ル・マン24時間 公式予選、7号車は黄旗に阻まれ16番手で終える
6月11日(水)、フランスのサルト・サーキットで2025年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦・第93回ル・マン24時間の公式走行セッションが開始され、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はシーズン最大のイベントへ向けて一歩を踏み出した。
8日(日)に行われたテストデーでトップタイムをマークした後、マニュファクチャラーズタイトルのディフェンディングチャンピオンであるTGRは、トヨタが初めてル・マンに参戦してから40周年を迎える今大会で、6度目のル・マン制覇を目指す挑戦をスタートした。
この日は、2度の公式練習走行セッションの間に予選が行われ、2台のGR010 HYBRIDは、明日12日(木)に行われる2回のハイパーポールセッションへの進出を目指した。
セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は、ハートレー選手が予選アタックを担当し、10番手タイムをマーク。
これにより、12日(木)にトップ15台によるハイパーポール1への進出が決まった。
一方、小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手のGR010 HYBRID 7号車は、デ・フリース選手がアタックを行ったものの、残念ながら不運なタイミングで出された黄旗の影響を受け16番手となった。
8日(日)のテストデー後、2日間は走行がなかったが、メカニックたちは2台のGR010 HYBRIDをこの日の走行へ向けて再整備し、10日(火)に行われたピットストップチャレンジへ参加した。
この競技では、全チームがピットでのタイヤ交換の速さを競い、8号車のクルーは7号車クルーよりも速かったものの、総合では惜しくも表彰台を逃した。
午後2時に始まった公式練習1回目は、テストデーの時よりも気温が上がり、30度近くまで上昇。
チームはこの3時間のセッションで、予選や決勝で予想される条件下でのクルマのバランスをチェックし、異なるメカニカルセットアップや制御系のセッティングを比較した。
このセッション中には2度の短い赤旗中断があり、8号車がセッション終盤にスローパンクチャーに見舞われたが、2台のGR010 HYBRIDは共に44周を走り、まずまずのスタートを切った。
ハイパーカークラスの予選は、太陽が沈む前の明るい午後7時半から30分間行われた。
ここには21台のハイパーカーが参加し、上位15台が12日(木)のハイパーポール1へ進出する。
セッション序盤は搭載燃料が多いため、ベストラップはセッション終盤に記録されていく。7号車のデ・フリース選手と8号車のハートレー選手は最初のアタックで着実なタイムをマークしたが、他のライバル勢もタイムを伸ばしており、更なるタイムアップが必要だった。
最初のアタックを終えた2台のGR010 HYBRIDは、一旦ピットに戻り、タイヤを新品に交換して再アタックに挑んだ。
ハートレー選手は最後のアタックでタイムを大幅に更新。一方、デ・フリース選手も同様に途中までタイムを更新していたが、他の車両のアクシデントにより黄旗が出され、7号車はアタックラップを途中で諦めざるを得なかった。
その後、デ・フリース選手はセッションの最後までタイム更新を目指してアタックを続けたが、タイヤ性能のピークを過ぎてしまい、更新は叶わなかった。
結果、7号車はハイパーポール進出を逃し、16番手グリッドとなった。しかし、チームは昨年、23番手グリッドからスタートし、猛追を見せて優勝争いに加わり、最終的には2位でフィニッシュした実績があるため、今大会でも最後まで諦めず勝利を目指す。
公式練習2回目は、日が沈んだ午後10時から始まり、ドライバーは今大会で初めて夜のサルト・サーキットを走る機会を得た。
出場する全ドライバーは、このナイトセッションで5周以上走行することが義務づけられており、TGRの6名のドライバー全員がこの条件をクリアすると共に、涼しい夜のコンディションに合わせた車両セットアップや、ソフトとミディアムタイヤの比較も行った。
セッションの中盤を過ぎた頃、コース上に残された障害物の影響で13分ほどの赤旗中断があった。
チームはほぼトラブルなく、このセッションを終えると思われたが、終盤にアクシデントが発生。平川がドライブする8号車がLMGT3クラスの車両を追い抜こうとした際、車両の右側に接触され、タイヤホイールと車体に軽いダメージを負った。
この日の深夜0時に走行を終えたチームは、12日(木)の午後2時45分(日本時間午後9時45分)から3時間の公式練習3回目で走行を開始する。
そして午後9時5分(日本時間13日(金)午前4時5分)からハイパーポール1が行われ、その中で上位10台が、午後9時40分(日本時間13日(金)午前4時40分)からの15分間のハイパーポール2に進出し、決勝トップ10グリッドを決定する。
その後、最後の練習走行がこの日も深夜0時まで行われる。24時間の決勝レースは、14日(土)午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
総合的に見て、パフォーマンス面では満足のいく結果ではありませんでした。我々の7号車は期待していた速さを発揮できず、残念ながら明日のハイパーポールには進出できませんでした。土曜日の決勝に向けて、レースペースの向上に全力で取り組み、より多くのクルマのポテンシャルを引き出すために最善を尽くします。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
予選の結果を振り返ると、理想的な一日とは言えませんでした。ハイパーポールに進出できなかったのは少し残念です。これからは決勝に向けて集中するだけです。実際、次の公式練習走行では我々のタスクが少し楽になります。まだラップタイムの改善の余地があり、決勝で速いクルマにしていくために努力を続けます。ナイトセッションでクルマは少し良くなりましたし、まだやれることはあります。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
もっとタイムを上げられるポテンシャルがあったので、予選でトップ15に入れなかったことはとても残念です。私のベストラップは黄旗によって遮られ、とても不運なタイミングとなってしまいました。あのアタックラップは、最後まで走り切れていればハイパーポールに進出できる十分なペースだったと思います。翌周もアタックを続けましたが、残念ながらタイヤの性能のピークを過ぎてしまい、タイムを更新するのは難しい状況でした。おそらく、あのラップをクリーンに走り切れていれば、トップ15に入るチャンスがあったと思いますが、最終シケインで他の車両に引っかかってしまい、それで終ってしまいました。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
我々にとって最高の一日にはなりませんでした。8号車がハイパーポールに進出できたのは良かったですが、予選ではもう少し上位に行けると思っていたので、期待通りではありませんでした。ただ、それだけが最優先事項ではないことも理解しています。決勝に向けた準備ができる練習走行セッションは、あと2回残っています。もちろん、ハイパーポールでもできるだけ上位グリッドを目指しますが、それが簡単な挑戦ではないことは分かっています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
我々8号車にとっては、うまくいったセッションでした。最初にクリーンにアタックラップをこなし、2度目のアタックも悪くありませんでしたが、タイムを更新することはできませんでした。ペース面では、上位勢には及びませんでしたが、トップ15に入れたことは嬉しいです。ただ、コースコンディションが大幅に変わらない限り、ポールポジション争いは難しいでしょう。ポジティブな点として、公式練習1回目でのロングランのペースがとても良かったので、それを優先して活かしていきたいと思います。
平川亮(8号車 ドライバー):
今日は我々にとって厳しい一日でした。8号車はハイパーポールに進出できましたが、7号車はわずかにハイパーポール進出を逃してしまいました。競争は非常に接戦なので、決勝に向けてすべてを最適化する必要があります。まだ練習走行が2回残っているので、改善点を見つけて良い戦略を立てるために最善を尽くします。引き続き努力を続け、次はもっと良い一日になることを期待しています。
WEC 第4戦 ル・マン24時間 公式練習第1回目結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム
1 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 31 3:25.148
2 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 41 3:25.302
3 6
マット・キャンベル
ケビン・エストレ
ローレンス・バンスール ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 41 3:25.568
4 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 44 3:25.702
5 5
ジュリアン・アンドラウアー
ミカエル・クリステンセン
マシュー・ジャミネ ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 26 3:25.744
11 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 44 3:26.271
WEC 第4戦 ル・マン24時間 公式予選結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 ベストタイム
1 12
アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:22.847
2 15
ドリス・バンスール
ラファエル・マルチェッロ
ケビン・マグヌッセン BMW M TEAM WRT/
BMW M Hybrid V8 3:22.887
3 51
アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツィ フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 3:23.163
4 38
アール・バンバー
セバスチャン・ブルデー
ジェンソン・バトン キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 3:23.467
5 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 3:23.514
10 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 3:23.988
16 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 3:25.062
WEC 第4戦 ル・マン24時間 公式練習第2回目結果
順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム
1 8
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮 TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 28 3:26.156
2 12
アレックス・リン
ノルマン・ナト
ウィル・スティーブンス キャデラック・ハーツ・チームJOTA/
キャデラック V-Series.R 28 3:26.607
3 83
ロバート・クビサ
イーフェイ・イエ
フィル・ハンソン AFコルセ/
フェラーリ 499P 25 3:26.680
4 4
フェリペ・ナッセ
ニック・タンディ
パスカル・ウェーレイン ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963 23 3:26.748
5 50
アントニオ・フオコ
ミゲル・モリーナ
ニクラス・ニールセン フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P 28 3:26.809
14 7
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ニック・デ・フリース TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID 28 3:27.790
※最新リザルトは、https://fiawec.alkamelsystems.com/ を参照されたい。