JFE(ジェイ エフ イー)スチール株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柿木厚司)の世界最高強度1470MPa級冷延ハイテンが「第13回エコプロダクツ大賞」の経済産業大臣賞を受賞した。
この「第13回エコプロダクツ大賞」(主催:エコプロダクツ大賞推進協議会、後援:財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)は、すぐれたエコプロダクツ(環境負荷の低減に配慮した製品・サービス)に関する情報を需要者サイドに広く伝えると共に、供給者である企業等の取り組みを支援し、エコプロダクツのさらなる開発・普及を図ることを目的に、2004年に創設されたもの。
受賞したこの1470MPa級(1.5ギガパスカル級)冷延ハイテンは、自動車部品のバンパーレインフォースメント(バンパーR/F)として実用化されたもの。常温で成形する冷間加工による自動車部品の強度としては、世界最高強度となる部材である。
元来バンパーR/Fは、衝突時に乗員を保護する自動車前後部の部材で、衝撃を受けとめるために鋼板の高強度化が求められてきた。しかし、高強度化するほど成形加工が難しくなり、また一般的に1180MPa級以上の強度の材料において、プレス成形後に静的な脆性割れ(遅れ破壊)発生が懸念されることから、これまでは主に980MPa級ハイテンが使用されきた。
また、冷延とは異なり鋼板を高温に加熱してプレス加工、成形と焼入れ硬化を同時に行うホットプレス工法が採用された例もあった。しかしこの工法では、生産性および製造コストに課題がある。
そこでJFEスチールは、西日本製鉄所(福山地区)にある独自の水焼入れ(Water Quench=WQ)連続焼鈍プロセス(JFE-CAL)を活用し、冷間加工用の鋼板としては世界最高強度の1470MPa級冷延ハイテンを開発した。
これはWQ方式の極めて高い冷却速度(1000℃/秒以上)を利用して高強度化し、遅れ破壊の原因となる合金の添加を極限まで低減することで、1470MPa級の高強度と耐遅れ破壊特性を両立させたことによるもの。
今後は、今回実用化したバンパーR/Fだけでなく、車体側面からの衝撃入力に対応するドアインパクトビームや骨格部品など、高強度が求められる他の自動車部品への展開も目指している。
受賞にあたっての表彰式は12月8日、東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催中の「エコプロダクツ2016」会場にて実施された。
1.受賞件名:
世界最高強度の自動車用冷間プレス部品を実現:1.5ギガパスカル級冷延鋼板
2.受賞理由:
今回の受賞は、冷間加工によるエネルギーロス削減と鋼板製造・製品使用時のCO2削減効果が高く評価された。
3.受賞概要:
「1.5ギガパスカル級冷延鋼板」は、常温で成形する冷間加工による自動車部品の強度としては、世界最高強度の冷延鋼板。
自動車部品は、衝突安全性の向上や車体軽量化によるCO2低減のため、高強度化が求められていることから、西日本製鉄所(福山地区)にある独自のWQ方式連続焼鈍プロセス(JFE-CAL)を活用し、世界最高強度の「1.5ギガパスカル級冷延鋼板」を開発。
WQ方式の極めて高い冷却速度(1000℃/秒以上)を利用して高強度化し、車体を軽量化することで、CO2発生量を低減することができた。