信州大学、社有車の有効活用するカーシェアリング実証を今秋開始

信州大学発のスタートアップTRILL.(トリル/本社:長野県長野市、代表取締役:藤森研伍)は6月16日、国土交通省が推進する地域交通DX事業として、長野県内で夜間・休日等の稼働していない時間に法人・個人所有車両を活用するカーシェアサービス「OURCAR (アワカ)」を用いた実証実験を今年10月1日より開始する。

この取り組みにより、公共交通が不足するエリアに非対面かつ低価格で利用できる移動手段を提供し、住民や来訪者の利便性向上を図る。

TRILL.がこのプロジェクトの実施に至った背景には、近年、人手不足や人口減少を背景に、多くの地域で公共交通の減便や廃止が進み、住民の公共交通移動が困難となる「交通空白」が深刻な課題となっていることがある。

この状況は、長野県も例外ではなく長野県が平成31年(2019年)実施「交通に係る県民等意識調査報告書 第1章県民アンケート調査」「自由に移動できる交通手段がないために困ることの有無」等の県内全体平均を踏まえると県民の16.2%が自由に移動できる交通手段がなく困っており、移動の自由が制限されることで、地域の活力が低下するといった社会的な問題が生じているという。

一方で、法人や個人が所有する多くの車両は、十分に活用されていない。自家用車の稼働率は4.2%程度(1日単位で毎日1時間の利用とすると、1÷24=0.042となり、稼働率は4.2%。週末利用のみであれば稼働率は1~2%程度)と非常に低い。

にも関わらず、1台あたり月平均で36,116円もの維持費(軽自動車で月額約39,500円、小型自動車で月額約48,000円、普通自動車で月額約53,800円。当データには、税金、保険料、駐車場代、ガソリン代などが含まれる)が掛かっている。

このように、地域には「移動したい」という強いニーズがある一方で、「活用されていない車」も多く存在する。こうした両者のマッチングが進んでいない現状は、個人が車を保有せざるを得ない状況を生み出し、社会全体にとっても大きな経済的負担となっている。

そこで今回は、こうした地域課題に対応するべく、国土交通省の「地域交通DXプロジェクト」の一環として官民が連携し、「カーシェアリングによる地域の法人車両活用プロジェクト」を推進していく。

そんな当該プロジェクトに於いてTRILL.は、個人・法人の自家用車やレンタカーを、24時間いつでも無人で貸し借りできるカーシェアリングプラットフォームサービス「OURCAR」のスキームを基盤とし、夜間や休日に活用されていない法人車両を、地域住民や来訪者などが利用できる新たなシェアリングサービスとして展開していきたい考えだ。

実証エリア:
長野県長野市・松本市・上田市および「交通空白」の課題を抱える地域
実証実験開始期日:
2025年10月1日(車両の登録・公開、現在受付中)
対象車両:
・法人が所有または利用する車両(営業車、社用車など)
・国や地方公共団体が所有または利用する車両(公用車)
・個人が所有または利用する車両(乗用車)

プロジェクト目標は以下の通り

1.維持費用の負担軽減
「使用していない時間のある車両」を有効活用し、車両保有・利用に伴う経済的負担の軽減。

2.長野県内での移動利便性向上・地域活性化への貢献
– 長野市・松本市の既存サービスエリアに加え、これまで事業としての経済性が成立せず、既存の交通事業者がサービスを提供できなかった地域にも展開することで、地域全体の移動手段を確保。

– 多様な車種をいつでもリーズナブルに利用できる環境提供による、移動の自由度と質の向上。

– 移動の利便性が高まることによる、観光客やビジネス利用者の行動範囲拡大と、地域内周遊の促進。これに伴う宿泊、飲食、買い物といった新たな消費機会の創出と、地域経済全体への貢献。

– 上記の取り組みを通して、新たな移動の選択肢が「交通空白」解消の有効なモデルとなり得るか、その可能性を検証。

関係者のコメントは以下の通り

<株式会社TRILL. 代表取締役社長 藤森研伍氏>
『「移動」という人の根源的な活動を、資本主義の限界を超えて、相互扶助を通してどんな場所でもより自由に気軽に行えるようにする』そんな仕組みが実現するのかという大きなビジョンを本実証で確認したいと考えています。

もともと人間がコミュニティー単位で行っていた「助け合い」を、肌触りを残したままDXすることでより便利で温もりのある価値を創出したいと考えています。

この実証を通して証明するものは、きっとこれからの日本の「移動」の課題を解決し、人間らしい優しさで社会を変革していく大きな一つの可能性になると考えています。

ここ長野から全国、さらには海外にも展開していけるよう取り組んで参りますので、まずはこのような機会にある長野県内の車両を持っている法人の方々(もちろん個人の方も)にはぜひ可能性を信じてご一緒いただければ幸いです。

<合同会社veranico 代表社員 馬場 光氏>
このたび、TRILL.社が提供する「OURCAR」が国土交通省の「地域交通DX」プロジェクトに採択されたことを大変嬉しく思っております。

夜間や休日など、地域の法人が保有する車両が遊休化している状況に着目し、これらを来訪者や地域の方々にシェアする新たなカーシェアリングサービスは、地域の移動課題を解決する大きな可能性を秘めていると確信しております。

弊社といたしましても、これまでカーシェアリング分野で培ってきた知見を活かし、「OURCAR」の運用を全力でサポートしてまいります。

撮影 森裕一朗

OURCARとは?
「OURCAR」は、”信州大学発スタートアップ”株式会社TRILL.が提供する、法人・自治体・個人の車両(共同使用契約)とレンタカー(有償貸渡)の双方を貸し出しすることのできる新しいカーシェアリングの総合プラットフォームを指す。

※共同使用契約: 一台の車を複数の人が一緒に使うための仕組みです。自動車の使用および管理・点検に関する実質的な権限と責任を分担するメンバー全員で明確に分け合うことを前提としている。

※ 有償貸渡制度: 事業者が国の許可を得て、多数の利用者に有料で車を貸し出す、一般的な「レンタカー」の仕組みです。※6 料金は車両によって変わる。

利用方法
専用のWebアプリケーションを使用し、貸出は全て非対面で完結。
24時間いつでも手軽に車を検索・予約・利用可能。
Webアプリケーションにて車両の貸出登録。
料金:30分200円から
現在の実績
登録車両台数:40台
登録ユーザー数:1,057人 を突破
平均的な維持費削減額: 年間 約12万円(※7)

参加者の声
「近所で車を借りられるようになったおかげで、これまで電車では行きにくかった場所への遠出も、気軽にできるようになりました。」(松本市在住・信州大学 S様)

「車両が稼働しない時間を気軽に貸し出せるので、新たな収益に繋がっています。また、私たちの車が学生さんなど車を所有していない方々の移動手段となり、地域に貢献できていることが嬉しいです。」(長野市在住 須田様)

今後の展望
1.「地域交通DX成功モデル」としての全国展開
本実証によって、「地域交通DXの先行事例」を確立し、同様の課題を抱える全国の他地域へ横展開することで、日本の地域交通全体の活性化を目指す。

2.インバウンド需要への対応と限定地域の移動支援
増加が見込まれるインバウンド観光客の移動ニーズに対応すると共に、人口の少ない地域や交通手段が限られるエリアでも、誰もが自由に車を利用できる環境を目指す。

3.持続可能な社会への貢献
カーシェアリングによって車両利用の最適化を推進し、個人の自動車利用と社会全体の車両保有のあり方を変革する。これにより、CO2排出量や維持コストといった社会的負荷の継続的な低減を目指す。

4.地域全体で支え合う、新しい車両共有社会の実現
経済的採算性に左右されることなく、地域に存在する車両を、その地域の住民や訪問者が共同で主体的に維持管理しながら活用し合う、新しい所有と利用のあり方を社会に根付かせ、真に持続可能で効率的なモビリティ社会を実現させていく。

会社概要
会社名:株式会社TRILL.
設立:2023年1月
代表取締役:藤森研伍
本社所在地:長野県長野市風間2034-17
事業内容:カーシェアサービス「OURCAR(アワカ)」の運営
HP:https://ad.ourcar.app/webmediaAd

車両提供に関する問合せ
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