国本が2位、バンドーンは急迫するも届かず3位。デビュー戦で表彰台の一角を勝ち取る。ホンダ陣営入賞8位中5台を占める
株式会社日本レースプロモーション(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:白井 裕)は4月24日、三重県鈴鹿市鈴鹿サーキット国際レーシングコース(1周:5.807km)に於いて、「2016 NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レース」全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第1戦の決勝を、32,000人余りの観客を集めて開催し、チーム無限の山本尚貴が予選トップからポール・トゥ・ウィンでの独走優勝を飾った。
思わぬ番狂わせとなった23日の予選を経た後の決勝レースは、前日夜半からの雨も上がって、気温24度、路面温度34度で花曇りのドライコンディション。
昨シーズンのブリヂストンから、ヨコハマタイヤのワンメイクとなって初の決勝では、出走各チームの多くで、タイヤ無交換作戦を選択している選手が見られる。
午後3時15分、前日にポールポジションを獲得した#16 山本尚貴(TEAM 無限)を先頭にフォーメーションラップを行った後、43周の決勝レースの火蓋が切られた。
ターン1へ真っ先に侵入したのはPPスタートの優位点を存分に活かした山本。
これに次いで予選2番手の#2国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、予選4番手のバンドーンと比較的順当な順位で1周目の周回を消化していく。
この際、順位を落としたのはフォーメーションラップのエンジンストールで動揺を見せた#20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、彼が1つポジションを落として4番手で複合コーナーを駆け抜ける。
これに5番手#34 小暮卓史(DRAGO CORSE)、6番手#11 塚越広大(REAL RACING)、7番手#40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、8番手#36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)、9番手#3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が続く。
1周目をトップで走りきった山本は、そのまま後続車両に隙を与えず、さらなる加速を実行、早くも逃げの体制に入る。この作戦が功を博し、5周を終えた時点で、大きく3秒余りも後続集団を引き離した。
一方、先のオープニングラップでエンジンの再始動を行った関口は、再始動手順に於ける違反を指摘され、ピットストップ10秒のペナルティーを科せられ、レースの1割を消化した時点で最後尾まで脱落する。
レースが4分の1を消化した所で、各車給油等でのピットストップに入り始める。この段階の上位集団で均衡を破ったのは、#8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)、共に9番手を争っていたロシター攻略を実行するも、この機を突いた#65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)の先行を許してしまう。
その後、可夢偉は給油とタイヤ交換を行うも、この際、右リヤのナットの緩んでシケインで右リヤタイヤが脱落。併せて可夢偉の僚友である#7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS)も左フロントのナットが緩むという凡ミスで、デグナーの入り口を過ぎたところでレースを終えた。
レースも折り返しを迎える25周あたり。各車、再度の給油とタイヤ交換で慌ただしくピットインを繰り返す。
この時点でトップ集団の順位は固定されており、山本、国本、バンドーン、小暮、塚越と続く。
中団では野尻をかわしたロッテラーがこれに続くも、車体フロント部の安定感を欠き、ロシターにかわされる。当初は、塚越の後方6番手に付けていた野尻は、バゲットにも攻略され9番手にまで順位を落とした。
結局レースは、このままほぼ膠着状態が続き、ホールショットから常にトップポジションを守り続けて来た山本が2位以下に11秒710の大差を付けて独走優勝。
2位はバンドーンの執拗なプッシュをかわした国本が1秒484差でゴールラインを潜り抜ける。4位小暮、5位塚越、6位ロシター、7位ロッテラー、8位バゲットまでがポイントを獲得した。
第2戦は、岡山国際サーキットを舞台に5月28日(土)〜29日(日)に実施される。
以下はレース後の会見コメント
優勝/#16 山本尚貴(TEAM 無限)
1レース制のレースで優勝を飾れて嬉しい。無限やHondaのスタッフが誰ひとり諦めることなく、プッシュし続けた結果だと思う。
またヨコハマタイヤでの初レースということもあって、未知数の多い中で戦略面でも、事が上手く運んだ。
決勝では、10〜15周辺りで4秒前後、後方を引き離せたら優勝できると考えていた。最後の残り10周は自分の中で、どうしたらもっとうまく走れるか、考えられるくらいクルマは安定していた。この経験は次の岡山にも生かせると思うので、収穫があった。
また九州がこんなに大変な時に、こうしてレースができることをとてもありがたく思っている。九州で大変な思いをされている皆さんの中には、僕に力を送って下さった方々も多く、そういう方々に頑張りをご覧頂いて、何かをプレゼントすることができたのではないかと思っている。
2位/No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)
今回は2位に入れた事を素直に喜びたい。正直に言うとスタートを狙っていたが、山本選手に逃げられてしまった。
後ろからはストフェル選手が来ていたのは判っていたが、大きなミスさえなければ抜かれることはないと考えていた。
しかし、ちょっとミスったりすれば追いつかれる、というギリギリの戦いになり、タフなレースとなったのは確かだ。
緒戦だったため決勝を走り切るという点に於いて、ヨコハマタイヤは未知数だったが無交換で行けた。良いタイヤを提供してくれたと思うし、チームも2位に入れるようなクルマを用意してくれたことに、感謝している。
3位/No.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
スーパーフォーミュラの初レースで、3位を手中に出来て良いレースウィークになった。経験豊富なドライバーの中で結果を残すことが出来、とても満足している。
オフシーズンのテストでは、山も谷もあったが、本戦・決勝に向けてチームが素晴らし胃仕事をしてくれた。
特に予選ではQ1、Q2、Q3と都度ニュータイヤでアタックしたが、そのグリップの感覚が新鮮で楽しんでアタックできた。結果、予選4番手につけることができ、3位にも入賞できた。
鈴鹿は抜くのが難しいサーキットだから、予選でいい順位を取ることが大事だったし、レース中は国本選手を抜こうとしたが、彼の走りにミスがなく攻略不足に終わった。ただ結果的にHondaの2台が表彰台に上がれたのは良かったと思う。
ヨコハマタイヤ・秋山一郎開発本部長
ホッとしました。タイヤに厳しい鈴鹿での開幕戦ということもあり、非常にプレッシャーがありました。
そんな中、みなさん最後の最後までうまくタイヤを使いこなしてくれて、いいレースができてホッとしています。今日のレースでタイヤ無交換を行なったチームもありましたが、そういう選択をすることに関しては覚悟はしていました。
チームさんと話をする中で、「レースでは流れに合わせて臨機応変に作戦は変える」ということでしたので、当然ながら無交換というのは想定内でした。うちのメンバーも短期間でいいタイヤを作ってくれたので、本当に良かったです。
次戦が岡山ということもあり、また鈴鹿とは異なるキャラクターのコースでのレースになりますが、走行したタイヤをこれから見て、検証して備えます。
今週末は、短い時間の中でドライバーのみなさんがタイヤを理解してくれたことが、一番うれしいですね。良かったです。
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