トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田章男、以下、トヨタ)が開発を重ねているパートナーロボット「HSR(Human Support Robot)」を対象に、お台場のMEGA WEBに於いて「HSRハッカソン2015 in MEGA WEB」が行われた。
このイベントは、事前応募で選考された8チームが、8月31日〜9月2日まで3日間の期間でアプリケーションを開発し、最終プレゼンテーションで順位を決めるというもの。優勝チームには、研究開発用として同社の「HSR」が1年間無償貸与される。
MEGA WEB内のオープン環境で行われた合計開発時間はわずか28時間。この間で総勢8チームが、4台のHSRを融通しながら、実際のプログラム開発が繰り広げられた。
この限られた時間のなかで同ハッカソンに参戦したチームは以下の通り。
- 豊橋技術科学大の「行動知能システム学研究室」
- 東京大学と國學院大学の学生団体「UT-HACKs」
- 九州工業大とサンリツオートメイションの合同チーム「Ho-Ryu/サンリツオートメイション
- 中部大学 機械知覚&ロボティクスグループの「MPRG」
- 情報通信研究機構と同志社大学の学生チーム「NICT」
- 金沢工業大学工学ロボティクス学科チーム「KIT Robotics」
- 九州工業大学工学部 西田研究室の「Team Nishida-Lab」
- 東京大学情報システム工学研究室の「JSK-Jr」
上記計8チームによる過酷なハッカソンが繰り広げられ、結果、NICT(情報通信研究機構と同志社大学の学生チーム)が栄えある栄冠を勝ち取った。
1位を得たNICTチームのプログラムは「買い物弱者を支援するソフトウェア」。
重い荷物を抱えて歩くことが難しく、日常生活に必要な買い物に行けない国内約700万の買い物弱者を対象に、HSRが牛乳など家庭内に常備する消耗品のバーコードを読み取り、Web上の製品情報を活用して、本来の満充填時の販売重量を把握。
現在の重量と比較して消耗品の消費状態を先回りして把握。残量が少なく、補充が必要なものをメールで通知。
それらを簡単操作によってスマートフォン等から発注できるようにし、不在時に於いては、商品の受け取りをHSRが対応するというもの。
評価のポイントは、商品のバーコードを読み込み、インターネット上にある情報を取得し、実際家の中にある物との重さを比べ、注文を促すアラートメールを送るというところ。
さらにHSRがインターネットを通じて外部と連携するという点も高評価を得たポイントとなった。
ちなみに本来HSRは、小回りの利く円筒型の小型・軽量ボディに格納できるアームを備えることにより、「床の上の物を拾う」「棚から物を取ってくる」などの仕事ができるロボットである。
2012年にトヨタ自動車が発表して以降、障がい者や、介護福祉関係者等の評価を踏まえて同社は着実に改良を重ねてきた。
今回研究用として貸与される新型HSRは、機能性、安全性、研究開発や実証実験における運用性などをさらに向上させている。
トヨタ自動車では、こうした生活支援ロボットの技術開発を通じて蓄積するロボット技術を、早期に社会に提供することを目的に今後も様々な活動を重ねていく構えだ。