F1GPサウジ決勝、ピアストリが勝利してランク首位に


2025年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第5戦サウジアラビアGP( 開催地:ジェッダ、開催期間:4月18~20日 )の決勝が4月20日( 日曜日 )に1周6.175kmのジェッダ・コーニッシュ・サーキットで行われた( YouTubeリンク / 英語 )。

決勝では、今シーズン3勝目を挙げたマクラーレンのオスカー・ピアストリ選手が、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手(2位)とフェラーリのシャルル・ルクレール選手(3位)を抑えてゴールラインを潜り、新たなチャンピオンシップのリーダーに躍り出た。

ちなみに5戦を終えた段階でのドライバーズランキングは、ピアストリ選手が累計99ポイントを獲得して首位。2番手はマクラーレンのランド・ノリス選手が89ポイント、3番手はフェルスタッペン選手(87ポイント)が続く。

決勝前日の予選セッションでは、長らくマシンセッティングで悩み続けているレッドブルのフェルスタッペン選手が、最も早いマシンに仕上がっているマクラーレン勢を抑えQ3でポールポジションを奪い取った。

その結果、決勝に於いてはフェルスタッペン選手が、後方から追い上げてくるピアストリ選手とラッセル選手の追撃をかわせるのか。

また予選Q3セッションでクラッシュしたことで、ポールポジションを獲得するチャンスを失ったノリス選手がトップ争いに加わるのかに注目が集まった。

迎えた決勝日は29度という暑さのなかで迎えた。グリッドに並んだ各車で、ノリス選手、レーシング・ブルズのイサック・ハッジャー選手、アストンマーティンのランス・ストロール選手、キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグ選手の4人を除いたドライバーがミディアムコンパウンドでスタートすることが発覚。

ハードコンパウンドを選択したドライバーは、最初のスティントを長くすることに賭けた。

フォーメーションラップ後のシグナルオフでは、ファーストコーナーを奪取するべく、ポールポジションのフェルスタッペン選手とピアストリ選手がホイール・トゥ・ホイールで鍔迫り合いを演じた。

この際、イン側を抑えていたフェルスタッペン選手がアペックスをショートカットして切り抜ける格好となり、それにより5秒のタイムペナルティが科せられることになった。これによりフェルスタッペン選手は、後のピットストップでペナルティを消化し2番手に退くことになる。

その鍔迫り合いの後方では、メルセデスのキミ・アントネッリ選手がルクレール選手と競り合いとなり、3番手の座をルクレール選手に譲り渡していた。

土曜日の予選で、クラッシュを喫したことで10番手からのスタートとなったノリス選手は、ハードコンパウンドのタイヤでスタートしたことで上位陣がピットインする間、トップ集団を引っ張っていた。

しかしその後、ミディアムコンパウンドのタイヤに交換したタイミングで、ピアストリ選手が再び首位に浮上。その後、ピアストリ選手は堅実な走りを演じてアドバンテージを築き始めることになる。

なお、この1周目には、もうひとつのドラマがあり、アルピーヌのピエール・ガスリー選手とレッドブルの角田裕毅選手が接触。両者共にウォールにヒットしたためセーフティカーが投入される事態に。

結果、ガスリー選手はその場で走行不能となり、ピットに戻ることができた角田選手も、確認作業の後、レースを継続すること自体が不可能と判断され、リタイヤを喫した。

この間、多くのドライバーがピットインの機会を利用。アルピーヌのジャック・ドゥーハン選手、ハースのエステバン・オコン選手、ザウバーのガブリエル・ボルトレト選手はハードコンパウンドのタイヤに交換するためにピットインした。

一方、フェルスタッペン選手とピアストリ選手の間で発生したターン1のインシデントは、この時点でスチュワードによって記録された。

この緒戦時点で、レーシング・ブルズのイサック・ハッジャー選手はアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ選手と10位を争っていた。

5周を終えた時点でのトップ10は、フェルスタッペン選手(1秒以上のリード)を筆頭に、ピアストリ選手、メルセデスのジョージ・ラッセル選、ルクレール選手、メルセデスのキミ・アントネッリ選手、フェラーリのルイス・ハミルトン選手、ウィリアムズのカルロス・サインツ選手、ノリス選手、ウイリアムズのアレックス・アルボン選手、そしてレーシング・ブルズのイサック・ハッジャー選手の順となった。

そのなかでアルボン選手は、11周目にブレーキがオーバーヒートする可能性があると警告していた。また上位グループでは、ノリス選手がハミルトン選手と接戦を繰り広げた。

20周目に、ピアストリ選手は3.4秒のややスローなピットストップを行いハードコンパウンドタイヤに交換。この影響でノリス選手は6位に浮上。

その先を走るフェルスタッペン選手は、エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼからの指示でコースに留まった。

この間も各車のピットストップが次々と行われ、ラッセル選手はハードコンパウンドのタイヤに交換。その後にフェルスタッペン選手もピットストップでタイヤ交換を実施し、この際に5秒のペナルティを消化して5位でコースに戻った。

ピアストリ選手は、ハミルトン選手を僅差でオーバーテイクして3位に浮上。またピットインを行っていなかったルクレール選手は、同じくピットイン前だったノリス選手を従えて走行。

この間に、ハミルトン選手がピットイン。レースが折り返し地点を迎えた25周目の時点で、トップ5はフェラーリのシャルル・ルクレール選手、ノリス選手、ピアストリ選手、フェルスタッペン選手、ラッセル選手の順となった。

その後方でも様々なバトルが繰り広げられており、サインツ選手はキック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグ選手から10位を奪い、アルピーヌのジャック・ドゥーハン選手から14位を奪ったレーシングブルズのリアム・ローソン選手は今シーズン初のポイント獲得を目指していた。

先頭集団で走っていたルクレール選手は、30周目にピットストップを行い、ミディアムタイヤをハードタイヤに交換して5位でコースに復帰。これによりピットストップしていないノリス選手が先頭集団がトップに立ち、ピアストリ選手に3秒の差をつけた。

そのノリス選手は、35周目にピットイン。ミディアムタイヤに交換して5番手でコースに戻る。これにより、ピアストリ選手がトップに立ち、2位のフェルスタッペン選手に4.5秒差をつけた。ラッセル選手は3位争いでルクレール選手に追われる立場となった。

こうした争いは、38周目に頂点を迎え、ルクレール選手はDRSを使ってターン1でクリーンなパスを成功させて今シーズン初の表彰台争いに加わる。

一方でローソン選手は、ドゥーハン選手とのバトル中にコースをショートカットしたことから10秒のタイムペナルティを受けた。

残り10周でノリス選手は、ラッセル選手から4位を奪ったが、ノリス選手は先のピットストップの際にピット出口でラインを越えてしまったことでペナルティを受けるリスクを抱えていた。

その前を走るフェルスタッペン選手に2.9秒差でリードしていたピアストリ選手は、アストンマーティンのランス・ストロール選手とキック・ザウバーのガブリエル・ボルトレト選手達を周回遅れにする際に、前を走る車に対する不満を表明するなど落ち着きがない様子を見せていた。

残りが3周が近づく頃、4位を走るノリス選手はコース上最速のドライバーとなりルクレール選手を追い詰めようとしていた。一方、ハッジャー選手は9位争いでアルボン選手に迫っていた。

先に無線で落ち着きのない発言をしたピアストリ選手は、結局、それ以上のトラブルに見舞われることなく今シーズン3度目の勝利を飾り、結果として新たなチャンピオンシップリーダーとなった。

フェルスタッペン選手は、今季を通してマシンがまとまらず苦戦しピアストリから2.8秒遅れの2位に甘んじた。

ルクレール選手は3位で表彰台を獲得、今シーズン初の表彰台にのぼった。一方、緒戦でトップ集団を引っ張ったノリス選手は、ルクレール選手を追い続けたものの4位でゴールした。

予選セッションでメルセデスの速さを証明したジョージ・ラッセル選手は、決勝では振るわず5位に。同じくメルセデスのキミ・アントネッリ選手が6位に入ってメルセデスはダブルポイントを獲得。これによりメルセデスはマシンの仕上がり状態の高さを証明した。

フェラーリのルイス・ハミルトン選手は、マクラーレン、レッドブル、メルセデスに続く7位となり、フェラーリチームに新たなポイントを献上した。

これに続いたのは高速コースに強みを持つウィリアムズチームで、サインツ選手が8位。アルボン選手が9位となって揃ってダブルポイントを獲得した。

最後のポイント獲得枠となる10位にはレーシング・ブルズのイサック・ハッジャー選手が入った。

一方、アロンソ選手は、シーズン初ポイント獲得を目指していたが11位に。ローソン選手は、アルピーヌのジャック・ドゥーハン選手との接触でコースアウトしてアドバンテージを得たとして10秒のペナルティを受け12位に終わった。

ハースのオリバー・ベアマン選手とエステバン・オコン選手はそれぞれ13位と14位となった。

ヒュルケンベルグ選手は15位でザウバーチームでのトップとなり、16位はアストン・マーティンのランス・ストロール選手、17位はアルピーヌのジャック・ドゥーハン選手、18位はキック・ザウバーのガブリエル・ボルトレト選手となった。

なおアルピーヌのピエール・ガスリー選手とレッドブルの角田裕毅選手は1周目に接触事故でチェッカーフラッグを受けることができずに早々のリタイアとなっている。

ピアストリ選手はインタビュー( YouTubeリンク /英語 )で、「かなりタフなレースだったが、勝てて本当に嬉しい。スタートで差をつけられたが、あそこではマックスについていくのが本当に難しかった。

最初のスティントの終わりにはマックスについていくことができず、タイヤを消耗させてしまったが、ピットストップ後はクリーンな空気のなかで走れたことで調子を取り戻した。

最終的に素晴らしいレースだったと思う。今回のレースで必要だったことは全てやり遂げた。しかしまだもう少し努力が必要だと思う」と話した。次戦は、5月2日から4日の日程で開催されるマイアミグランプリとなる。