ボルボ・カーズ、一時的な非現金減損費用を発表

ボルボ・カーズ(ボルボ・カー・AB)は7月14日(中央ヨーロッパ時間)、114億スウェーデンクローナ(約1755億円)の一時的な非現金減損費用を発表した。その発表の背景は、過去の発売延期と複数の市場に於ける新たな輸入関税の影響を踏まえ、EX90およびES90プラットフォームの財務想定を調整したことによるものとしている。

ちなみに、この非現金減損費用とは、減損損失のように費用として計上されるものの、実際に現金支出を伴わない費用を指す。

一般に減損損失は、固定資産の価値が帳簿価額を下回った場合に、その差額を費用として計上する会計処理であるが、同費用のケースでは損益計算書上は費用として認識される一方で、キャッシュフロー計算書上では現金の支出を伴わないため非現金支出費用にカテゴライズされる。

さて、その非現金減損費用計上の一因のひとつとされたEX90は、ソフトウェア品質の大幅なアップグレードと計画的な量産開始にも関わらず、ライフサイクル全体の収益性が低下している。これは、過去の大幅な発売延期とその後の追加開発コストなどが影響した。

一方、ボルボES90に係る販売計画でも、米国での輸入関税の影響でこれが遅延、同じ理由で欧州でもES90の利益率が圧迫されている。

そこでボルボ・カーズは、上記を踏まえ、2025年第2四半期に114億スウェーデン・クローナの一時的な非現金性減損損失を計上する。

こうした措置についてボルボ・カーズでCFOを務めるフレドリック・ハンソン氏は、「当社は、次世代の専用電気自動車アーキテクチャとソフトウェア機能への投資を継続します。

これらは、現在計画通り進んでおり、2026年に発売および生産開始が予定されている電動車ボルボEX60を含む、今後予定されているいくつかの大量生産プログラムを支えるものとなります。

また今回は、米国に於ける輸入関税、EX90の開発・発売の遅れ、そして戦略的投資の優先順位といった市場動向を踏まえ、これら2車種の販売台数想定を見直した結果、ライフサイクル収益性は計画を下回りました。

この費用は主に、EX90およびES90のプラットフォームに関連する販売台数予想とライフサイクル収益性の計画調整を反映しており、既存の市場実態に合わせて資産を適正化しています。

費用のうち40億スウェーデンクローナは売上原価に影響を与えると見込まれ、残りの大部分は財務報告上の研究開発費に影響します。

グループ純利益への影響は90億スウェーデンクローナで、2025年7月17日に開示予定のボルボ・カーズ第2四半期決算で報告されます。

EX90とES90の開発は、ボルボ・カーズのスーパーセット技術スタックによって、私たちの未来にとって極めて重要な技術基盤を築きました。コアコンピューティングや電動ドライブラインなど、私たちが開発したコアシステムと知見は、次世代プラットフォームに活用されます。

当社の次世代アーキテクチャーをベースに開発された次期EX60は、大幅なコスト削減と性能向上を実現します。これは、自動車部品のメガキャスティング、車体とバッテリーを一体化するセル・トゥ・ボディ技術、そして自社開発の次世代電動モーターなどによるものです。

これらのイノベーションは、私たちの長期的な電動化とソフトウェア定義車両戦略の実現の鍵となり、ボルボ・カーズを自動車業界の技術的最前線に位置づけるものとなります」と結んでいる。