グッドイヤー、原料に大豆油由来のゴム化合物を使用してタイヤ性能の強化へ


ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(Goodyear Tire and Rubber Company・本社:米オハイオ州アクロン、CEO:リチャード・J・クレイマー、以下グッドイヤー)は、アメリカの大豆振興団体(USB : United Soybean Board)から支援を得て実現した新たなタイヤ技術を発表し、ユニークなイノベーションの「種」の収穫に乗り出した。

グッドイヤーは、大豆油を原料とする新たなゴム化合物を初めて商業的に使用することで、ドライ路面、ウェット路面そして冬季天候におけるタイヤの性能を強化すると云う。

この取り組みについてグローバルマテリアルサイエンス部門ディレクターであるEric Mizner氏は、「グッドイヤーにとって、技術革新とは消費者の需要に応える高品質のタイヤを開発し、新技術によるソリューションを提供し続ける原動力です」と述べている。

グッドイヤーは、大豆油を使用することにより、気温が変動する中でもゴム・コンパウンドの柔軟性を維持し、その結果、タイヤにとって重要な路面グリップ性能の維持と強化を実現する新たな方法を開発することに成功した。

また、グッドイヤーによる試験では、大豆油を使用したゴム・コンパウンドの場合、タイヤの製造で使用されるシリカ化合物との混合がより容易になることが明らかになった。

これにより、生産効率が向上し、エネルギー消費を低減することが期待できる。

グッドイヤーは、このプロジェクトにおいてUSBと協力してきた。USBとは、米国内の大豆農家すべてを代表する財団であり、農家がディレクターを務め、チェックオフプログラム(組合費天引きで行うプログラム)による投資の監視を行っているが、グッドイヤーは、大豆油のタイヤへの利用に取り組むにあたり、USBから開発資金援助を得ている。

今回、グッドイヤーは、タイヤ生産における大豆油の商業的利用に着手したが、これは米の籾殻に由来するシリカの利用や、消費者向けタイヤでのカーボンファイバーDuPontTM Kevlar®の採用などと同様に、グッドイヤーの最新技術革新の取り組みのひとつである。

ちなみに天然ゴムはパラゴムノキという「植物」から生産することのできる再生可能資源である。

しかし一般的に遠くない未来に於いて、枯渇が予測される石油由来の合成ゴムと異なり、パラゴムノキは持続可能な資源となり得る可能性を持っている。

その一方で、パラゴムノキの栽培は広大な土地を必要とするという弱点がある。

2050年には、世界の全人口が90億人に到達すると云われている昨今、タイヤのみならず天然子ゴム需要は、現在の倍以上に膨れあがる。その需要に応えるために、天然ゴムの栽培面積を増やしていくことは、地球上の生態系に影響を与える可能性が出てくるのだ。

そこでタイヤメーカー各社はタイヤに使う天然ゴム外に、合成ゴムの代替原料の研究を進めている。

最も可能性が高いのは、温帯や乾燥地域で栽培可能な植物であるため、バイオマス(生物由来資源)から原料を創り出す研究も進められている。

一方でパラゴムノキに代わる天然ゴム資源として、温帯で栽培可能な多年草「ロシアタンポポ」をゴム原料に使うという動きもある。

日本グッドイヤー株式会社ホームページ https://www.goodyear.co.jp/