独・鉄鋼大手、新技術領域で「人とくるまのテクノロジー展2016」に出展


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ティッセンクルップAG (本社:独ノルトライン=ヴェストファーレン州エッセン、CEO:ハインリヒ・ヒージンガー)は「人とくるまのテクノロジー展2016」(5/25〜27)に於いて世界に於いても希有の新技術製品を披露している。

同社は、ドイツ製鉄業の拠点であるドイツ・エッセンに本社を構える鉄鋼・工業製品などのテクノロジーメーカーであり、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に合併して誕生したドイツ製鉄業界最大の企業である。

現在、世界約80カ国に拠点を持ち、2014-2015年度の売上高€428億、従業員数154,906人を配する多国籍企業であり、日本には東京都・羽咋市・豊田市・広島市・北九州市に拠点を持つ。

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元来、同社は鋼材を中核とした素材開発に強みを持つ産業グループであるが、新たな事業の地平を目指す今日の同社事業の中核は、自動車や機械工学、産業用のハイテク部品の開発・生産である。

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自動車業界では、カムシャフト、シリンダーヘッドモジュール、クランクシャフト、ステアリング、ダンピングシステムなどの他、鋼材開発分野に於けるマテリアル領域で、特に鍛造並びに冷間鍛造プロセス技術の開発に於いて、世界の自動車バリューチェーン全体で、一定の役割と立ち位置をその歴史の中に印している。

併せて日本国内に於いては、一般消費層に浸透しているビルシュタインブランドを配する企業としても良く知られている。

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また昨今は、製品の技術開発領域でアセンブリ事業から既に1歩を踏み出しており、ステアリングバイワイヤー、シングルホイールアクチュエータ、自動運転技術の開発など多岐に亘っている。

そんな同社が、今回、ブースNo.286にて出展する製品ジャンルは、自動車用鋼鈑並びに次世代を担うサスペンションシステム、そして同社が、開発・製造過程に於いて世界初の技術を投入したと語るCFRP複合構造のコイルスプリングの3ジャンルとなる。

その概要は以下の通りとなる。

【自動車鋼鈑】

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冷間成形用スチール
・外板用に求められる1200MPaに至る高強度鋼。

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熱間成形用スチール
・1900MPaに至る高強度のマンガンボロン鋼。
・複合材料による重層構造により、高強度と高延性を兼ね備えた®TRIBOND鋼。

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亜鉛マグネシウム合金メッキ技術
・一般的な内板部材だけでなく、外板部材にも適応させた新技術を導入。
・既存の常識を覆し、外板利用でも優れた塗装外観を実現する。
・金型に付着するメッキ片による型摩耗を激減させる表面強度を実現している。

【自動車用サスペンション】
BILSTEiN IRC・アクティブサスペンションに制御用アプリを実装
既に車内操作によるアクティブサスペンション制御を導入・納入していた同社だが、今回、スマートフォンアプリでの減衰等調整が可能なシステムをBILSTEIN B16のridecontrol®に組み込んだ。

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具体的には、加速度のしきい値を変化させることによって、3つのプリセットオートモード(コンフォート・ノーマル・スポーツ)の調整、サスペンション設定のパラメータ切り替えが行える。

これはスマートフォン等の外部デバイスによるサスペンション設定の切替を実現したものだが、同技術に立脚し、今後、自動車メーカー等の車両搭載時に於いては、走行車両制御のインターフェイス開発で、新領域を切り拓く可能性があるものと見られる。

【tk FRPコイルスプリング】
CFRP・軽量・高耐久性コイルスプリング
自動車のサスペンション向けの炭素繊維強化樹脂(CFRP)利用のコイルスプリングは、現段階では、参考展示等で各国の見本市会場で顔を覗かせているが、現在、耐久性と世界最軽量を狙って各社がしのぎを削っている分野である。

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同社製コイルスプリングの一例

軽量化で圧倒的優位点に経つ同製品化への課題は、ばね定数と耐久性などの条件を、鋼材製のコイルスプリング等しくさせることにある。

同社に於いては、ドライカーボン構造に於ける線材の加工から始まり、縒り方や積層に工夫を凝らし、製品の単体重量で既存スプリングの約半分まで軽減。

既に200万回以上の最大負荷時の強度実験を通過し、製品化目前であると述べている。現段階では、製造工程に於ける詳細を非公開にしているため、その複合構造の仕組みは不明であるが、仮にいち早く製品化されれば、世界初の実用化技術になると見られる。