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IBMとGM、OnStarとWatsonを結びつけるモビリティ環境初の人工知能開発に着手


IBMとGMがドライビング体験を向上させる新しいコグニティブ(人工知能)・モビリティ・プラットフォーム「OnStar Go」の開発・導入へ

米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)と、IBM(本社:アメリカ合衆国・ニューヨーク州・アーモンク、CEO:ジニー・M・ロメッティ)は米国時間の10月26日、GMが開発する車載テレマティクスシステム「OnStar(オンスター)」と、IBMの人工知能「Watson(ワトソン)」の力を結集し、自動車業界に於いて初のコグニティブ・モビリティ・プラットフォームとなる「OnStar Go」の共同開発に向けた両社の提携を発表した。

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開発の原点となった「OnStar」は、1997年にGMが自社の車両に乗るドライバー達に向けて提供を開始。

以来、既に20余年の歴史を刻んできたもの。現在に於いても米国をはじめ、カナダ、中国、メキシコ、ブラジルの各国で、700万人以上の加入者・1200万台規模で利用されている。

そんな「OnStar」をさらに進化させたものが「OnStar Go」である。これをさらに詳しく紹介すると、既存の「OnStar」よりも、さらに個々の顧客大してパーソナル化を推し進めた新サービスになると云われている。

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「OnStar Go」の車種別搭載計画では、GM傘下のシボレー、キャデラック、GMCなどの27車種に搭載する計画を進めている

GMでは、今回のIBMとの共同開発を契機に、来たる2017年早々から4G LTE接続が可能な200万台以上のクルマに搭載する「OnStar Go」を通して、数百万以上に上るGM車を運転するドライバー達が、それぞれのお気に入りの事業ブランドとつながり、そのプラットフォーム上で密なコミュニケーション環境が確立されるようになるものと期待しているようだ。

なお現時点で、「OnStar Go」を車種別に搭載していく計画については、GM傘下のシボレー、キャデラック、GMCなどの27車種に搭載する計画であることも明らかにされた。

併せて「OnStar Go」に対応したモバイルアプリを利用することによって、スマートフォンからでも同じサービスが利用できるようになると云う。

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ちなみにこのプラットフォームの中身は、「OnStar Go」のエコシステムでサポートされるダッシュボード機能や、その他のデジタルチャンネルを通じて、個別にカスタマイズしたコンテンツを提供できるようにすることにあり、「OnStar Go」とつながる自動車に乗るドライバー達は、車内で過ごす時間を、これまで以上に効率的に活用できるようにする。

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IBMとGMの協業により、ドライバーと乗員は無駄の無いオペレーションと高い安全性だけなく、これまでにはなかった体験価値を経験する

それらのサービス内容とクオリティについてGMに詳しく聞くと、「OnStarの車両コネクティビティと、IBM Watson API(Application Program Interface)のデータ活用能力の組み合わせにより、ドライバーと乗員は、無駄の無いオペレーションと高い安全性を体験することができるようになります」と述べていた。

それは例えば、「車両が燃料の減少を感知した際、OnStar Goが交通渋滞を考慮した上でガソリンスタンドへの誘導をし、燃料ポンプを作動させてガソリンを補充。その支払いをOnStar Goのダッシュボード上で行い、同じダッシュボード上でさらにコーヒーを追加オーダーしたりできる」。

また、「家事や仕事に大わらわのワーキングマザーの場合は、クルマで仕事場から帰宅する途中で、子供のために薬を購入しなくてはならないと気付いた時、OnStar Goが高速道路を走行中に次の出口を出ると薬局があることを示唆、無事薬を購入することができるようになる」。

さらに「快適に高速道路をクルーズしている最中のドライバー達に対しては、OnStar Goにつながる車両の位置情報を踏まえドライバーの趣味趣向に最適化されたニュース速報や、車内エンターテイメントを楽しむことができる」と云う具合だ。

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米国人は永い人生の中で、クルマを運転して過ごす時間が延べ3万7000時間にも上る

GMに於けるコネクテッド製品及び、戦略部門のエグゼクティブディレクター、フィル・エイブラム氏は、こうしたサービス拡充について、「米国の統計調査(AAA)によると、米国全土を走るドライバー達は、1日平均46分以上を車内で過ごすと云われています。

これは永い人生の中で、クルマを運転して過ごす時間が延べ3万7000時間にも上ることになります。それゆえ、現代社会に於いては、その時間をいかに有効利用するかが求められています。

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そこで私たちは、OnStarのコネクティビティにWatsonの力を組み合わせることで、より安全に、かつ簡単に優れたソリューションを提供し、顧客のモビリティ体験をさらに有益で生産性の高いものにすることを目指しているのです」と語った。

今回発表されたこのGMとIBMの新たなパートナーシップは、「OnStar Go」上のプラットフォーム環境に於いて、これまでの「OnStar」が果たしてきた機能を大きく膨らませていくことにある。

GMによると具体的には来る2017年末までに、米国内にある200万台以上の4G LTE搭載のコネクテッドカーと、GMのブランドアプリが搭載されている数百万個のモバイルデバイスに於いて、その可能性は確実に具現化すると云う。

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つまりOnStarが、インターネットに接続してWatsonと合体することで、より個々のドライバーの実情に沿ったテーラーメイド型のサービスを提供していけるようになるのだ。

それはクルマに乗る多くのドライバー達が一体どこに行きたいのか、そもそも何がしたいのかをGMがより深く理解すること。そして人生の時間を節約しながら、GMオーナー個人の生活が、これまで以上に豊かに支援していく事を目指すとことにあると云う。

ドライバーの嗜好を学び続ける機械学習と、Watsonを活用し、かつては提供し得なかったドライバーとの情報共有環境の構築を目指す

そんなGMのコネクティッド計画だが、2017年段階での仕組みは以下の通りとなっている。

まずIBMのWatsonが、顧客の同意を得た上でドライバーの嗜好を学習し、機械学習(マシンラーニング)を応用して、収集データをふるいにかけることで、ドライバーの判断と習慣のパターンを認識する。

この情報を基に、IBM及びOnStarと協力するステークスホルダーやマーケティング分野のプロフェッショナル達は、個々ユーザーの位置情報をベースに、ターゲット・オーディエンスに直接的に影響を与える有益情報を選んで届けていく。

その対象業態は、小売り、燃料、接客、メディア、エンターテイメント、レストラン、旅行および輸送業など多岐に亘るもので、この新たな「OnStar Go」を経由することで、増加しているドライバー達の要求に応え、個々のドライバーにジャストフィットする情報環境を構築する。

これによりGMが、今後考えている具体的な利用方法としては、以下のような例があるとする。

(1)OnStar Goが、Watson Personality InsightsとWatson Conversation APIを利用することで、働く父親は出口の数マイル手前にある薬局で乳児用オムツとミルクを買うことを思い出し、帰宅後に再び買いに出かけないで済むようになる。

(2)OnStar GoがWatson Tradeoff Analyticsを使用することで、旅先で初めて行く都市を走行しているドライバーに、有名シェフのお勧めダイニングの情報提供ができる。

(3)OnStar GoがWatson Retrieve and Rankを使用することで、ドライバーは注文したものが近くの小売店で受け取る準備ができていることを知り、店の従業員がその購入品を車両まで運んでくれる。

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世界の交通環境下で、IBMとGMのコネクティッドサービスを武器に消費ユーザーとの体験価値を共有。それを利益に変えていく事業を目指す

こうした事例についてIBM iXのグローバルリーダー、ポール・パパス氏は、「IBMとGMは、価値ある毎日の習慣の概念を、根本から変えつつあります。

IBM Watsonと業界をリードするOnStarコネクティビティの組み合わせは、ドライバーと乗員の日常に更なる可能性を与えることができるブランドのインテリジェントな仕掛けと、サービスを持ち合わせたクルマを作り出すでしょう。

ひとことで言えば、IBM Watsonを組み合わせたOnStar Goによって、車内で浪費されていた時間を、有益な時間に変えることができるのです」と未来の空間作りに賭ける意気込みを語っている。

なおこのプラットフォームに開発初期から加入するステークスホルダー(ブランド)は、ExxonMobil、Glympse、iHeartRadio、Mastercard、Parkopediaとなる予定だ。

このなかでエネルギー供給企業のExxonMobilは、コグニティブ・モビリティ・プラットフォームを利用することで、ドライバーが素早くExxon、Mobil、Essoのガソリンスタンドを見つけられるようにする。

そしてそれぞれの車両に最もふさわしい燃料とオイルを推奨し、車内からの代金の支払いを可能にする。加えてOnStarの顧客は洗車の支払いをすることもでき、燃料が少ない場合は車両から離れていても、通知を受けることができる。

またロケーション共有サービスを提供するGlympseでは、コグニティブ・モビリティ・プラットフォームに於ける位置情報技術のパートナーとして、カスタマイズされたリアルタイムの位置情報を、消費者および企業が機器の種類に関わらず、誰とでも共有し、管理できるようにする。

一方、全米でパーソナライズドラジオを展開するiHeartRadioでは、Watson insightを使用しOnStar Goから得た情報をもとに、米国内のラジオ局から、放送パーソナリティーやローカルなコンテンツなど個人の嗜好にあうエンターテイメントをキュレートする。

カレンダーからの情報、ソーシャルグラフ、位置情報、音楽の好み、その他多数を共有することで、ラジオならではの、各ロケーションにまつわるダイナミックなエンターテイメント体験に招待していく施策を実施していく。

さらにワールドワイドで決済サービスを提供するMastercardは、ドライバーと乗員が各種支払いを安全、簡単、確実、スムーズに、快適な車内から済ませられるようにする。

セキュリティに優れたMastercardのトークン化プラットフォームであるマスターカード・デジタル・イネーブルメント・サービス(MDES)と、デジタル支払いサービスのMasterpassをOnStar Goに組み込むことで、Masterpassウォレットに保存されたクレジットまたはデビットカードを使って取引を完了できる施策を実施していく。

そしてパーキング事業社のParkopediaは、駐車スポットについての詳細な情報(営業時間、最新価格など)の提供、予約、支払い。ドライバーはボタンひとつで駐車スポットを見つけ、予約し、支払うことができる環境を整備していくとしている。

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OnStar Go発表の壇上に立つIBM CEOのジニー・M・ロメッティ氏(向かって左)と、GM CEOをメアリー・バーラ氏(向かって右)。

以上のコグニティブ・モビリティ・プラットフォームは、IBM iXの体験とモバイル設計に関するノウハウを駆使し、OnStarと共同で設計、開発される。

またIBM傘下の企業であるThe Weather Companyは、密度の高い天候および位置情報データを提供することで、個人別の絞り込みと走行条件についての警告をサポート。外出中の消費者のためのOnStarの直感的なタッチスクリーン・インターフェースの設計にも取り組む。

最後にGMは、「20年前にOnStarを導入してコネクテッドカーの革命に乗り出して以来、当社は他のどの自動車メーカーよりも多くのコネクテッドカーを路上に送り出しています。

しかしさらに2016年末までにGMでは1,200万台のOnStarに接続された車両を送り出し、近い将来に於いては、世界中の道路を数多くのOnStar Go搭載車が走行することを見込んでいます」と結んでいる。