日産、新スポーツクロスオーバー「Nissan Gripz Concept」を世界初公開


日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は9月15日、ドイツのフランクフルトで開催中のフランクフルトモーターショー(IAA、プレスデー:9月15日~16日、一般公開:9月17日~27日)で、2+2クロスオーバーのコンセプトカー「Nissan Gripz Concept (ニッサン グリップス コンセプト)」を世界初公開した。

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今回のコンセプトカーは、欧州と日本のデザイナーが共同でデザインしたもので、コンパクトクロスオーバーの性能と実用性、そしてスポーツカーのワクワク感とパフォーマンスを兼ね備えている。

「ニッサン グリップス コンセプト」は、斬新なデザインとハイブリッド構成のEVパワートレインを搭載。

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これまでのクロスオーバーに対する概念をくつがえすモデルとして、クロスオーバーセグメントの先駆者である日産が打ち出した未来のコンパクトクロスオーバーの究極の姿であるとしている。

コンパクトクロスオーバーの特長を残しつつ、スポーツカーのようなシルエットは日産の歴史に裏打ちされたもの

日産によると、「ニッサン グリップス コンセプト」は、平日の通勤にも週末の遊びにも対応できるクルマとして想定された。

サイクリストが、通勤用と同じ自転車でオフタイムにサイクリングを楽しむように、ドライバーは、同じ車で平日には街中を走り、週末には山道でのドライブを楽しむことができる。

このコンセプトカーは、コンパクトクロスオーバーの特長を残しつつ、スポーツカーのようなシルエットも組み合わせ、かつ車高を高めに保っているため、過酷な運転環境にも対応が可能という。

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この「車高を高めたスポーツカー」という発想は、1970年代のサファリラリー等に於いて活躍し、世界に鮮烈な印象を残したフェアレディZをオマージュとして捉えたものであるという。

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つまり、「ニッサン グリップス コンセプト」のデザインコンセプトに於いて下敷きとなったのは、これまで日産が培った歴史に裏打ちされたものであるという訳だ。

パワーユニットは電動パワートレインに、ガソリン駆動の発電ユニットを組み合わせたハイブリッド方式

その「ニッサン グリップス コンセプト」は、クロスオーバー、SUV、そしてスポーツカーの分野で培った英知を結集、主力のパワートレインに電動モーターを搭載する。

動力システムは、同社の電気自動車(EV)の技術をベースにしたシリーズ・ハイブリッドEVシステム「Pure Drive e-Power」を採用した。

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システムの中核となる大容量モーターは、実績並びに高い信頼性を持つ日産リーフと同一ユニットから派生したもので、最高出力80kW、最大トルク254Nmを発揮する。

なお駆動に必要な電気はガソリンエンジンで発電していく構想である。「Pure Drive e-Power」には、日産が長年のEV開発の中で培った様々な制御技術が統合されており、このシステムにより、圧倒的な静粛性と優れた燃費効率、そして、スムーズで素早く、リニアな加速が可能になるという。

開発のキーワードは、装飾を排除した「軽さ」と、ラリーカーが持つ「強さ」との融合

同車のデザインは、日産の新しいデザインコンセプト「エモーショナル・ジオメトリー」の特徴を有したスタイルである。

このフォルムは、2015年3月のジュネーブモーターショーで公開したコンセプトカー「スウェイ」(Sway)が欧州で初採用した4つのデザイン要素と取り入れた。

すなわち、Vモーショングリル、フロント・リヤのブーメラン型ランプ、フローティングルーフ、キックアップCピラーである。

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一方で、「スウェイ」がコンパクトハッチバックの新たな方向性を示唆したのに対し、「ニッサン グリップス コンセプト」は全く異なる方向性を示した。

同車は、以下に挙げる2つの異なる性質を備えているという点で、日産に於けるコンパクトクロスオーバージャンルの究極の姿だと日産では語っている。

そのキーワードは、ツール・ド・フランスのロードレース用自転車のように一切の不要な装飾を排除したかのような「軽さ」と、ラリーカーの「強さ」だ。このコンビネーションが究極の敏捷性を生み出す。

日産が、コンパクトクロスオーバーセグメントでどこまで挑戦できるか、その極限を表している

日産の専務執行役員で、チーフクリエイティブオフィサーの中村史郎は、「日産は『キャシュカイ』や『ジューク』でコンパクトクロスオーバー市場を開拓してきました。

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このセグメントは、他の自動車メーカーも参入してきていることで、成長を続けています。

但しこのコンセプトカーは、こうしたモデルたちの次期型として開発したものではなく、我々がコンパクトクロスオーバーというセグメントでどこまで挑戦できるか、その極限を表しているのです。

フランクフルトモーターショーで、このモデルに世界がどう反応するか、そして、このコンセプトカーが次世代の日産のクロスオーバーのデザインにどのように影響を与えるのか、私たちは、その将来を見据え、未来の到来を楽しみにしています」と語っている。

エクステリアデザインは、「ハイテクでありながらシンプル」という2つの相反する矛盾に着想を得たもの

冒頭に於ける説明の通り、ニッサングリップスコンセプトのデザインは、ロンドンの日産デザインヨーロッパと、日本の日産グローバルデザインセンターのコラボレーションによるものだ。

そのエクステリアデザインは、ダイナミックに流れる面とシャープなエッジが強いコントラストを表現する「エモーショナル・ジオメトリー」コンセプトに基づいて形作られている。

また、このコンセプトカーは、レース用自転車が両立する「ハイテクでありながらシンプル」という2つの相反する矛盾に着想を得ており、カーボンフレームの上に表情豊かなボディパネルを装甲被覆材のようにかぶせている。

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このため、デザインのいたるところでむき出しのカーボンが使われており、フロントドア構造の先端部にあるブーメラン形状など、特徴的な部分を強調している。

フロントエンドは、ハイビームとロービームを搭載した長方形のライトに取り囲まれ、低い位置に取り付けられたVモーショングリルをメインにデザインされた。

ライトの中には正面を向いたカメラが搭載されており、サイクリストがヘルメットに装着するカメラと同様に、全ての運転シーンを録画できる。

ドライブ中の風景を世界中にライブ映像で流すことができ、友人たちはパソコンやタブレット、スマートフォンで、その様子をリアルタイムで追跡することができる。

ブーメラン型のランニングライトが、フロントフェンダー上部のライトの上に搭載されており、マットブラックのフードとレッド・オレンジのメインボディカラーを仕切るデザイン上の境界線となっている。

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また、ホイールアーチの延長部や、グラウンドクリアランスを大きくするために高くした三角形状のシル、フローティングルーフにつながるAピラーにもマットブラックを使用。ルーフは、光沢のあるパネルを中心に両側の座席の上部に鉛のようなグレーの複合パネルを使用している。

レース用自転車に着想を得た3スポークの22インチホイールに、軽量かつ強靭な高圧タイヤを装着

この複合パネルは、車両の後部に行くにつれて幅が狭くなり、テールランプと一体化する。これはフロントランニングライトのブーメラン型を模したもので、リヤスリークォータービューを包み込む。

リヤは、先端を切断したような印象的な形のマットブラックのカムテール形状で、リヤエンドを垂直に断ち切った『コーダトロンカ』効果を狙っている。

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加えて、リヤゲートの下には、クロムメッキされた台形のエキゾーストパイプが取り付けられた。

3スポークの22インチホイールも、レース用自転車に着想を得たもので、ニッサングリップスコンセプト用に特別に作った軽量でありながら強靭な高圧タイヤが装着された。サイドウォールのレッドとホワイトのグラフィックは、ステアリングホイールにも再現されている。

乗員の室内への誘導に於いては、奥行きのあるガルウィング式のフロントドアと、リヤには後ろ開きのハーフドアを採用。Bピラーはなく、2+2タイプのシートへ簡単に乗り込むことができる。

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エクステリアと同様に、インテリアも機能性を持たせたシンプルさを主テーマとし、堅持している。

インストルメントパネルは、コンセプトカー「スウェイ」やその他最近の日産車に既に採用されているグライディングウィング形状とし、マットグレーと深い赤みがかったオレンジの色のコンビネーションをエクステリア同様にインテリアにも使用してツール・ド・フランスの印象を強調した。

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露出したタイヤチューブやバケットシート、またレイヤー状のデザインが、エクステリアの被覆材的な雰囲気とリンクさせており、シートとセンターコンソールは、レース用自転車のサドルからダイレクトにインスピレーションを受けたもの。

3スポークのステアリングホイールは、エクステリアのタイヤホイールをイメージしたもので、タイヤのサイドウォールに使用したグラフィックを取り入れている。

これら軽快なデザインスタディは、力強さとシンプルさを両立しており、同コンセプトカー開発のコンセプトと完全に調和していると日産では謳っている。

諸元(mm)
全長 4,100
全幅 1,890
高さ 1,500
ホイールベース 2,580