トヨタ、「人工知能技術」の研究・開発強化を目指し新会社を米シリコンバレーに設立


トヨタ車の年間1兆キロ超の実走行データは、人口知能研究の進化を加速させる重要な鍵になる

トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田章男、以下、トヨタ)は来る2016年1月に、人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(トヨタ・リサーチ・インスティテュート、以下、TRI)を、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに設立。今後5年間で約10億ドル(約1200億円)を投入すると発表した。

当地で研究を開始するこの人工知能技術は、トヨタという一企業のみならず、広くこれからの産業技術の基盤を担うとともに、新たな産業を創出すると、トヨタ自身が期待を寄せている重要技術である。

今後トヨタは、この新会社TRIを人工知能技術に関わるイノベーション発信の拠点と位置づけ、同技術に関する研究・開発を一気に加速させる意向だ。

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具体的には、人工知能技術並びに、トヨタが蓄積する、また今後も蓄積していくビッグ・データを活用することにより、これからの社会が直面する様々な課題を解決し、将来の持続可能なモビリティ社会の実現を目指すというもの。

そしてこの技術研究の成果を背景に、誰もが安心して安全・自由に、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指して、これまでのトヨタ自動車の事業の枠に止まらない革新的な商品の企画・開発を進めていくという。

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トヨタのExecutive Technical Advisorであるギル・プラット氏(Gill A. Pratt)が、このTRIの最高経営責任者(CEO)に就任し、シリコンバレーという地の利を活かして、当面200名規模の優秀な研究者を集めていくと共に、マサチューセッツ工科大学や、スタンフォード大学に設立した研究センターとの連携を進めるなど、研究体制をより一層強化させていく意向だ。

TRIのプラットCEOは、「TRIでは、事故を起こさないクルマ、誰もが移動の自由を享受できるモビリティ、高齢者の尊厳ある老後をサポートするロボットなど、人と協調できる人工知能技術の開発に取り組む。

さらには、新材料探索・生産管理システムなど幅広い領域での応用に向けた技術開発を行い、社会に貢献したい。」と意気込みを述べた。

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また、トヨタの豊田章男社長は、「私たちが人工知能技術を追求するのは、より豊かな社会を実現するためである。

プラット氏をTRIのトップとして迎えたのは、彼が偉大な研究者だからではない。彼の目指すゴールとそこに向かう志が、私たちと同じだと確信したからだ」と語った。

【質疑応答】
(1)人工知能研究に乗り出す時期として、なぜ「今」を選んだのか?

(豊田章男氏)事業活動の背景としての技術領域の進展のみならず、「人工知能研究」に関わる様々な経営要素が整い、トヨタという企業として、このプロジェクトに挑戦する準備がようやく整ったと考えている。

今日に至ったその着手時期については、広く社会環境を見据えて、果たしてそれが「遅いか」、または「早いのか」、その価値と成果に関しては、今後の当社の行く末を見守って欲しいと考えている。

(2)200名の優秀な技術者獲得を目指すというが、その数字、人数の意味するところは何か?

(ギル・プラット氏)考え方としては、トヨタが目指すべき成果を達成するためのマイルストーンを設定しており、その進展と成長に沿って、必要としている人材を数年掛けて獲得していくという考え方に立っている。

(3)人口知能研究は、米国のみならず、世界各地に様々な動きを見せる組織や、注目すべき企業が存在する。そうしたライバル達と、競争しリードしていけるのか?

(ギル・プラット氏)経営者として商品プロジェクトの最終意思決定を行うため、トヨタのテストドライバーとしても活動しているト豊田章男社長が、自動車レースに強い関心を持っているので、ここではレースシーンでの一コマひとつの例として挙げたい。

例えば、トヨタが大変な長距離を走る耐久レースに初参加したとする。参加した当初、我々は必ずしも良いポジションにつけるとは限らない。

しかし永い耐久レースの過程に於いて、始まった当初は、本当の勝者が誰なのかは、そう簡単には誰も分からないだろう。

仮に人工知能を利用した自動運転車の開発ひとつをテーマに挙げたとしても、仮にその競争が終盤に差し掛かっているとしても、そこには複雑な要素技術が絡み合う。

その要素技術は、地図技術・GPSの解析技術・人間の行動研究学など多彩だ。上記要素技術を踏まえたとしても、大きな課題としてふたつの側面がある。

そのひとつはドライバーの指示に基づき、運転者に成り代わって、シリーズ的な自立性を確保する「クルーズ・コントロール」のような役割がある。

一方で、「ABS装置」のようにドライバーが車両を運転しているのではあるが、急ブレーキ時など突発的な危機が到来した際、自動的にそうした危機から逃れるために、ドライバーを時折サポートしていく並列的な手助けをして、クルマの自立性を維持していく役割もある。

自動運転技術ひとつ取っても、そうした要素技術の研究は幅広く、人の心理的な行動原理を含めて、現段階では終わりが無いとも思える技術開発に取り組んでいかなければならない。

そうした事を踏まえたなら、今日の段階で、将来、誰が栄冠を手するのかは、まだまだ分からないと考えている。

(4)人工知能技術でどのようなクルマ造りを目指していくのか?

(豊田章男氏)ユーザーの多様なニーズを筆頭に、社会の様々な要請に応えていくクルマでありたいし、そのカバーリングしていく範囲も、クルマというハードウエアだけに止まらず、車両の枠を超えた「社会」全体を見つめて、トヨタとして、「どのように社会貢献していけるのか」という軸を据えて、広く活動していきたい。

実は、そうした多様性を見いだしていく最初の動機が生まれたのは、トヨタが企業としてオリンピックの支援を開始してからのことだ。

具体的には、パラリンピックに取り組む選手と、改めて真摯に接してみたら、クルマ造りひとつを取っても、答えは必ずしもひとつでないことに気づいた。

当たり前の事だが、全ての人が当社で言う「ウェルキャブ」を欲しい訳でない。スポーツカーが欲しいユーザーも居り、そのニーズは実に多彩だ。

それは自動運転車や無人運転車であったとしても、同じことだと思う。クルマというのは、「人の自立性や行動範囲を広げていくツール」であり、自由に移動する喜びを得られるパートナーでもある。

日本だけではなく、世界全体が遠からず高齢化社会を迎える中、自動運転の活用は、私自身が個人的に考えてきた以上の可能性を持っている。

トヨタは、そうしたなかで最新鋭の人工知能技術を用いたクルマを仮に100年後の未来に開発していたとしても、それに乗るユーザーから「愛車」と言われる「愛」のあるモビリティツールを作り続けたいと考えている。

(5)新会社が目指す短期・中期または長期的な目的として何を見据えているか?

(豊田章男氏)世の中をより広く捉えて、社会的な「財」を生んでいくというのがトヨタが目指す最終目的だ。その過程の中で、クルマの自動運転技術の開発もあるだろう。

しかし、さらには人工知能技術とビッグデータを用いて、現在の事業・業態を枠をも超えていくことにも期待している。

そしていずれはトヨタグループとして多様な産業を支えていきたい。そもそも当社は、過去の歴史を踏まえ、「織機から自動車」など、事業体としての基礎骨格の変革を何度も経験してきた。そして今日、トヨタは自動車以外の産業基盤も、我々の活動フィールドとして見据え始めている。

新会社の概要は、以下のとおり。

会社名:TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)
所在地:米国 カリフォルニア州パロ・アルト
設立時期:2016年1月
事業内容:人工知能技術に関する先端研究、商品企画
運営予算:約10億ドル(2016年~2020年までの設立当初5年間での総額)
社員数:約200名規模(予定)

プラットCEOの略歴・人物像
Gill A. Pratt(ギル・プラット)
1961年米国生まれ。
– マサチューセッツ工科大学(MIT)で電気工学・コンピューターサイエンスの博士号を取得後、MITとオーリンカレッジにて、准教授、教授として教鞭をとる。
– 1983年~2005年、3つのベンチャー企業を立ち上げるとともに、オーリンカレッジの設立に携わる。
– 2010年~2015年、DARPA*1のプログラム・マネージャーとして、ロボットなどの複数のプログラムを指揮する。その内の一つが、DARPA Robotics Challenge*1。
– Robotics Challengeを通じて、「人と協調するロボット技術」の世界を切り拓き、ロボット・人工知能研究において世界の研究者から注目されている。

*1 米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助用のロボット競技大会

プラットCEOの主な受賞歴
DARPA Program Manager of the Year 2014
DARPA Results That Matter 2013
National Science Foundation(NSF)*2 CAREER 1998
*2 アメリカ国立科学財団。米国の科学技術の向上を目的に、1950年に設立された政府組織

以下は発表会見に於けるスピーチ概要の一端となる。

豊田でございます。
本日はお忙しい中、私どもの記者会見にお越しいただき、誠にありがとうございます。

本日この場にて、2016年1月、米国に、人工知能に関する新たな研究・開発拠点、「TOYOTA Research Institute Inc.」を設立することを発表させていただきます。

新会社の最高経営責任者(CEO)には、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)で「ロボティクス・チャレンジ」のプログラム・マネージャーを務めたことでも知られるGill Pratt氏に就任いただくことを決定いたしました。

私がGillと初めて会った今年の8月のことです。
私の第一声は、「なぜ、トヨタに来るの?」という極めてシンプルなものでした。
その問いに対し、彼は「社会に貢献したいからだ」と答えました。

彼は、このように続けました。
「人工知能は事故のリスクを減らすことはできるが、人間の介在なしにはゼロにはできない。安全・安心なクルマ社会の実現には、機械が人間と協調することが重要だ。その重要性は、モビリティ以外でも同じで、人工知能には、社会をより豊かなものにする大きな可能性がある。」

人工知能の分野で「米国の至宝」とまで呼ばれる偉大な研究者の答えは、私たちトヨタの創業の理念と全く同じだったからです。

技術革新が進めば進むほど、私たちは自らの製品を進化させることができます。
しかし、私たちがイノベーションを追求するのは「技術的に可能だから」ではなく、「目指すべきものがあるから」です。

人工知能技術とビッグデータを結びつけることで、自動車以外の新しい産業を創出することも可能になります。

私たちは、モビリティの枠を超えて、人々の生活や社会をより豊かなものにするために、この技術を役立たせたいと考えています。

私たちは、人工知能のような新しい技術を取り入れることによって、今日はもちろん、明日も、次の100年も、もっと安全で、もっと楽しい、希望に満ちた社会をつくってまいります。

彼と一緒にやってみよう、やってみたい、と思ったのは、彼が偉大な研究者だからではありません。
私たちと、彼の目指すゴール、そこに向かう志が同じだ、と確信したからです。

彼が、35年前にカローラを修理しているときの自身の写真を見せてくれました。この写真を見た時、本当に彼と働きたいと思いました!

とてもいいヘアスタイルです、ギルさん。

真面目な話に戻りますが、私は、彼がトヨタにとって大きな財産になると思っています。

それでは、目標に向けともにチャレンジする私たちの新しい仲間を紹介いたします。
Gill Pratt氏です。

豊田社長、ありがとうございます。

皆さんこんにちは。

数か月前、トヨタの幹部の方々と話をしはじめるようになり、人工知能やロボット分野の技術革新を加速させる彼らの情熱を伺いました。

最初私は、トヨタは単に、競合他社や人工知能分野で力をつけてきた企業との競争に勝ちたいだけなのだと思っていました。

しかし、会議を重ねるにつけ、彼らの目標の視野の広さに、私は目をどんどん見開くことになりました。

より高位の役員に会うほどに目標は野心的なものになり、私はトヨタが達成したいことの重要性を理解するようになりました。

TRIの目的は、基礎研究と、人の命を救い、人の暮らしをより豊かにする製品開発との間のギャップを埋めることにあります。

TRIではまず、協調自動技術や人工知能、すなわち、特にモビリティの分野で機械と人が協力する方法の研究に注力します。

その目標は、安全、アクセシビリティ、ロボットの3分野に亘ります。

安全に対する目標は、ドライバーの行動を問わず、クルマが事故にあわないようにすることです。

アクセシビリティに対する目標は、老若男女、身体能力を問わず、全ての人が移動の自由を享受できるようにすることです。

ロボットに関する目標は、全ての人の暮らしを豊かにすることです。
特に、年齢や病状を問わず、高齢者が自宅で尊厳のある老後を過ごすことができるようにしたいと思っております。

ここで少し私自身と、私の想いがどこから来るのか、お話しさせていただければと思います。

1950年代に米国に移住した私の父は、ニュージャージー州エディソンにあるフォードの組立ラインで働いていました。

父は夜には、化学工学や環境技術、特に大気汚染について学んでいました。
私は父から、クルマのしくみや大気汚染の管理手法について学びました。

また、多くの子供達同様、学校から帰るとTVを見ていました。

好きだった番組の一つが「ギガンター」でした。
少年が巨大ロボットを操る日本のアニメ、「鉄人28号」の吹き替え版でした。
私もいつか、そんなロボットを作ってみたいと思っていました。

私は幸運にも、ベル研究所の近くの高校に通うことができました。
この研究所では、週に1回、世界トップレベルの科学者の指導を受けるプログラムを実施していました。

大学の夏休みには、ベル研究所の物理・コンピュータ科学部門で働きました。
そこで私は、本当に賢い人が何を考えているのか、優れたマネジメントがどのようにして米国至宝の研究所を作り上げるのかを学びました。

そして私は21年間、大学院生から、電気工学・コンピュータ科学の助教授になるまで、MITに通うことになりました。

また、趣味として、MITのソーラーカーの電力関係の設計も行っていました。

MITの教授だった時、DARPAの資金援助のもと、歩行ロボットの開発に関わりました。
ご想像の通り、これらのロボットは鉄人28号にそっくりでした。
残念ながらジェットエンジンは付いておらず、飛ぶことができませんでしたが。

2010年には、DARPAからの資金援助への恩返しとして、同局でプログラム・マネジャーとして働くことにしました。

2011年3月11日、東日本大震災や津波が日本を襲ったとき、私はDARPAで働いていました。

地震の翌週、DARPAが以前資金援助していたロボット工学の会社とともに、放射線耐性を測り、パックボット、タロン、サンダーホークといったロボットを福島へ派遣すべく電話で指揮を執っていましたが、うまくいかず、(水素)爆発が起こってしまいました。

この失敗から学び、DARPAロボティクス・チャレンジを企画することにしました。
災害の被害軽減のため人のパートナーとなりうるロボットを開発する、3年・1億ドル規模のプログラムです。

ロボット技術で日本と共に働いたMITでの経験から、災害ロボットの分野での協調を進めるべく、その議論のために、同僚と何度も日米を往復しました。

こうした交渉は実を結び、日本政府からも多額の投資をいただけました。
ある日本のチームが第2予選で首位となり、本選には、5つの日本のチームが残りました。
このプログラムは、ロボット技術史に大きな名を残しました。

ここで、私の人生で起こった3つの悲しい出来事と、それがTRIで取り組むこととどのように関係するかをお話します。

1つ目は、小学生の時、帰宅途中に死亡事故に遭遇したことです。

自転車に乗っていた少年が道路で、車にひかれ亡くなってしまったのです。
今でも当時の恐ろしい光景を思い出します。
救助隊員が救命措置を行う中、ドライバーが頭を抱えて座り込んでいました。
ショックを受けて帰宅しました。
一生忘れられないでしょう。

2つ目は、私の父が83歳になった時、彼からクルマのキーを取り上げざるを得なかったことです。
家族全員にとって大変残念な日となりました。

最後は、父が84歳になり、介護施設への入居を余儀なくされたことです。

TRIの3つの目標である、安全、アクセシビリティ、そしてロボットは、こうした出来事を経験した私にとって大変重要なものです。
TRIでは、世界中の家族がこうした悲しい出来事を経験しなくてすむようにすべく取り組みます。

今回の発表は始まりにすぎず、こうした目標は私一人では達成できません。

トヨタの一員として「もっといいクルマ」づくりに取り組み、モビリティ技術を通じ、世界中の人々の暮らしを豊かにしたいと思っております。

最後に、この話で私のスピーチを終わりたいと思います。

トヨタは毎年、約1000万台のクルマを販売しています。
10年間では約1億台になります。
仮にその1台1台が年間1万キロを走るとすると、計算上、合計で年間1兆キロもの実走行データとなりうるのです。

世界中のあらゆる条件下で走るトヨタ車からえられる可能性がある膨大な走行データは、技術の進化を加速させるための重要なキーになり得ます。

その一方、こうした膨大な走行距離や多様な地理条件は、そこでの信頼性確保がいかに難しい課題かを同時に物語っています。

私は、トヨタの高い志と規模の融合に、人工知能技術が人々の生活や社会に大きく貢献ができる可能性を見出したのです。

これまで人工知能のクルマやロボットへの応用の可能性についてお話してきましたが、人工知能はそれ以上に、社会活動全般に幅広く応用しうるのです。

例えば、人工知能を用いて、車両手配、交通流の管理、物資輸送を行うことも可能となりえます。
さらには、トヨタ生産システムを超える生産管理や、材料・環境技術の発展を加速させることもできるかもしれません。

TRIでは、トヨタという組織の枠を広げ、他分野での応用に向けた技術開発を行い、社会に貢献したいと考えております。

そして、ハードウェアで成功したトヨタが、ソフトウェア技術と融合した新たな企業に生まれ変わることで、世の中に大きく貢献できると信じています。
だからこそ私はトヨタの一員となったのです。

先週の東京モーターショーで、豊田社長は、バッターボックスに立って真正面からチャレンジに取組み、何が起きても言い訳をせず責任を取ることの大切さを語りました。

今度は、私がバッターボックスに立つ番です。

たゆまぬチャレンジこそ、我々に世界を変える力を与えてくれるのだと、私は信じています。

TRIでの仕事が待ち遠しいです。

ありがとうございました。

以上。並びに以下同英文

Speech at the Press Conference

Thank you very much for taking time out of your busy schedules to join our press conference.

Today I am happy to announce that in January of twenty-sixteen, we will open a new company in the U.S… the Toyota Research Institute, The focus of the institute initially will be the research and development of artificial intelligence.

Dr. Gill Pratt, who joined Toyota in September, will serve as CEO of the new entity.
He is well known as a program manager for the DARPA Robotics Challenge.

When I met Gill in August, my first question to him was quite simple…

“Why are you joining Toyota?”

He said, “I want to contribute to making society better.”

Gill told me that AI can reduce traffic accidents, but it cannot completely eliminate them without human input, and it is essential that people and machines collaborate to create a truly safe and secure mobile society.

This collaboration is important also outside the mobility field.

AI has significant potential to further improve all of society.

This response, from one of the best known AI researchers, was exactly the same as Toyota’s founding principle.

As technology continues to progress… we will be able to further improve our products.
But at Toyota, we don’t pursue innovation simply because we can… we pursue it because we should.

It will be possible to create a new industry by combining AI and big data.
Beyond mobility, with these technologies, we want to contribute to make life better for our customers, and society as a whole.

We use innovative technologies like AI to make society ever better, safer, more pleasant and promising… today, tomorrow… and the next 100 years.

I want to work with Gill not just because he is an amazing researcher and engineer, but because I believe that his goals and motivations are the same as ours.

When he showed me this picture of him doing a brake job on a Corolla thirty-five years ago, I really really wanted to work with him!

Nice hair, Gill.

But seriously, I believe Gill will be a great asset for us.

It gives me great pleasure to introduce the man who will help us achieve our goals…

Ladies and Gentlemen…
Dr. Gill Pratt!

Domo arigato gozaimasu, Toyoda-san.

Konichiwa.

Several months ago I began talking to Toyota Motor Corporation executives about their desire to accelerate innovation in artificial intelligence and robotics.

At first I thought they simply wanted to be more competitive with other automakers and companies becoming more active in the field.

But with every meeting my eyes got bigger as I heard the incredible scope of their goals.

The higher up in the company I went, the bolder the goals became, and I realized the importance of what Toyota wanted to accomplish.

The purpose of TRI is to bridge the gap between fundamental research and product development of life-saving and life-improving technologies.

TRI will focus first on collaborative autonomy and artificial intelligence―the way people and machines can work together, particularly in the area of mobility.

We have three initial goals in mind for TRI:
Safety, Accessibility, and Robotics.

Our safety goal is to make driving much safer by preventing cars from being involved in an accident regardless of a driver’s actions.

Our accessibility goal is to enable every person to benefit from the mobility of cars, regardless of their demographics and physical challenges.

And finally our robotics goal is to improve the quality of life for all people, and in particular to allow seniors the dignity of aging in place, in their own familiar homes, regardless of age or infirmity.

Now, I would like to talk a bit about myself and where my motivation comes from.

My father immigrated to the United States in the 1950s.
His first job was on a Ford assembly line in Edison, New Jersey.

He spent his evenings earning degrees in chemical engineering and environmental engineering, with a specialty in air pollution.
I learned about engineering, how cars worked, and how air pollution controls worked, from him.

Like most kids, I watched TV when I came home from school.

“Gigantor” was my favorite, a dubbed version of the early Japanese Anime Tetsujin Ni Ju Ha Chi-go―a giant robot controlled by a little boy.
I really wanted to build one someday.

I was fortunate to go to high school near Bell Telephone Laboratories, which had a special program for students who wanted to spend one evening a week under the mentorship of some of the world’s top scientists.

I ended up working at Bell Labs during my summers in college in the Physics and Computer Science divisions.
At Bell Labs I learned how really smart people think, and how really great management created the crown jewel of research laboratories in the United States.

I went to MIT for 21 years, starting as an undergraduate and ending up as a junior professor of Electrical Engineering and Computer Science.

As a hobby I designed power electronics for the MIT solar powered car.

While I was a professor at MIT I worked on walking robots under funding from DARPA.
As you might imagine, these robots bore some resemblance to Tetsujin Ni Ju Ha Chi-go, although unfortunately they didn’t have jet engines and couldn’t fly.

In 2010, I decided it was my turn to give back, and work as a Program Manager at DARPA.

I was working at DARPA on March 11, 2011 when the Earthquake and Tsunami struck.

I spent the next week on the phone with robotics companies DARPA previously funded evaluating radiation resistance and helping them get their robots―the Packbot, Talon, and Thunderhawk―to Fukushima.
Unfortunately, we were not successful before the explosions occurred.

This failure inspired us to create the DARPA Robotics Challenge, a three year $100M program to develop robots that could work as partners to human beings to lessen the extent of a disaster.

Because of my experience at MIT with Japan’s strong work in robotics, I spent a great deal of time shuttling between Japan and the U.S. with colleagues negotiating an agreement to collaborate in disaster robotics.

We were successful in those discussions, which resulted in significant investment by the Japanese government.
A Japanese team won first place in the second phase of the challenge, and five Japanese teams competed in the third phase.
The DRC was an important milestone for the field of robotics.

I’d like to tell you now about three very difficult events in my life, and how they relate to the work I plan to do at TRI.

First, when I was in grade school, I came across a fatal accident.

A boy riding a bicycle ended up in the street where he was struck by a car and killed.
I still remember the terrible scene, including the driver, who was sitting with his head in his hands while the emergency personnel tried in vain to revive the boy.
I came home stunned.
It was a moment I would never forget.

Second, when my father reached the age of 83, my sister and I had to take away his car keys – a terribly disappointing day for him and for us.

Third, when my father was 84, he had to be moved to a nursing home.

TRI’s three goals in Safety, Accessibility, and Robotics ring true to me because of these three events in my life, and we will work towards making these kinds of difficult events less likely for families around the world.

This is just the beginning and I can’t accomplish this alone.

I want to make ever-better-cars as a member of Toyota and improve the quality of life for all people through mobility technology.

Finally let me close with this:

Toyota sells approximately 10 million vehicles a year- 100 million in ten years.
If each of them runs 10,000 km a year, that totals 1 trillion km per year of potential real-world data.

Data which could be collected from Toyota vehicles driving in variety of conditions all over the world will be a key for us to accelerate the evolution of future technology.

On the other hand, the cumulative miles driven and geographies show how difficult it will be to ensure reliability.

With Toyota’s bold motivation and large scale, I see the potential improvement that AI can bring to quality of life and society.

I’ve spoken about the application of Artificial Intelligence in Cars and Robotics.
But it goes beyond that.
AI can also be applied broadly to help society.

For example, AI can be used to schedule cars, manage traffic, deliver goods, schedule the operation of a factory even beyond Toyota’s famous production system, and accelerate scientific discovery in materials and environmental technology.

TRI will aim to develop technology for these and other applications, expand Toyota’s boundaries, and positively impact society.

I think Toyota will contribute to society by transforming from a successful hardware company to a new company, by integrating software technologies, this is why I joined Toyota.

Last week at the Tokyo Motor Show, Toyoda-san spoke about stepping up to the plate and meeting challenges head on, taking full responsibility without making excuses, no matter what happens.

It’s my time to step to the plate.

I believe taking on these challenges gives us the power to change the world.

I can’t wait to begin.

Thank you very much. Arigato gozaimasu.

END