LEXUS勢最上位5位フィニッシュは、au TOM’S RC F 36号車
8月7日(日)静岡県の富士スピードウェイで、SUPER GT第5戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが行われた。予選で後方に沈んだLEXUS RC F勢は、追い上げを図ったが叶わず、伊藤大輔/ニック・キャシディ組のau TOM’S RC F 36号車が最上位の5位フィニッシュに終わっている。
スーパーGT・第5戦のレースウイークは、8月6日(土)、7日(日)の両日。前戦SUGOから僅か2週間のインターバルとなり、さらに3週間後には鈴鹿1000kmが待つ「真夏の3連戦」は2戦目を迎えた。
前戦SUGOでは、終盤、4台のLEXUS RC F勢による追い上げで逆転も期待されたが、他車のクラッシュによる赤旗でレースは短縮終了、トヨタ陣営の追劇は潰えた。
そして迎えた今回、決勝の舞台はLEXUSチームのホームコースである富士であるものの、昨年の夏大会も立川祐路/石浦宏明組 ZENT CERUMO RC F 38号車が2位、今年のGWに行われた第2戦でもヘイキ・コバライネン/平手晃平組 DENSO KOBELCO SARD RC F 39号車が2位。また、今季これまでの3戦もLEXUS RC Fは全レース2位と、惜しくも勝利に届かない戦いが続いている。
これを踏まえてLEXUSチームはこの悔しさをバネに、「ホーム」富士での勝利を目指し臨んだ。
予選
LEXUS勢最上位の8位となった関口雄飛/国本雄資組LEXUS RC F
6日(土)、夏の日差しの下で上位8台がQ2へと進出する。
Q1(15分間)は予定よりも6分遅れた午後2時51分に開始されたが、いつも通り全車ガレージ内で待機。残り9分を切ったあたりからコースイン。気温33度、路面温度は50度を超える酷暑のコンディションでのアタックが繰り広げられた。
LEXUS勢では、最初にコースインしたWedsSport ADVAN RC F 19号車の国本雄資が7番手タイムをマーク。
しかし、6番手以降の7台が0.3秒以内に入る僅差の争いの中、LEXUS勢の残る5台はQ2進出ならず。au TOM’S RC F 36号車が10番手、WAKO’S 4CR RC F 6号車が11番手、ZENT CERUMO RC F 38号車が12番手。
ランキング上位で重いウェイトハンデを積むDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車と、KeePer TOM’S RC F 37号車はそれぞれ13、15番手。LEXUS勢は決勝レースで後方からの追い上げを目指すこととなった。
午後3時36分から開始されたQ2(12分間)では、唯一進出を果たした関口雄飛が駆る19号車がライバルに先んじてコースイン。
ライバルがピットで待機する中、たった1台でアタックを開始。関口は最後までアタックを続けたが、上位浮上は果たせず、8番手から明日の決勝レースに臨むこととなった。
一方、GT300クラスでは、上位14台がQ2へと進出するQ1でプリウスの2台が順調に好タイムをマーク。
佐々木孝太のTOYOTA PRIUS apr GT 30号車が4番手、嵯峨宏紀のTOYOTA PRIUS apr GT 31号車が6番手につけ、2台のプリウスがQ2進出を決めた。またSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は29番手でQ1敗退となった。
Q2(12分間)では、31号車を駆る中山雄一が富士の長いストレートスピードで速さを見せる海外製大排気量車を相手に健闘を見せ、6番手グリッドを獲得。永井宏明がアタックを担当した30号車は13番手グリッドとなった。
決勝
7日(日)も好天に恵まれ、気温、路面温度共にうなぎ登り。気温33度、路面温度49度という真夏の暑さの下、決勝レースは午後2時35分に開始。
地元静岡県警の白バイとパトカーの先導によるパレードラップとフォーメーションラップを経て、66周で競われる決勝レースがスタートした。
スタート直後はほぼグリッド順のまま周回が重ねられていったが、まもなく接触などによるアクシデントが多発する波乱の展開に。
8、9周目にライバル勢にトラブルが出てLEXUS RC F勢の順位は繰り上がっていったが、10周目に最後尾スタートの37号車が突然のリアウィング脱落というアクシデントに見舞われ、TGRコーナーでコースアウト。
何とかピットへは戻ったが、リアウィングの交換作業で大きくタイムをロスし、コース復帰時には7周遅れとなってしまった。
18周目には接触を喫したGT300車両から出た破片排除のためにセーフティカーが導入。ドライバー交代が可能な最低周回数を超えた25周目にレースが再開された。
このタイミングでLEXUS勢最上位の6位を走行していた19号車がピットへ向かい、国本から関口へとドライバーチェンジ。10番手スタートから6位へとポジションを上げていたキャシディの36号車は前車を激しく攻め、27周目に5位に浮上する。
その後、レース中盤にかけて次々にピット作業が行われていき、最後まで引っ張った39号車が36周目にピットインすると、伊藤へと交代した36号車がLEXUS勢の最上位5位となり、前を行くGT-Rを追う形となった。
一時は5秒以上あった差を最後は2秒以下にまで詰めた伊藤の36号車だったが先行車には届かず、5位でフィニッシュ。LEXUS RC Fは最上位が5位という厳しい結果でホームレースを終えることとなった。
レースを通してLEXUS RC F同士の好バトルを見せ観客を湧かせた38号車が7位、39号車が8位、6号車が9位、19号車が10位でポイントフィニッシュを果たした。
GT300クラスでは、6番手グリッドから嵯峨のドライブでスタートを切った31号車が3周目に5位、7周目には4位へと順調にポジションアップ。
セーフティカー導入からの再スタートの翌周にピットへ向かい、中山雄一へとドライバーチェンジ。しかし、作業を終えてコースに復帰しようとした際に電装系のトラブルに見舞われ再発進できず。このトラブルの修復に15周ほどを要し、上位争いからは脱落してしまった。
30号車は後半を担当した佐々木孝太が追い上げを見せたが、スティント後半にはタイヤの摩耗が予想以上に進みペースダウン。15位に終わった。60号車は最後尾スタートから着実にポジションを上げていき、17位でチェッカーを受けた。
決勝5位・au TOM’S RC F 36号車 ドライバー 伊藤大輔
基本的には辛いレースだった。勝った12号車(GT-R)以外のライバルとは同じくらいのレベルで走れていたと思う。
前半ニック(キャシディ)が良い走りをしてくれたし、セーフティカーで差が詰まったこともあり、それなりに良いポジションでバトンを受け取れたが、自分のスティントの序盤はオーバーステアが強く、クルマのバランスがなかなか取れない状況で前に離されてしまった。
周回を重ねていくうちにバランスが改善され、終盤は前との差を詰めて行けたが、最初に離された分を取り戻すだけで、逆転まで仕掛けられなかったのは残念だ。
今レースは予想外にLEXUS勢が苦しい展開になってしまったが、次の舞台となる鈴鹿では先日のテストでも良い手応えを得ているので、自信を持って戦いたい。
決勝5位・au TOM’S RC F 36号車 ドライバー ニック・キャシディ
自分のスティントでは、ライバルをパスするなどバトルを楽しめて、とてもエキサイティングだった。
後半を担当した(伊藤)大輔も良い走りをしてくれた。予選10番手というポジションを考えれば大きな進歩を遂げられたレースだったと思う。とはいえ、もちろん次戦以降はもっと上を狙っていかなければならない。