トヨタ自動車、筑波大学と共同で「未来社会工学開発研究センター」を開設


長期、協調領域視点でSociety 5.0を実現する地域未来の社会基盤づくり、拠点化形成につき研究

トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、代表取締役社長 : 豊田章男、以下トヨタ)と、国立大学法人筑波大学(学長 : 永田恭介 以下「筑波大学」)は、地域未来の社会基盤づくりを研究開発する「未来社会工学開発研究センター」(センター長 : 髙原勇 筑波大学特命教授、トヨタ自動車未来開拓室担当部長)を、この4月、筑波大学内に設立した。

組織対組織型の本格的な産学官連携によるオープンラボ方式を採用し、5年間の活動を予定。地域経済・社会の課題解決と未来産業創出と拠点化形成への実証研究と政策提言に取り組む。

具体的には、IoT利活用による社会計測と筑波大学の人工知能科学センターと連携し、社会工学・数理工学的アプローチによる改善課題の抽出・真因追求と人材育成・知能化支援を通して地域の持続的な成長循環に貢献していく構え。

今日、急激な少子高齢化と過疎化による産業競争力低下、農林漁業の担い手不足、インフラ老朽化は、地方・地域の存立を揺るがす経済・社会的課題となっている。

なかでもトヨタ自動車と筑波大学の両者は、産業形成が困難な「農業支援」・「保育支援」・「防災減災」など地域未来の社会基盤づくりは、第5期科学技術基本計画(注1)において掲げられるSociety 5.0(注2)実現にむけた活動の一環として、産学官の連携を以て取り組むべき、猶予なき重点課題であると述べている。

これを踏まえた上で、テーマ毎にモデル地域を選定し、自動運転、ロボティクス、燃料電池などの自動車の技術革新と衛星、携帯端末など関連する先進技術によるデータ解析と、社会応用を展開。地域未来に新たな社会サービスを創出していくことを目指す。

参画する筑波大学の組織と代表教授は以下のとおり。併せて、今後複数の企業群の参画が計画されている。

(1)システム情報工学研究科社会工学専攻(専攻長 : 吉瀬章子教授)
(2)人工知能科学センター(センター長 : 櫻井鉄也教授)
(3)体育系(系長 : 中川昭教授)
(4)サイバニクス(注3)研究センター(センター長 : 山海嘉之教授)
(4)国際統合睡眠医科学研究機構(機構長 : 柳沢正史教授)
(5)ビジネスサイエンス系(系長 : 弥永真生教授)
(6)国際産学連携本部(本部審議役 : 内田史彦教授)

ならびに産業競争力懇談会(注4)2017年度推進テーマ(タイトル「社会計測による地域未来の社会基盤づくり」)におけるテーマリーダーである、システム情報系(社会工学域)大澤義明教授が参画予定。

(注1) 第5期科学技術基本計画
http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.html 
「科学技術基本計画」は、科学技術基本法に基づき政府が策定する、10年先を見通した5年間の科学技術の振興に関する総合計画。第5期基本計画(平成28年度~32年度)は、内閣府が総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)を設置して以来、初めての計画であり、「科学技術イノベーション政策」を強力に推進していくための計画。
この基本計画は、政府、学界、産業界、国民といった幅広い関係者が共に実行する計画として位置付けられており、我が国を「世界で最もイノベーションに適した国」へと導くことを目標にしている。

(注2) Society 5.0
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kihon5/15kai/sanko2.pdf#search=%27society+5.0%27 
Society 5.0は政府の総合科学技術・イノベーション会議で検討され、2016年1月に閣議決定された、「第5期科学技術基本計画」の中で使われている言葉。

サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を「Society 5.0」と定義。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、あくまで人間中心でありながら、経済的発展と社会的課題の解決の両立を狙い科学技術イノベーションが先導していく新たな社会をさしている。

(注3) サイバニクス(Cybernics)
人間の身体機能を支援・拡張する技術・産業・社会の創出を目指す、学際的な学問分野。医療・介護ロボットの開発と普及をはじめ、工学・医学・情報科学・社会科学など、様々な学術領域が含まれる。

(注4) 一般社団法人 産業競争力懇談会(Council on Competitiveness-Nippon; COCN)
http://www.cocn.jp/index.html 
国の持続的発展の基盤となる産業競争力を高めるため、科学技術政策、産業政策などの諸施策や官民の役割分担を、産学官協力のもと合同検討により政策提言としてとりまとめ、関連機関への働きかけを行い、実現を図る活動を実施している、産業界の有志39社と4大学1国立研究開発法人で構成される懇談会。2017年度の推進テーマの一つに「社会計測による地域未来の社会基盤づくり」を掲げている。