三菱自ら7社、V2G実証で電力安定化への有用性を立証


V2Gアグリゲーター事業の実現を目指して国内最大規模17台のEV/PHEVを活用。充放電制御実証の実施へ

三菱自動車工業、東京電力ホールディングス、東京電力エナジーパートナー、東京電力パワーグリッド、静岡ガス、日立システムズパワーサービス、日立ソリューションズの7社が経済産業省へV2G(Vehicle to Grid)実証試験を踏まえた有用性を報告した。

これは三菱自動車工業を含む7社が共同で取り組んできたバーチャルパワープラント(VPP/情報通信技術等により、分散するエネルギーリソースを統合的に制御し、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所)の構築・実証試験に関わる結果を踏まえて、いわば、その役割の正しさを立証する結果となった。

この実証試験は具体的には、静岡ガス東部支社、吉原基地及び三菱自動車工業岡崎製作所の構内で、電気自動車(EV/PHEV)と電力系統の間で、双方向の電力融通を実現する国内最大規模の検証実験であった。その結果、電力系統安定化に寄与することを示した事例になったのだという。

その有用性とは、系統混雑緩和(電流制御)について制御指令に対するEV/PHEV用充放電器(EVPS)とEV/PHEVの応答性と追従性について秒単位での出力応答が可能であることを確認したもの。これにより将来的には、高速通信環境と合わせることで遠隔地から秒単位の制御指令にも活用できるとしている。

また電圧上昇抑制(無効電力制御/本実証では、EVPSから電力系統に対し供給する遅れ無効電力量の可変制御を実施)についても、系統混雑緩和(電流制御)と同様に、制御指令通りの出力応答が可能であることが確認されている。

三菱自動車工業では「EV/PHEVの活用により電力系統の安定化技術を向上させることで、太陽光発電などの自然変動電源のさらなる普及拡大など、電力系統の柔軟な運用に貢献できると考えております」と話しており、さらに7社は「引き続き、V2G関連技術のさらなる研究を重ね、V2Gアグリゲーター事業の実現に向けて、ビジネスモデルの構築に取り組んでまいります」と結んでいる。

<構築した実証環境の概要>
導入箇所:静岡ガス東部支社の吉原基地、三菱自動車工業の岡崎製作所
EV/PHEV台数:17台(EV:5台、PHEV:12台)
車両用途:通勤車両
EVPS台数:17台

<実証試験の概要>

アグリゲーションコーディネーター1社:東京電力ホールディングス(株)(本社:東京都千代田区、代表執行役社長:小早川智明)
実証協力事業者4社
– 東京電力エナジーパートナー(株)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川崎敏寛)
– 東京電力パワーグリッド(株)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子禎則)
– 三菱自動車工業(株)(本社:東京都港区、取締役会長CEO:益子修)
– (株)日立システムズパワーサービス(本社:東京都港区、代表取締役 取締役社長:坂井章)
リソースアグリゲーター2社:
– 静岡ガス(株)(本社:静岡県静岡市、代表取締役:岸田裕之)
– (株)日立ソリューションズ(本社:東京都品川区、取締役社長:星野達朗)