2025年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦・第93回ル・マン24時間の決勝もスタートから3分の2にあたる16時間が経過、長い夜を越え、朝を迎えた。
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台のGR010 HYBRIDのうち、セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手の8号車は、10番手グリッドから順調に順位を上げて首位争いに追いつき、16時間経過時点では6位を走行。
一方、小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手の7号車は、トップ10に入っていたが、ピットストップタイミングの影響もあり、この時点では11位に位置している。
8号車は10番手グリッドからスタートし、最初の1時間でトップ6に浮上。7号車は16位スタートし、1周目に接触してダメージを負ったが、トップ10圏内に近づくことができた。
しかし、6時間を前にピットレーンでのスピード違反により50秒のストップ・アンド・ゴー・ペナルティを受け、大きく順位を落とした。
スタート後、再びコンウェイ選手が7号車は17位でドライブし、夜間走行に入ると8号車も6位でブエミ選手がステアリングを握った。
燃料やタイヤの戦略、様々なペナルティなどによりポジションや車両間ギャップが変動する中、ブエミ選手はソフトタイヤで安定したペースを保ち、トップ争いに迫った。
9時間を目前に、フェラーリ50号車との4位争いを繰り広げ、その後ハートレー選手にドライバーチェンジ。7号車は小林選手に交代し、16位で復帰すると、ポルシェ99号車をかわして15位に浮上した。
10時間を過ぎたところで、8号車は平川選手、7号車はデ・フリース選手へドライバーを交代。その数分後にLMP2車両のアクシデントによりセーフティカーが導入され、ライバルたちがピットイン。
このタイミングで2台のGR010 HYBRIDは順位を上げ、レースが折り返しとなる12時間を経過した頃には、平川選手の8号車が2位、デ・フリース選手の7号車が12位で、首位とはわずか40秒差の位置に並んだ。
全力で戦い続ける2台のGR010 HYBRIDは、共に自身の最速ラップを更新するペースで周回を重ねた。
8号車の平川選手は次のピットストップで、順位を争うポルシェ6号車がタイヤを交換したため、一時的に首位に浮上。
7号車もデ・フリース選手がトップ10に入った。タイヤを交換しないまま走行を続けた8号車の平川選手は、勇敢な走りでフェラーリ83号車からの猛追をしのいだが、13時間経過前にかわされて2位に後退した。
次のピットでは、平川選手の8号車がタイヤを交換したが、ライバル勢は無交換だったため8号車は5位へと後退。
デ・フリース選手はその時点で全体最速ラップタイムを刻む猛プッシュでキャデラック38号車をかわして8位に浮上した。
その1時間後、8号車は5位でブエミ選手に、7号車は8位でコンウェイ選手へとドライバー交代した。
15時間を経過し、8号車のブエミ選手は表彰台を争うべくフェラーリ50号車とのバトルを展開。そして、16時間を目前に2台共にドライバー交代を行い、8号車はハートレー選手、7号車は小林選手がドライブしている。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
これまでのところ、我々にとっては波乱のレースになっています。ダメージを負ったクルマで走り続けている中、ピットリミッターのミスで非常に厳しいペナルティを受けました。
しかし、私の3スティントはとても速かったです。セーフティカーからの再スタート時には遅いクルマに阻まれることもありましたが、それでもいくつかポジションを取り戻すチャンスがありました。クルマの調子もペースもとても満足しています。まだまだレースは長いので、これからもプッシュを続けます。
平川亮(8号車 ドライバー):
今回のセーフティカーの導入によって、全車がほぼゼロにリセットされました。これが我々にとって良いタイミングとなり、一時的に首位に立つことができました。
ペースの面では、我々は最速ではありませんが、上位を争うには十分な速さがあります。勝利には運も必要ですが、これまでのところ順調です。まだレースは続いているので、集中を切らさずに戦い続けます。
WEC 第4戦ル・マン24時間 16時間経過時順位(※)
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
1 51
アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 257
2 83
ロバート・クビサ
イーフェイ・イエ
フィル・ハンソン AFコルセ/
フェラーリ 499P 257 8.063
3 12
アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 257 1:47.263
4 6
マット・キャンベル
ケビン・エストレ
ローレンス・バンスール ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 257 1:49.296
5 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 257 2:20.639
6 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 257 2:27.794
11 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 256 1 Lap
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