化し、勝利を争うチャンスを最大限に高めることを目指した。

公式練習3回目は暖かく好天に恵まれ、タイヤ比較に理想的なコンディションのもと、午後2時45分に開始された。

24時間にわたる決勝では、タイヤの性能を最大限に引き出せるかどうかが重要な要素となるため、この3時間のセッションで8号車が異なるタイヤコンパウンドのテストを行い、7号車はメカニカルなセットアップの分析を進めた。

赤旗による15分の中断があった以外は、トラブルもなく、チームにとって非常に生産的なセッションとなった。

現地時間午後9時5分、GR010 HYBRID 8号車を含む15台のハイパーカーによるハイパーポール1が開始された。

このセッションでの上位10台が、トップ10グリッドを決定するハイパーポール2へと進出する。ミディアムタイヤを装着したハートレー選手の8号車は、セッションの最後にGR010 HYBRIDにとって今季これまでで最速のタイムをマーク、6番手でハイパーポール2進出を決めた。

今季より採用された新たな予選フォーマットでは、2つのハイパーポールセッションは、それぞれ異なるドライバーが担当しなくてはならないため、8号車はブエミ選手がハイパーポール2でのアタックを担った。

日が沈みかける中、アタックラップに入ったが、ミュルサンヌコーナーの進入でグラベルへとコースオフ。この際にタイヤがパンクしてしまったため、スロー走行でピットに戻ったが、再アタックは叶わず、決勝のスターティンググリッドは10番手となった。

最後の練習走行となる公式練習4回目は、暗闇に包まれた午後11時から1時間行われた。

このセッションは、クルマの最終調整や夜間走行時のLEDヘッドライトのテストを行う最後の機会となり、TGRはトラブルなく無事に終了した。

次にコース上で走行するのは、14日(土)正午からの決勝前の短いウォームアップ走行となる。また24時間の決勝は現地時間午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られる。

13日(金)はコース上での走行セッションこそないものの、チームとドライバーはクルマの準備やチェック、レース戦略や手順の確認など、多忙なスケジュールをこなすこととなる。

加えて、午後には伝統のドライバーズパレードがル・マンの市街地で行われ、ドライバーたちはハイラックス水素燃料電池車(FCEV)に乗って、ファンの皆様との交流を楽しむ。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
ル・マンウィークにおいてこの段階まで到達するために尽力してくれたチームに感謝します。2台ともトラブルなく多くの周回をこなせたことは良い兆しです。

全員がクルマから更なるパフォーマンスを引き出すために全力で取り組み、いくつかの改善もできました。我々は最速ではないかもしれませんが、今シーズンこれまでのレースで完璧なレースを戦い続けることで順位を上げられることを証明してきました。決勝が楽しみで、エキサイティングな戦いになるでしょう。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
最後の2つの公式練習セッションで得た成果を最大限活かし、レースでのパフォーマンス向上に集中してきました。深夜にわたる公式練習4回目の最後の瞬間まで試行錯誤を重ねました。

多くの作業をこなし、決勝に向けたクルマの改善でさらに一歩前進できたと思いますし、ナイトランではかなりのスピードが出せると感じています。しかし、ライバルも非常に速そうですので、決勝ではさまざまな局面で厳しい戦いになるでしょう。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
今日の2回の練習走行セッションは、総合的に見て昨日よりもややポジティブだったと思いますし、決勝に向けたクルマの改善に専念できました。

これまでのところ厳しいレースウィークを過ごしていますが、正しい方向に進んでいると感じています。練習走行は終わったので、これから金曜日にすべてを分析し、興奮が高まる24時間レースのスタートまでに充分な睡眠を取る必要があります。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
ブレンドンは素晴らしい走りでハイパーポール2進出を決めてくれましたが、残念ながらハイパーポール2ではアタックができませんでした。

ミュルサンヌコーナーの進入でタイヤをロックさせ、その結果パンクしてしまいました。本当に悔しいです。しかし、予選へ向けた準備は非常に限られていたため、ハイパーポール2が困難になることは予想していました。

決勝は10番手からスタートすることになりましたが、水曜日の予選でのペースを考えれば、それほど悪い結果ではありません。この週末の最優先事項は、決勝でクルマから最大限の性能を引き出すことです。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
ハイパーポール1での自分のアタックにはとても満足しています。最高の手応えでした。全開でここを走れるのは、いつでも嬉しいものです。少なめの燃料と新品タイヤを装着しての全力アタックは、本当に気持ちいいです。

クルマの感触も良好で、パフォーマンスを最大限に引き出せたと思います。1周アタックでの究極のパフォーマンスを出せたわけではありませんが、それは決勝でのペースに重点を置く我々の戦略でもあります。練習走行でのペースは良かったので、決勝に向けて我々の持っているパッケージから最大限の性能を引き出すことに集中します。

平川亮(8号車 ドライバー):
コース上での準備はすべて完了し、決勝に備えています。金曜日は、クルマや決勝でのセットアップ、戦略などを確認する最後の機会です。チャレンジングなレースになると思いますが、チーム一丸となって戦えば、強さを発揮できると信じています。

10番手グリッドからのスタートは、1周目にややリスクがありますが、長時間のレースですし、スタート順位が少し変わっても大きな違いはありません。決勝中に最高の状態を維持することが最も重要であり、レースウィークを通してそれに集中しています。良い準備ができましたし、勝利を争えると思っています。頂点目指して頑張ります。

 

WEC 第4戦 ル・マン24時間 公式練習第3回目結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム

1 5
ジュリアン・アンドラウアー
ミカエル・クリステンセン
マシュー・ジャミネ ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 33 3:24.717

2 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 41 3:25.533

3 12
アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 40 3:25.609

4 51
アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 44 3:25.705

5 83
ロバート・クビサ
イーフェイ・イエ
フィル・ハンソン AFコルセ/
フェラーリ 499P 29 3:26.322

11 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 42 3:27.356

14 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 45 3:27.741
WEC 第4戦 ル・マン24時間 ハイパーポール1結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 ベストタイム

1 311
ジャック・エイトケン
フェリペ・ドルゴビッチ
フレデリック・ベスティ キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:22.742

2 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:23.141

3 20
レネ・ラスト
ロビン・フラインス
シェルドン・ファン・デル・リンデ BMW M TEAM WRT/
BMW M Hybrid V8 3:23.250

4 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 3:23.273

5 36
ジュール・グーノン
フレデリック・マコヴィッキィ
ミック・シューマッハ アルピーヌ・エンデュランス・チーム/
アルピーヌA424 3:23.462

6 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 3:23.546

 

WEC 第4戦 ル・マン24時間 ハイパーポール2結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 ベストタイム

1 12
アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:23.166

2 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:23.333

3 5
ジュリアン・アンドラウアー
ミカエル・クリステンセン
マシュー・ジャミネ ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 3:23.475

4 15
ドリス・バンスール
ラファエル・マルチェッロ
ケビン・マグヌッセン BMW M TEAM WRT/
BMW M Hybrid V8 3:23.659

5 4
フェリペ・ナッセ
ニック・タンディ
パスカル・ウェーレイン ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 3:23.983

10 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID –

 

WEC 第4戦 ル・マン24時間 公式練習第4回目結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム

1 83
ロバート・クビサ
イーフェイ・イエ
フィル・ハンソン AFコルセ/
フェラーリ 499P 10 3:26.523

2 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 12 3:27.456

3 311
ジャック・エイトケン
フェリペ・ドルゴビッチ
フレデリック・ベスティ キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 12 3:27.780

4 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 12 3:27.893

5 6
マット・キャンベル
ケビン・エストレ
ローレンス・バンスール ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 15 3:27.919

9 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 14 3:28.332

12 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 15 3:28.679
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