ミラフィオーリ・カロッツェリー工場で年末迄に5,000台が生産
ステランティス傘下のフィアットブランドは7月4日、トリノのミラフィオーリ・カロッツェリー工場で、新たに追加される新型500(ヌォーヴァ・チンクエチェント)ハイブリッドの生産に着手。同年末までに5,000台の生産を目標に据えていることを明らかにした。
生産スケジュールは、ステランティスが2024年12月にイタリア企業・イタリア製造省 (MIMIT) に提出したロードマップに沿って着実に進み、現在の試作車両の組み立て確認が、本格的な車両生産に係る重要な節目となっているという。
今後、試作工程に係る確認作業が順調に進んで、当該工場がフル稼働に入った場合、年間約10万基のハイブリッドユニットの生産が同工場で新たに加わる予定であり、これはかつて1957年に2代目500の生産を開始した歴史あるトリノ工場の復活に向けた後押しとなるとしている。
そんなフィアット 500 ハイブリッドは、アイコニックなエクステリア&インテリアデザインを踏襲しつつ、最新鋭の機能性も兼ね備えた車両で、ハッチバック、3+1、カブリオの 3 つのボディ スタイルで提供される。
そうしたなかで、まずはFireFly1.0L(直列3気筒ガソリン)マイルド ハイブリッド エンジン(最大出力70hp/6000rpm、最大トルク9.4kgm/3500 rpm)と6速マニュアル ギアボックスを組み合わせたモデルが本格生産に入る。
新型車両のインストルメントパネルには、10.25インチのタッチスクリーン、ワイヤレスのApple CarPlayとAndroid Auto、そして市街地走行に最適化された包括的な安全性と運転支援技術を備えたUconnect 5インフォテインメントシステムが搭載される。
フィアットでは、このハイブリッドユニットを搭載した新たな500のデビューを契機に、自らの伝統として受け継いできたトリノモデルを蘇らせたい意向だ。
そのためにフィアットに於いても最も歴史のあるトリノのミラフィオーリ工場で、新たなハイブリッド車生産を開始する。同社では、これまでのEV生産で培われた技術と伝統と背景に、より人々の生活に密着した500を世界に向けて届けていく考えを示した。
この新たな章の幕開けにあたりフィアットのCEOで、ステランティスのグローバルCMOを務めるオリヴィエ・フランソワ氏は、 「新型500ハイブリッドの生産開始をお伝えできた今日は、我々フィアットにとって希望に満ちた新たな章の幕開けとなります。
生産は今年11月に開始され、年末までに5,000台の納入を目指しています。先行モデルは既にラインオフしており、昨年12月にMIMITに提出されたステランティスの戦略ロードマップに基づき、プロジェクトが計画通りに進んでいます。
この取り組みは、トリノ工場の規模拡大に向けた重要な一歩であり、いずれは年間10万台へと生産計画を増強していく考えです。それはミラフィオーリ地域の活性化、新たな人材を育てていく役割、産業としての重要性を高めていく姿勢など、フィアットに於ける当地の価値と伝統を重んじる動きでもあります。
500を復興の旗揚げすることは、イタリアンブランドの価値を一時期の流行という流れの乗せるということに留まらない波及効果があります。
それはイタリア自動車産業界のサプライチェーンを強靱化させること、エネルギー転換に係る我が国の対応力を強めていくこと、欧州発で世界規模の未来産業を牽引していくこと、これらの全てを底上げしていくための「ものづくり」の伝統と革新性を改めて示していくことでもあるのです。
従って500ハイブリッドの生産をミラフィオーリに戻すということは、イタリアに対して、それらの約束を守ることであり、今回、顧客と地域の未来に賭けることを選んだ献身的なチームの努力によってもたらされた我々の大きな成果を言っても良いでしょう。
そもそも、我々にとってミラフィオーリ工場は単なる生産拠点ではありません。ここは、フィアットが誇るべき本拠地であり、1957年にダンテ・ジャコーザ(Dante Giacosa/500の開発技術者ありカーデザイナー)から始まった500の物語を語り継ぐべき出発点でもあり、また今日ではヨーロッパに於けるステランティスのイノベーションの発信拠点でもあります。
ですから我々は、イタリア国内に於ける私たちの産業計画に関してミラフィオーリと500を復活の中心に据えています。11月には、この節目を、街を、そこで働く人々を、そして私たちのルーツへのトリビュートとして、特別仕様車〝500トリノ〟で祝いたいと考えています。
トリノはフィアットを意味し、フィアットはトリノを意味します。だからこそ、公式発表はここ、私たちの街で行われなければならないのです。
新型フィアット500ハイブリッドは、フィアットらしさを示す我々のアイコンです。時代を超越し、世代を超えて愛されるフィアットならではのスタイルは、最先端のテクノロジーと機能を取り入れながらも、新型500を介して守り続けていきたい伝統でもあるからです。
鮮やかで洗練されたカラーリングから、厳選された素材まで、あらゆるディテールに拘り抜いた500ハイブリッドは、もはや単なるクルマではなく、新たな時代へと向かうフィアットのライフスタイル体験を未来へ伝えていくものとなります。
テクノロジーとスタイルを超えて、500はまさにアイコンであり、感動を呼び起こし、心を奪い、イタリアならではの自動車観を体現する存在なのです」と述べた。
ちなみに同モデルは先の通り、多様にニーズに応えるべくコンパクトで市街地走行に最適なクラシックなハッチバック、後部座席へのアクセスを容易にするために助手席側に後部ヒンジ式の3つ目のドアを備えた革新的な3+1、そしてオープンエアの運転を楽しめるセグメントで唯一のコンバーチブルである特徴的なカブリオの3つの構成で提供される。
ボンネットの下には、イタリア製の1.0L 3気筒FireFlyマイルドハイブリッドエンジンが搭載され、これに6速マニュアルトランスミッションが組み合わせられる。
12V電気システムは燃費を向上させ、スムーズで扱いやすいドライビングエクスペリエンスを提供。このパワートレインには、ドライビングプレジャー、低燃費、そしてランニングコストの最高のバランスを提供する、実績のある人気のパワートレインが採用された。
高度なコネクティビティと充実したテクノロジーを備えた500ハイブリッドは、セグメント最高峰のUconnect 5システムを搭載した。
カスタマイズ可能な10.25インチ高解像度タッチスクリーンに加え、7インチデジタルディスプレイも搭載。Apple CarPlayとAndroid Autoとの完全なワイヤレス互換性により、運転中の気を散らすことなく、直感的で安全なスマートフォン連携を実現させている。
車内には、都市部での快適性と安全性を確保するための幅広い先進運転支援システム(ADAS)の他、自動緊急ブレーキ、レーンキープアシスト、道路標識認識など、市街地での安心感を高める様々な機能が搭載されている。
なお当地イタリアでは、新型フィアット500ハイブリッドの物語は、まだ始まったばかりだとしている。それによると新型500ハイブリッドは単なる手軽でおしゃれなコンパクトカーではないという。
それは伝統と未来、アクセシビリティとテクノロジー、イタリアのアイデンティティとグローバルなビジョンが融合したイタリアの象徴だという。ゆえに500がミラフィオーリに戻ってくることは、人々、工場、そして国への約束が果たされたことを意味すると謳っている。