マレリHD、米国連邦倒産法第11章に基づく再建手続を申請

自動車部品大手のマレリホールディングス( 旧カルソニックカンセイの合流企業/本社:さいたま市北区、社長兼CEO:ディビット・スランプ )は6月11日、米連邦破産法11条(チャプター11 ・日本の民事再生法に相当)の適用申請を発表した。

同社は、予てより主要取引先の日産自動車やステランティスの事業不振を受けて経営難に陥り、金融機関との債務減免に係る調整も難航したことから、事業を継続しながら負債を整理し再建を目指す手段を採った。

負債は約6500億円。なお同社は2022年に約1兆2千億円の負債を抱えて経営破綻し民事再生法の適用を東京地裁に申請。金融機関が総額約4500億円の債権放棄による金融支援を行った。今回は、投資ファンドの傘下で再建途上であったのだが3年で2度の経営破綻となった。

なお今回、民事再生法ではなく米連邦破産法11条を選んだ背景には、債権者による担保回収から資産が守られ、事業を継続しながらの再建の可能性を模索したことによるものと考えられる。今後は、裁判所がマレリの資産を保全した上で新たなスポンサーを探す。

一方でマレリホールディングスでは、既に約80%の債権者が再編を支援する契約(再建支援契約)に署名しており、これにより自社のバランスシートをデレバレッジし流動性は強化されるとしている。

また今後、顧客、サプライヤー、パートナーと緊密に協力し、将来の自動車の発展に向け、モビリティを変革する先進技術のポートフォリオの革新と投資に取り組んでいくとした。

マレリのディビット・スランプ社長兼CEO(David Slump)は、「マレリでは、大切なお客様、パートナー、従業員に長期的な利益を提供し続けることができるよう財務基盤の強化を図るために必要な手立てを積極的に講じてきました。

直近の業績と収益性では一定の成果を挙げられた一方、業界全体の市場圧力により、運転資金の一時的なギャップが生じており、これに対処する必要があります。

本日の発表は、当社の経営戦略を踏まえた選択肢を慎重に検討した結果、債務を株式に振り替えることがマレリのバランスシートを強化しつつ、これまで通り事業運営を継続するための最善の道であると判断しました。

今回の決断により、未来の自動車を形作る先進技術を確実に提供することに於いて、世界中のお客様やパートナーが引き続きマレリに信頼できることを保証するものです。

マレリのイノベーション、デジタル化、テクノロジーに対する取り組みは、以前にもまして強まっています。私たちは、当該プロセスを進める中で、お客様、サプライヤーやビジネスパートナーに期待されるようなサービスをこれまで通り提供して参ります。

また最良のサービスを提供することに集中し続ける従業員の努力と献身にも感謝します。

本プロセスを円滑に進めるため、当社は債権者より11億ドルの DIPファイナンス融資のコミットメントを取得しています。

なお裁判所の承認が得られれば、DIP ファイナンスおよび当社の継続的な事業から生じるキャッシュフローにより、チャプター11 の手続期間中、十分な流動性が確保される見込みです。

DIP ファイナンスに加え、再建支援契約では包括的なデレバレッジ取引が規定されており、DIP 債権者は45日間のオーバビット手続に従い、チャプター11 の適用解除経て事業の所有権を取得します。そうしたなかでマレリは、米国連邦倒産法第 11 章手続中における事業継続を目的とした First Day Motion を複数提出しました。

これには、従業員の給与・福利厚生の支払いの継続、顧客関係維持に不可欠なプログラムの継続への支払いが含まれます。

当社はこれらの請求に関する裁判所の承認を取得する見込みであり、チャプター11 申請後も、サプライヤーに対する商品およびサービスの提供に対する支払義務を慣例的な条件に従って履行するなど、主要な利害関係者に対する義務を引き続き履行する予定です。

チャプター11 申請前に発生した債務については、お客様、サプライヤーやビジネスパートナーと協議し、支払条件に関する合意に達するよう努めてまいります」とリリース上に於いて説明している。