ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)の919ハイブリッドは、ル・マン24時間レースにおいて、真夜中からトヨタと優勝を賭けた激しい一騎打ちを展開したが、誰も予想しなかったエンディングを迎えることになった。
レースもいよいよ最終ラップ目前になり、誰もがトヨタの勝利を確信していたが、そのトヨタTS050ハイブリッドにトラブルが発生しコース上でストップした。
そして263,000人の大観衆の前で最初にチェッカーフラッグを受けたのは、ロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組のカーナンバー2のポルシェ919ハイブリッドとなった。このトリオは、2014年にブラジルで919ハイブリッドを初優勝に導いたメンバーでもある。
世界で最も過酷な自動車レースであるル・マンにおいてポルシェが18回目の総合優勝を果たした。
最多優勝記録保持者であり、タイトルディフェンダーでもあるポルシェ本社には、2年連続で勝利の証であるトロフィーが飾られることとなる。
2015年には、アール・バンバー(ニュージーランド)/ニコ・ヒュルケンベルグ(ドイツ)/ニック・タンディ(イギリス)組がドライブするポルシェ919ハイブリッドが優勝を果たしており、ポルシェはル・マンにおいて1970年6月14日にハンス・ヘルマン/リチャード・アトウッド組が917 KHクーペで初優勝している。
現世界耐久選手権王者であるティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組がドライブしたカーナンバー1のもう1台のポルシェ919ハイブリッドは、夜間に長いピットストップを行って一旦、下位に脱落したものの、その後の巻き返しによって総合13位でフィニッシュした。これは、LMP1クラスでは5位の結果となった。
今回のル・マンでは、ポルシェはFIA世界耐久選手権(WEC)のマニュファクチュアラー部門で合計71ポイントを獲得。
ル・マン24時間レースでは、6時間で競われる他の8戦の倍のポイントが与えられる。この結果、ポルシェは127ポイントでアウディ(95ポイント)とトヨタ(79ポイント)を大きくリードした。
また、ドライバー部門では、デュマ/ジャニ/リーブが合計94ポイントで、2位に39ポイント差をつけている。
日曜昼以降のポルシェのレース展開:
カーナンバー2のポルシェ919ハイブリッドではマルク・リーブが4連続スティントで強さを発揮し、時折レースをリードした。
日曜日の11時50分、331周の終了後ニール・ジャニにクルマを渡す。ジャニは345周、359周および373周を終了した時点で給油を行った。
381周を終えて、彼はスローパンクのためピットインしなければならず、レース終盤では最高でも2位フィニッシュになるであろうと思われるレースを消化していた。
しかし、最終ラップに入る前に、トップのトヨタがコース上で停止し、結果、919ハイブリッドが優勝した。
一方、カーナンバー1の919ハイブリッドは、序盤レースをリードしていたが、23時13分にポンプの故障および損傷により39周遅れとなった。
285周を周回した11時20分、車両はマーク・ウェバーに託される。ウェバーは、298周および311周で給油を行い、324周を終えて、ウェバーはティモ・ベルンハルトと交代し、ベルンハルトは337周で少量の給油のために短時間の最終ピットストップを行った後、346周、総合13位でレースを完走した。
レース後のコメント
フリッツ・エンツィンガー(LMP1担当副社長):「まず、今回のレースでトヨタが見せた感動的なパフォーマンスに対して敬意を払いたいと思います。
彼らとは素晴らしい戦いができました。フィニッシュ直前まで、私達は2位になるだろうと思っていましたが、突然にル・マン2連勝を獲得することになりました。
ヴァイザッハのすばらしいチーム、ここル・マンのチーム、そしてポルシェの従業員全員およびファンの皆様のサポートに感謝しています」。
アンドレア・ザイドル(チーム監督):「まず、ケルンの仲間であり友人であるトヨタの無念をお察しします。
このような偉大なレースでの優勝を最終ラップで逃すことは、どんなに手強いライバルにも起こって欲しくないことです。しかし、モータースポーツでは最後まで何が起きるかわかりません。
これこそ私達がこのスポーツを愛して止まない理由でもあります。激しい戦いの末に得た勝利です。
私達は、トヨタにプレッシャーをかけ続け、レース全体を通じて全力を出し切りました。また、ドライバー達もよく頑張りました。
トップの入れ替わりが激しいレースでもありました。919ハイブリッドの開発と準備を開始して以来、私達は常に強力なパフォーマンスを発揮してきました。
これは、レースチームだけではなく、ヴァイザッハの同僚達にも言えることです。
カーナンバー2のクルー達の歓びも、カーナンバー1のメンバーの悔しさも、私にはどちらもよくわかります。トラブルと長い修理がなければ、カーナンバー1も優勝争いに加わっていたでしょう。
ル・マンでの勝利はシーズンのハイライトであり、私達がわずか3年目にして2連勝を達成できたのは信じ難いことです。今、私達は希望に満ちています。ここで、沢山のポイントを稼ぐことができたので、2つのタイトル防衛を目指します」。
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーのコメント
ティモ・ベルンハルト(35歳、ドイツ):
(参戦数9戦:2010年総合優勝、2015年総合2位、2002年GTクラス優勝)
「カーナンバー2とポルシェ チームに祝辞を贈ります。彼らにはその十分な資格がありました。24時間にわたって勝利のために戦い、最後は接戦でした。
トヨタチームの皆さんは残念でした。あのような形での敗退は残酷です。私達も不運で、マーク、ブレンドン、そしてクルー達も悔しい思いをしています。
クルーは、粘り強く919ハイブリッドの修理に取り組み、走れる状態にしてくれました。今年は不運に見舞われましたが、乗り越えるしかありません。
クルマは本当に速く、トップグループのスピードにも簡単についていくことができました。
少なくともポルシェのためにマニュファクチュアラー部門のポイントを稼ぐことができたのは幸いでした。来年、また私達はここに戻ってきます。私は決して諦めず、ポルシェでル・マン優勝を目指します」。
ブレンドン・ハートレー(26歳、ニュージーランド):
(参戦数4戦: 2015年総合2位)
「それぞれの最終スティントでは、ポイントを獲得するために各ドライバーが走行する時間を確保することが重要でした。
私達のクルマのフィーリングはすごくよかっただけに、前半のトラブルが悔やまれます。しかし、チームの全員が闘志を燃やし、カーナンバー2の幸運を祈りました」。
マーク・ウェバー(39歳、オーストラリア):
(参戦数4戦: 2015年総合2位)
「私はチームとあそこまでの頑張を見せたメカニック達を強く誇りに思います。またポルシェでル・マンに参戦できたのは名誉あることです。今日はウォーターポンプのトラブルで運がありませんでした。
これは重大なトラブルで、大きくタイムをロスしました。しかし、ティモとブレンドンは素晴らしいドライビングをしてくれました。
最後は、私達はカーナンバー2のために祈り、そしてもちろん私はチームメイト達とポルシェの勝利を喜んでいます。今日トヨタに起こったことは受け入れ難く、残念なことです」。
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー2)のドライバーのコメント
ロマン・デュマ(35歳、フランス):
(参戦数15戦:2010年総合優勝、2007年総合3位、2015年総合5位、2013年GTEクラス優勝)
「トヨタは残念でした。素晴らしいレースでした。しかし、ル・マンで勝てるチャンスが与えられれば、もちろん断ることはありません。
今すぐには、何が起こったかを消化することはできません。今シーズンは、レギュレーション変更のため、ラップタイムはわずかに遅くなりました」。
ニール・ジャニ(32歳、スイス):
(参戦数7戦: 2015年予選周回タイム新記録、決勝総合5位)
「トヨタのドライバー達の気持ちを考えると悲しくなります。レーシングドライバーであれば誰でも、それがどのようなものか痛いほどわかると思います。
ル・マン24時間での優勝をまだ言葉で表現することはできません。夢を見ているような感じです。
それでも、私達はほとんどミスをすることなくクルマを限界までプッシュし、非常によいレースをしたと思います。この勝利は、本当に特別なものです」。
マルク・リーブ(35歳、ドイツ):
(参戦数10戦: 2015年総合5位、2013年GTE/2010年GT2/2005年GTクラス優勝)
「トラフィックと減速ゾーンで、まったく簡単なレースではありませんでした。私が行った4連続スティントは、限界ギリギリでした。
最初の3回のスティントでさえ、トラフィックでのオーバーテークや、リスクを冒したりと、非常に難しいものでした。そして、最後のスティントでは燃料を節約しなければならず、特に性能が低下し始めたフロントタイヤも労らなければなりませんでした。
私は全力を尽くしました。今日起こったすべての出来事を消化するのは、これからです」。
<問い合わせ先>
ポルシェ カスタマーケアセンター 0120-846-911
ポルシェ ホームページ http://www.porsche.com/japan/
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