マレリの脱炭素化目標、科学に基づく目標イニシアチブから承認

マレリはバリューチェーン全体で2045年までにネットゼロ達成へ

自動車部品大手のマレリは6月18日、2045年までのネットゼロ目標および科学的根拠に基づく短期および長期の炭素排出削減目標について、「科学に基づく目標イニシアチブ(Science Based Target initiative; SBTi)」から承認を受けたことを明らかにした。

マレリでは、同承認は自社の持続可能性の歩みに於いて重要な節目だという。またマレリの脱炭素化目標がSBTiに承認されたことは、マレリの目標が地球温暖化を抑制するための気候科学的根拠と一致していることを示しているとした。

上記「科学に基づく目標イニシアチブ(SBTi)」は、企業や金融機関が気候危機に対処するための役割を果たすことを可能にする企業向けの気候行動組織。

これは、企業が科学に基づいて目標設定し、破滅的な気温上昇を防ぎ、遅くとも2050年までにネットゼロを達成するために必要な基準、ツール、ガイダンスを開発しているもの。

そのパートナーには、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、We Mean Business Coalition、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が含まれる。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最新の気候科学は、国連によって「人類に対する警戒警報」と表現されており、産業革命以前のレベルに対して1.5°C以下に地球温度の上昇を抑制し、最も破滅的な結果を避けることが依然として可能であることを示しているものの、その閾値に非常に近づいていることが警告されている。

そうしたなかマレリは、SBTiによって検証された以下の目標にコミットしている。

短期目標:2022年を基準年として、2030年までにスコープ1、2、3にわたる温室効果ガス(GHG)排出を42%削減する。 長期目標:2022年を基準年として、2045年までにスコープ1、2、3にわたるGHG排出を90%削減する。

全体のネットゼロ目標:2045年までにバリューチェーン全体でネットゼロのGHG排出を達成する。

企業がネットゼロを達成したと見なされるのは、排出量を少なくとも90%削減し、残りの排出量をすべて相殺した場合に限られる。マレリは排出量全体の削減を優先し、その後ネットゼロ排出を達成すべく、全残存排出量をSBTiの基準に従って相殺する。

参考までに、『スコープ1』の排出量は、報告企業のオペレーションからの直接GHG排出を含む。

『スコープ2』は、報告企業が消費する購入または取得した電力、蒸気、冷暖房に起因する間接GHG排出を指す。また『スコープ3』は、報告企業のバリューチェーンに於いて発生するその他の間接的なGHG排出であり、上流および下流の排出を含んでいる。

そうしたなか2023年10月、マレリは24か月以内にSBTiによる目標の承認を得ることを掲げ、2025年4月には予定より早く完全な検証を達成した。

SBTiによる承認は、サプライヤー、オペレーション、製品イノベーションを含むバリューチェーン全体での温室効果ガス排出削減に於けるマレリの取り組みが、パリ協定と整合していることを確認するものだという。

なおSBTiとの協力により、今後数年間のマレリの進捗が厳格に外部モニタリングされることが保証されるとした。

マレリでサステナビリティ責任者を務めるデニス・ラナ氏は、「私たちはこの達成を誇りに思います。これは、グローバルな排出削減努力を支援するという会社のコミットメントにおいて重要な節目です。

SBTiの検証は、私たちのコミットメントに対する顧客の信頼を築く上で非常に価値があります。また、規制枠組みの直近の変化に左右されない私たちのコミットメントとビジネスの自主性を、社内に強いメッセージとして送るものです」と述べている。