ブリヂストン、天然ゴム資源「パラゴムノキ」の簡易病害診断技術を確立


株式会社ブリヂストン(本社:東京都中央区京橋、代表取締役CEO 兼 取締役会長:津谷正明、以降、ブリヂストン)は、将来にわたって天然ゴム資源の大部分を担う「パラゴムノキ」の病害である根白腐病※1を、簡単かつ迅速、また正確に診断する画期的な簡易病害診断技術を確立した。

これにより、「パラゴムノキ」の保護と天然ゴムの安定供給に貢献していくという。

世界の人口増やモータリゼーションの進展に伴い、タイヤ需要は今後拡大が見込まれ、併せて天然ゴムの消費量も増加するものと予測されている。

天然ゴム需要増加に対応するためには、「パラゴムノキ」の単位面積当たりの生産量を増やすことが必要だ。

しかし世界の「パラゴムノキ」の栽培面積の9割以上が集中する東南アジアでは、土壌中の病原菌が原因で感染が拡大する根白腐病への対策が重要な課題となっていた。

現在、根白腐病の診断は目視で行われているため、検出精度が低く、また土を掘らないと診断できないことから、発見の遅れや誤診などが生じ、病害を蔓延させる原因であった。

そこで、2010年より当社は、インドネシア技術評価応用庁及び複数の大学と連携し、早期に病害を診断する技術の開発を進めてきた。

今回同社が確立したのは、LAMP法※2と呼ばれるバイオテクノロジーを応用した診断技術。

これは、当社で解析した病原菌の遺伝子配列情報をベースに開発した試薬キットを利用することで、フィールドにおいても特別な装置を使うことなく、目視でも簡易で、病害菌の有無を確認することができる画期的な先端技術である。

同技術により、根白腐病の早期発見が可能となり、羅病木から健全木への感染拡大の抑制が期待されている。

また、知識や経験の有無にかかわらず利用可能な本技術を展開することで、被害の抑制やメンテナンスが容易になるなど、今後、農園管理面においても多大な効果が期待できるという。

同社では、「今後、インドネシアや国内の大学との連携を継続、さらに強化し開発を推進すると共に、これらの技術の普及を通じて、「パラゴムノキ」の保護と天然ゴムの安定供給に貢献していきます。

当社グループは、本技術をはじめとする天然ゴムの生産性向上技術の開発を含め、様々な原材料の研究開発等の活動を通じ、2050年を見据えてタイヤの原材料を100%サステナブルマテリアル※3化することを目指していきます」と述べている。

※1 根白腐病とは
糸状菌の一種であるパラゴムノキ根白腐病菌(Rigidoporus microporus,ネッタイスルメタケ)が引き起こす病気。根に感染し組織を腐敗させることで、樹木を枯死に至らしめる。

感染初期の発見が困難。現状では抜本的な対策がなく、発症した場合、罹病部位の切除、薬剤処理により対処する。感染部位には、以下の写真のような菌糸束、子実体(キノコ)が現れる。

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※2 LAMP法とは、栄研化学が開発した遺伝子増幅法です。土壌中の病原菌に特異的なDNA配列を増幅させ、検出するもの

※3 同社では「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けている。