いすゞ、商用車製造の原材料にグリーンスチールを国内初採用


2026年に稼働開始予定の電動開発実験棟にも1,000トンを使用

いすゞ自動車(本社:神奈川県横浜市、社長COO:南真介)は4月24日、鉄鋼製造プロセスのCO2排出量を削減したグリーンスチール(一般社団法人日本鉄鋼連盟が定めた鋼材)を量産車や施設に採用する。

具体的には「エルフEV」の構造材の他、藤沢工場(神奈川県藤沢市)内で建設中の電動開発実験棟「The EARTH lab.」の一部部材として採用する。

これに伴い4月より順次グリーンスチールの発注を開始した。ちなみに商用車の構造物の原材料としてグリーンスチールを採用するのは国内初となる。

日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする、カーボンニュートラル(CN)を目指すことを宣言している。

特に国内産業部門のCO2排出のうち38%を、自動車製造の根幹を支える鉄鋼業界が占めることから、鉄鋼材料のCO2排出量削減は急務だ。

いすゞは、温室効果ガス排出量削減を積極的に推進するために、調達パートナーとの協力が欠かせないことから、このたび、高炉メーカー3社(五十音順:株式会社神戸製鋼所、JFEスチール株式会社、日本製鉄株式会社)が生産する、マスバランス方式を適用したグリーンスチールを購入。

電動開発実験棟「The EARTH lab.」(イメージ)

バッテリーEV(BEV)小型トラック「エルフEV」をはじめとする量産車の原材料の一部への採用を開始する。また2026年6月の稼働開始を目指し、現在建設中である「The EARTH lab.」の主要鉄骨材にも約1,000トンの採用を決定した。

いすゞは、自社のCN商品開発のみならず、多角的な側面で社会のCN化に貢献していく構えだ。

ちなみに今回採用に至ったグリーンスチール(マスバランス方式を適用させたもの)は、鉄鋼メーカーが製鉄の際に自ら計画し、追加コストを負担してコミットしたプロジェクトによるCO2削減量を財源に削減証書を発行、任意の製品に配分して証書と共に供給するもの。

今回採用する神戸製鋼所の「Kobenable® Steel」、JFEスチール株式会社の「JGreeX®」、日本製鉄株式会社の「NSCarbolex® Neutral」は、いずれも第三者保証を取得したCO2排出削減量が割り当てられており、社会全体のCN化に貢献する。

なお、いすゞは、経済産業省が日本全体でGX(グリーントランスフォーメーション)市場創造を加速化することを目的として昨年12月に創設した「GX率先実行宣言」の趣旨に賛同。

グリーンスチールの採用と共に、「GX率先実行宣言」を行った。この「GX率先実行宣言」は、低炭素に資するGX製品であるグリーンスチールの調達・購買を通じ、サプライチェーン全体におけるGX製品の市場形成推進に貢献することを宣言したものとなる。