無限、2016年マン島TTレース参戦EV車両「神電 伍(SHINDEN GO)」発表


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自動車レース車両のトップコンストラクターであり、モデファイドパーツなどを開発・製造している「無限」(株式会社M-TEC、本社:埼玉県朝霞市、代表取締役:橋本朋幸、以下、無限)は、先に東京ビッグサイトで開催された国内最大級のモーターサイクルのビッグイベント「第43回東京モーターサイクルショー(2016年3月25日・金、26日・土、27日・日)に於いて、3月25日の午後、今年度マン島TTレースに参戦する新型マシン「神電 伍(SHINDEN GO)を発表した。

本年のマシンは過去4年間の実戦で得たノウハウを基に、バッテリーシステムやモーター、フレーム、スイングアーム等、全てを新開発した。

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神電 伍(SHINDEN GO)

上記は2015 TTマン島レース TT ゼロチャレンジクラスにおいて、2年連続の1-2フィニッシュを達成した無限・神電四の決勝オンボード映像である。

動力系は、バッテリー、モーターの出力向上に合わせ、冷却性能を高めることで更なる高出力化を実現。

車体は軽量化と剛性の向上及び、空力性能の向上を図るため、フレーム形状をスリムなモノコックフレームとし、フレーム内にバッテリーを収めた。

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神電 伍(SHINDEN GO)

また、運動性能の向上を狙い、大容量バッテリーの集中積載を実現するため、リアサスペンションは新開発のクロスリンクロッカー方式を採用している。

ライダーには、マン島TTレース通算優勝回数23回、昨年のTT ゼロチャレンジクラスとシニアTTクラス優勝、更にマン島TTマウンテンコースのコースレコード(タイム17分03秒567、平均時速132.701mph=213.516km/h)更新を達成したジョン・マクギネス選手と、昨年スーパーバイククラス優勝と、通算優勝回数10回を達成したブルース・アンスティ選手の2人を本年も継続して起用し、3連覇を目指す。

参戦体制
– チーム名TEAM 無限(TEAM MUGEN)

ライダー
– ジョン・マクギネス(John McGuinness)
– ブルース・アンスティ(Bruce Anstey)
– マシン神電 伍(SHINDEN GO)

– 代表:勝間田 聡
(Satoshi Katsumata)

– 監督:宮田 明広
(Akihiro Miyata)

■主要諸元
・車両名:神電 伍(SHINDEN GO)
・全長/全幅/全高(mm):2,125/680/1,130
・最低地上高(mm):130
・シート高(mm):810
・車両重量(kg):250
・タイヤ(前):120/70ZR17M/C(58W)
・タイヤ(後):200/55ZR17M/C(78W)
・フレーム:CFRP製モノコックフレーム
・モーター形式:油冷式三相ブラシレスモーター
・最高出力(kW[PS]):120[163.2]
・最大トルク(N・m[kgf・m]):210[21.4]
・バッテリー仕様:ラミネート形リチウムイオンバッテリー
・バッテリー出力(V):370以上

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神電テスト1回目(3月8日に筑波でテスト走行を実施)
場所:筑波サーキット

筑波サーキットで神電伍のシェイクダウンテストを行った。いよいよ今年もマン島TTレースに向けて始動する。前日の雨で路面は少し濡れていたがテストを始める頃には完全に乾き、暖かな気温で絶好のコンディションとなった。

今回のテストはオフシーズンに新しく開発してきたパーツを組み込んで動作を確認することがメインだ。

テストは少し走っては確認を繰り返しながら周回数を増やしていったが、突然モーター付近から異音がしたためマシンをピットに止めた。概ねテスト項目は消化していたためテストはそこで終了した。

宮田監督へのインタビュー
Q:新しい神電 伍は神電 四と比べてどこが変わったのでしょうか?
A:ほとんどすべて変えました。バッテリー、モーター、インバーターのEVシステムとCFRPフレーム、CFRPスイングアーム、サスペンションまで。これからカウルのデザインも大きく変わります。変更した各部品すべてに新しい取り組みがあります。

Q:今日のテスト内容は?
A:各部品の基本的な機能確認です。それと開発ライダーの宮城光さんにも今年の車両に慣れていただくことが目的です。そしてそれらの確認は今回十分にできました。

Q:今年の意気込みを教えてください。
A:もちろん3連覇を目指しています。まだまだ多くの課題があり、開発・テストが続きますが6月8日のマン島レース決勝に向けてがんばります。みなさまの応援をよろしくお願いします。

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マン島TTレースとは
マン島TTレースは、イギリスと北アイルランドの間にある淡路島程度の大きさのマン島で、1907 年から開催されている。

レースは年1 回、5 月最終週から6 月第1 週にかけて開催され、コースは島の南東部にある首都ダグラスをスタート起点とし、市街地、住宅地、山間部を含む1 周約60km の一般公道をタイムトライアル形式で走行する。

コースの高低差は400m、コーナー数は実に200 以上にのぼる。
普段は一般道として使われているため、白線やマンホールが点在し、現存する世界最古の高速オートバイロードレースであり、それと同時に世界一過酷で、世界一平均スピードの高いロードレースでもある。

第二次世界大戦終結後の1949 年からは世界グランプリロードレース選手権※として再開され、日本の二輪メーカーやライダー達が果敢にチャレンジしたことが、今日世界に大躍進した日本の二輪産業のまさしく反映の礎となった。

※世界グランプリロードレース選手権の一戦として開催されていた期間は1949 年~1976 年。