GM、2017年第3四半期の業績を発表。全セグメントで収益力向上を果たす


継続事業の希薄化後EPSは0.08ドル、調整後の希薄化後EPSは1.32ドルに。2014年第4四半期以来、全セグメントで初の黒字化へ

米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)は10月24日、2017年第3四半期の業績を発表した。

この席上でGM会長兼CEOメアリー・バーラ氏は、「GMは、第3四半期に対する北米での生産計画を低く設定したものの、当期を堅調な業績で締めくくることができました。

私たちは、この優れた業績を達成すべく、規律正しい経営管理を続けるとともに、未来の移動手段を定義する事業を含め、より収益性の高い事業分野への投資を行ってまいります」と語った。

2017年 第3四半期業績の概要

(単位:10億ドル、1株当たりの項目は除く。売上高、純利益、営業活動からのオートモーティブ・キャッシュ・フロー、希薄化後EPSは、継続事業の金額のみ表示)

かつて2016年にGMは、こうした未来への投資を踏まえて自動運転車関連の技術を開発するクルーズオートメーション(Cruise Automation)を買収。

そして本年の9月にメアリー・バーラ氏は、「無事故、ゼロエミッション、混雑ゼロの世界を作りあげる」というGMとしてのビジョンを世界に向けて発信した。

その後、このビジョンを実現させるためにGMは、ゼロエミッションに向けた電動化への取り組みについて方針を発表。

今後18カ月の間に電気自動車を2モデル発売し、2023年までには少なくとも20車種の電気自動車を投入する予定であると打ち出した。

今期、GMのテクノロジーとイノベーションに関する投資は、着実な結果を結びつつある

そしてこの9月、GMとクルーズオートメーションは世界初の量産可能な自動運転車両を発表。GMはわずか14カ月で完成させた第3世代のテスト車両が、ドライバー不在の運転に要求される機器の冗長化(多重化)と安全性を満たすと語っている。

またその証明のため自動運転機能搭載の電気自動車をサンフランシスコの厳しい走行条件下でテスト走行を継続、「Cruise Anywhere」と呼ばれる配車アプリと車両をリンクさせ、従業員の移動用としての展開を開始している。

さらに10月にGMは、LIDAR技術を手掛けるストローブ社を買収した。これによって、自動運転車両用の次世代型LIDARソリューションを明確化し開発を推進するにあたり、ストローブの優秀な技術を生かすことができるようになった。

そしてキャデラックは、この時期ハンズフリー高速道路運転支援システム「スーパー・クルーズ」による、初の公式米国大陸横断走行をスタート。

「スーパー・クルーズ」のテスト走行のため、12台のキャデラックCT6はカリフォルニア州ロサンゼルスを目指して、ニューヨークで出発式を執り行っている。

継続事業の純利益は、オペル・ボクスホール売却に伴う関連費用として繰延税金資産23億ドルの費用計上(非現金支出)が影響

またGMは、連結ベースで第3四半期における30億ドルの純損失を報告した。これらの損失の大きな要因は、オペル/ボクスホールの売却による54億ドルの費用の発生にあった。

但し、この費用の大部分は非現金支出で、約43億ドルの換価不能な繰延税金資産や5億ドル近い年金関連費用のほか、運転資金調整のための純粋な費用、分割運営を支援するための費用が含まれ、該当費用の一部は売却時の受取額によって相殺されている。

2017年 第3 四半期のセグメント別業績

(調整後EBIT、単位:10億ドル、継続事業の金額のみ表示)

そうした経緯についてGMエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CFO チャック・スティーブンス氏は、「すべてのセグメントの業績が堅調であったことから、素晴らしい四半期となりました。

第4四半期を通じて車両のローンチを積極的に行いつつ、継続的にコストを最適化することで、年間を通じて素晴らしい結果を残すことができると見ています」と述べた。

今期の車両出荷台数は、6週間に及ぶフルサイズトラック工場の生産調整により減算。一方で新プロダクトのローンチも展開中

北米では、6週間のフルサイズトラック工場の生産調整を含め、あらかじめ予定していた出荷台数調整を行ったことにより、車両出荷台数は268,000台減少。

2016年第3四半期の実績に比べて26%低くなった。同様に米国のディーラーが保有する在庫車両の台数も、9月30日現在では6月30日の時点に比べて160,000台減少し、821,000台となっている。

一方で最近リリースしたシボレー エクイノックスとトラバースに続き、GMはこの第3四半期に、さらにビュイック アンクレイブとGMCテレインの2台の新しいクロスオーバーを米国で発表した。

これによってGMがクロスオーバーのセグメントに今年投入したニューモデルは全部で5車種となっており、GMは高まりつつある消費者のユーティリティービークル志向に引き続き対応していくとコメントしている。

併せてこの第3四半期には、中国市場にも新型モデルや刷新したモデルを合計5車種投入。

さらに続く第4四半期には、ビュイック GL6、エクセルGT、エクセルGX、ウーリンS3、キャデラックXT5 CROSSOVERを含めた6つの最新モデルを追加投入する予定である。

オートモーティブ流動性

(単位:10億ドル、継続事業の金額のみ表示)

クロスオーバーモデルとしては、歴年の第3四半期上で過去最高の値を達成。世界のGM車販売も好調さを維持した

都合GMは、第3四半期に米国で合計781,056台の車両を販売。これはクロスオーバーの売上が25%伸びたことが大きく寄与しており、クロスオーバーモデルが第3四半期に達成した数値としては過去最高の値となっている。

またシボレーは、9月に航続距離が長く価格も手頃な初となる電気自動車「シボレーボルトEV」を全米の正規ディーラーで販売した。

一方GMの米国におけるレンタカーセールスの売上は、2期連続で全車両売上げの10%以下にと留まっている。

さらに視野を世界規模に拡大すると、中国でのGMは、第3四半期の記録となる982,311台を販売。これは前年同期比で12.3%の上昇となる。

具体的に、これらは宝駿(+57%)、キャデラック(+42%)、シボレー(+17%)、ビュイック(+7%)の売り上げ増加によるもので、GMは当期に於いては中国での市場シェアの拡大が続いている。

また、南米での販売台数は179,421台となった。これは業界の成長率が16.1%であったのに対し、GMの売上げは17.6%の伸びを達成するという好成績を挙げている。