日立、自治体向けIoTクラウドサービスの販売開始


自治体保有データのオープンデータ化と利活用、民間のクラウドサービス利用を支援

株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長兼CEO:東原敏昭)は8月21日、自治体が保有するデータのオープンデータ化と利活用推進を目指し「地域IoT連携クラウドサービス」を全国の自治体向けに販売する。

このサービスは、マイナンバー制度施行で強固なセキュリティ対策が施されている自治体情報システム内のデータ利活用を促進するべく、セキュアな環境下でも自治体内データの外部連携を実現し、民間のクラウドサービス利用を可能とするもの。

これにより、民間でも各自治体で蓄積した防災やエネルギー、ヘルスケア、観光、交通といったデータを分析・利活用することが可能となり、地域の活性化や安全、公共サービスの充実など、データを活用した課題解決を支援していく。

このサービス提供を決めた理由は、2017年度に施行された「官民データ活用推進基本法」、政府が主導するSociety5.0(*1)や、各自治体の「自治体SDGs(*2)」の推進を踏まえ、自治体と民間企業が互いにデータを連携・分析して、新たなサービスやビジネス創出に有効活用していくことが求められているため。

ただ各自治体は、総務省発表の「自治体情報システム強靭性向上モデル」に基づき、マイナンバーを取り扱っていることから情報端末を外部ネットワークから遮断するなど、より強固な情報セキュリティ対策を講じているが現実だ。

それゆえ自治体内の各種データを民間のクラウドサービスと連携させながらも、セキュアなネットワーク環境を確保することが、情報連携上の大きな課題であった。

そこで日立では自治体内のLGWAN(*3)系業務システム環境とインターネット利用のためのネットワーク環境を分離するほか、ウィルスの感染を防ぐ無害化通信を維持しながら、自治体データの外部サービスとの連携を実現させていく施策を打ち出した。

これにより自治体内でインターネット環境から分離して管理されていたデータと外部連携できる上で、各種民間サービスをLGWAN-ASPサービス(*4)としてセキュアに利用することが可能となる。

なおこのサービスは、日立の環境情報ソリューション「EcoAssist」や「地域包括ケアICTソリューション」など、日立が提供するクラウドサービスとの連携にも活用可能だ。

*1_Society 5.0:日本政府が掲げる新たな社会像であり、その実現に向けた取り組みのこと。AIやIoT、ロボットなどの革新的な科学技術を用いて、社会のさまざまなデータを活用することで、経済の発展と社会課題の解決を両立し、人間中心の豊かな社会をめざす。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く5番目の新たな社会として位置づけられている。

*2_自治体SDGs:SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)は、経済・社会・環境に係わる新たな価値創造を通じて多様な都市・地域モデルの創出をめざす「環境未来都市」構想と共通する点が多く、自治体がSDGsを導入することで、国全体としての地域創生の推進につながる。自治体SDGsは、全国の自治体による地域のステークホルダーと連携したSDGsの目標達成に向けた積極的な取り組みの総体のこと。

*3_LGWAN(Local Government WAN/総合行政ネットワーク):自治体を相互に接続する行政専用のネットワーク。*4LGWAN-ASPサービス:LGWANを介して、利用者である自治体の職員に各種行政事務サービスを提供するもの。

*4_LGWAN-ASPサービス:LGWANを介して、利用者である自治体の職員に各種行政事務サービスを提供するもの。

「地域IoT連携クラウドサービス」の特長
1. セキュアな環境下で自治体のデータ利活用を実現
本サービスのクラウド間データ連携機能を活用することで、インターネットと分離したネットワーク環境や無害化通信を維持しながら、セキュアな環境下で、外部サービスとの連携を実現する。

これにより、従来、自治体の情報端末で利用が許可されていた特定のアプリケーションやサービスのみならず、電車の乗り換え検索やWebサイトの閲覧といった各種インターネットサービスが利用できるようになる。

また昨今、注目を集めているAIやRPA*5といったサービスをLGWAN-ASPサービスとして利用することが可能となるなど、自治体データと民間サービスとのデータ連携を推進し、行政における新しい施策・サービスの創出に寄与する。

2.データ連携・利活用に必要な各種機能を提供
自治体庁舎内のネットワークと、外部サービスとのデータ連携を実現する機能や、各種データを集約・蓄積する連携データベース機能といった基本機能を提供。

さらに今後は、さまざまな文字情報を標準化するための文字情報基盤や、パーソナルデータの匿名加工技術、単語の表記・意味を統一する共通語彙基盤、収集データの分析機能など、データ連携・利活用で必要となる共通機能を、標準サービスとして順次提供する予定。

サービスの価格および提供開始時期
サービス名:「地域IoT連携クラウドサービス」
価格:個別見積
提供開始時期:10月1日

「地域IoT連携クラウドサービス」に関するWebサイト