豊田通商、カナダ燃料電池開発・製造会社と販売契約を締結


同販売契約締結により、日本国内における「水素社会」の実現に貢献していく

豊田通商株式会社(本社:名古屋市、社長:加留部 淳 、以下:豊田通商)は8月18日、水素と酸素で発電する燃料電池に於いて、世界有数の開発・製造会社であるBallard Power Systems Inc. (本社:カナダ バンクーバー市、社長:Randall Mac Ewen、以下:バラード社)と日本国内市場での販売契約を締結したと発表した。

1.水素を取り巻く環境
次世代を担う新エネルギーとして注目される水素の利活用は、日本国内に於ける成長戦略として「水素・燃料電池戦略ロードマップ(2014年)」として策定され、2016年中には、燃料電池バス・フォークリフトの市場投入を行うことや、2030年までにFCV(燃料電池自動車)を80万台程度普及させることを目指す目標が掲げられている。

また東京都でも、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの活用に向けた環境整備が進められている。

しかしながら、トラックや農業機械、船舶、鉄道といったさまざまな分野で燃料電池の実証開発を行う海外に比べ、日本では、FCV(燃料電池自動車)や家庭用燃料電池「エネファーム」といった一部の分野に向けた燃料電池の製造販売は行われているものの、水素を燃料として利活用する機会が少ないことが課題の一つとして浮上している。

2.豊田通商の水素事業への取り組み
これを受けて豊田通商は、現在、東京都および愛知県で定置式/移動式水素ステーションを運営するほか、福岡県で下水バイオガスを活用した水素製造販売や風力で発電した電気からCO2フリーの水素を製造する実証実験を行っている。

これらを通じ、環境に配慮した次世代モビリティの動力や家庭用/産業用エネルギーとして利活用が期待される水素の環境整備に注力してきた。

3.両社の役割と今後の取り組み
一方、バラード社は燃料電池の開発・製造における世界的先駆者企業であり、高い技術と多種多様な採用実績を持っている。

自動車向けに限らず、自動車以外の駆動用やバックアップ用など幅広い用途の製品を有し、特に1kw~100kwの中小型燃料電池の技術力を強みとしている。

今回のバラード社との販売契約締結により、豊田通商は…、
1)すでに需要のある携帯電話用基地局の非常用電源として使用される定置用燃料電池販売を行う。と共に…、
2)運輸分野(バス、トラックなどの商用車や鉄道、船舶など)での新たな活用に向けた開発・販売を推進していく。

豊田通商では、「水素製造事業や水素ステーション事業などに続き、今回のバラード社との協業を通じ、燃料電池普及の側面からも、日本における『水素社会の実現』に貢献していきます」と述べている。

【燃料電池のメリット】
(1)発電時に二酸化炭素や窒素酸化物を排出しないため、環境負担が少ない。
(2)化学エネルギーを直接電力に変換するため、発電効率が高い。
(3)エンジンやタービンがないため、騒音や振動が発生しない。

Ballard Power Systems Inc.概要
社名:Ballard Power Systems Inc.
バラード パワー システム インコーポレイテッド
所在地:カナダ バンクーバー市
製造拠点 :カナダ、メキシコ、デンマーク
設立日:1984年3月30日
代表者:Randall Mac Ewen, President and Chief Executive Officer
/ ランダル マック イーウェン
従業員数:395人(単体)
資本金:303 million USD  (NASDAQ上場)
売上高:56.5 million USD(FY2015)
概要:
1989年から燃料電池の開発・製造を開始した燃料電池業界の先駆者であり、すでに世界中で10,000ユニット以上の導入実績がある。