自動車並びに産業機械サプライヤーのシェフラーAG(本社:独・ヘルツォーゲンアウラハ、CEO:クラウス・ローゼンフェルド)と、アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー)は、次世代のフォーミュラE開発での協力体制を確認した。
これは、「ABT Schaeffler Audi Sportチーム」の母国であるドイツ、ベルリンでのラウンド中(6月10~11日)に明らかになったもの。
この2017年秋に始まった第4シーズンの真っ最中に於いて、次の3世代のフォーミュラEレースカーに向けたパワートレインの開発で2019/2020年シーズンまでの3年間に亘る技術協力契約を締結した。
なおこのパートナーシップには、パワートレインの電動モーター、サスペンション、パワーエレクトロニクスの共同開発が含まれる。
シェフラーは、かねてより既存の化石燃料を使う旧来のレースシリーズへの挑戦から、さらに一歩を前に踏み出し、革新的ともいえるこのフォーミュラカーレギュレーションを範とする電気自動車のレースシリーズに開幕当初から参戦している。
具体的には2015/2016年シーズンから、チームABTのパートナーとして、ドイツ唯一のフォーミュラEレースカーのパワートレインを設計、開発、製作を重ねてきた。
こうした背景から、今シーズンに至るレースシリーズの舞台裏で、シェフラーとアウディはフォーミュラEの開発領域で密接な協力体制を敷いてきた。
そして今回の正式な契約の締結により、既存の積極的なパートナーシップを下敷きに、今後3年間に向けて、より長期的なフォーカスを持つプロジェクトに高められていく模様だ。
実際、両社によるフォーミュラEレースカーの次世代のパワートレインの基本コンセプトは既に完成しており、部品の一部についてはすでにテストステージに入っていると云う。
こうした取り組みについて、シェフラーCTO(最高技術責任者)のペーター・グッツマー氏は、「シェフラーは、アウディと共にフォーミュラEに積極的に参戦し、ますます緊密になっているこのパートナーシップを、今後さらに3年間締結していけることをうれしく思います。
シェフラーは数十年にわたって、モータースポーツと、生産車向け部品の開発、製造でアウディと協力してきましたが、両社はこの協力でも最善を尽くし、すばらしい成績を上げているABT Schaeffler Audi Sportの成功を、今後も継続していけるものと確信しています」と述べた。
ちなみにシェフラーとアウディは、この新たな締結に至ったフォーミュラEでの協力体制の他に、2007年からDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)でも提携していた。
2011年(マルティン・トムジク)、2013年(シェフラー・アンバサダーのマイク・ロッケンフェラー)のDTMのチャンピオンは、緑と黄色のシェフラー・アウディ車のステアリングを握っていた。
またシェフラーは、モータースポーツの第3の柱として、アウディの姉妹ブランドであるポルシェとともに、ハイテク車が競い合うFIA世界耐久選手権(WEC)にも参戦している。
これはWECが、フォーミュラEと同様、エネルギー効率に焦点を当てたレギュレーションが定められた先進的なモータースポーツであるからだ。
加えてシェフラーは、独自の技術領域を背景にフォーミュラEレーシングの世界に当初から貢献しつつも、この知見を活かし、公道用の電動モビリティのパイオニアとしての地位を確かなものとしつつある。
シェフラーの研究開発部門は、同領域で20年間活動を続けて来ており、最近では、電気自動車向け部品の開発チームの規模が倍増。レース部門から得たノウハウが実用車のプロジェクトでも直に利用されている。
例えば、この領域に於ける実績としてシェフラーは、スタータジェネレータから48Vシステム、ホイールハブモーター、電気軸まで、パワートレイン全体を電動化する幅広い製品の提供を行っている。
さらに、シェフラーは、雨よけルーフ付き4輪車であるバイオハイブリッド、都市向け電動キックボードなど、未来のモビリティ社会のための電気自動車コンセプトへの挑戦も続けている。
こうした事業展開について、先のペーター・グッツマー氏は、「多かれ少なかれ、シェフラーは、フォーミュラEへの参戦により、電動モビリティ環境とシステムの理解を一層深めています」と語っている。