独ニュルブルクリンクで毎年開催されているADAC主催の耐久レース「ADACチューリッヒ24時間レース」(ADAC Zurich 24h Rennen)ことニュルブルクリンク24時間レース決勝が、5月28日午後3時30分(日本時間の5月28日22時30分)より実施された。
24時間を経て、翌29日・最初にチェッカーフラッグを潜ったのは、ブラックファルコン・チームの4号車・メルセデスAMG GT3 となった。
周回数は134周(1周25㎞)となり、24時間でトータル3350kmを走りき切ったにも関わらず、2位のHTPメルセデスチームの29号車・メルセデスAMG GT3に、5.7秒という僅差による勝利となった。
レースは、スタート早々の午後16時20分頃、雹(ひょう)混じりの豪雨が降り積もり、特に約20.8kmの「ノルドシュライフェ(北コース)」を中心にコースが雹に覆われる。これにより、複数台の出走車両がクラッシュする大アクシデントとなった。
これにより、ポルシェのバックアップを受けて出走していた有力チームのマンタイ・レーシング・ポルシェ911 GT3 R 911号車(ニック・タンディ)はリタイアの憂き目となり、レースは一旦、赤旗中段となる。
その後の19時20分、雨の中でセーフティーカー先導によるインフォメーションラップが行われ、ようやくレースは再開。
この段階で、コースは夜間走行に突入する寸前であり、気温も大きく下がっていく中、グリップ力が低下するコース攻略に難航する出走車両が相次いだ。
そうした中、レース序盤は、ローヴェ・レーシングの22号車・BMW M6 GT3がリードを続け、これにHTPモータースポーツ・メルセデスAMG GT3が追従して2位につける展開。
互いの差は1.626秒と、トップ集団の争いは、これ以降も24時間を通してスプリントレースさながらの様相を見せる。
以降、レース開始から約10時間を経た時点のフォーメーションでは個々チームの変動があり、88号車・ハリボ・レーシングAMG GT3を筆頭に、9号車、29号車、30号車と4台のAMG GT3が上位に浮上。
これを、M6 GT3 100号車が追う展開となった。しかしなんとこのM6 GT3 100号車が痛恨のクラッシュ。これによって勝敗の行方は、AMG GT3のメルセデス陣営に握られることになった。
通常24時間レースでは、残り数時間となった段階で勝利者の行方が次第に判断出来るようになるが、今回は、最後の最後までこれが決まらず、24時間を残り1分を切った段階まで勝利の行方が見えない展開となった。
この最終段階でトップを走っていたのは、クリスチャン・ホーヘナデル選手が、ステアリングを握るHTPメルセデスチームの29号車・メルセデスAMG GT3、これをマルコ・エンゲル選手が乗るブラックファルコン・チームの4号車・メルセデスAMG GT3が僅差で追う展開。
レースは23時間59分経過頃、最終コーナーの突っ込みでブラックファルコン・チームのエンゲル選手が、車体の接触を厭わない果敢は走りを見せて、HTPメルセデスチームのクリスチャン・ホーヘナデル選手を、コース外に押し出すように前に出る。
この時点で、両車はすぐさまコントロールラインを潜るが、レースはさらに最終周に突入。
追いすがるクリスチャン・ホーヘナデル選手に対して、マルコ・エンゲル選手は、幸運にも周回遅れの車両を綺麗にかわすことにより、わずかにリードを稼ぎ、そのままブラックファルコン・チームの4号車・メルセデスAMG GT3がゴールラインを潜った。
このエンゲル選手の追い抜き行為に対し、HTPメルセデスチームは、厳重抗議を行ったものの、レースディレクターのウォルター・ホーナング氏は協議の必要なしとして、HTPチームの抗議を却下。
そのまま4号車・メルセデスAMG GT3 4号車(マルコ・エンゲル選手、アダム・クリストドウロ選手、マニュエル・メッツガー選手、ベルント・シュナイダー選手)の首位が確定した。
3位は首位の車両と同じく、ブラックファルコンの9号車メルセデスAMG GT3、4位には、ハリボー・レーシングの88号車メルセデスAMG GT3となり、終わってみれば、メルセデスAMG GT3の上位4位独占となった。
5位にようやくシューベルト・レーシングのBMW23号車が食い込み、6位は、ザクスピードの25号車メルセデスAMG GT3となっている。
対して日本車勢では、星野一樹選手がステアリングを握ったニッサンGTアカデミー・チームRJNの35号車・ニッサンGT-RニスモGT3が、上位陣営が強力な出走体制を敷くなか前年から順位を落としたものの総合11位(SP9クラス11位)と健闘。
次いで106号車・スバルWRX STIが総合20位(SP3Tクラス1位)、36号車・レクサスRC Fが総合24位(SP-PROクラス1位)。
市販車に極めて近い状態での挑戦となった326号車・トヨタC-HRレーシングが総合83位(SP2Tクラス3位)でチェッカーを受けた。
188号車・トヨタRCは、夜間走行時を契機にトラブルが発生。マシン修復に時間を取られる展開となり大きく後退。
最後は、モリゾー選手こと豊田章男氏が最終スティントに望むためピットで控えるなかで、リタイヤとなり総合133位(SP3Tクラス7位)で今回の24時間レースを終えている。
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