株式会社日本レースプロモーション(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:白井 裕)は7月17日、静岡県駿東郡の富士スピードウェイレーシングコース(1周:4.563km)に於いて、全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第3戦・決勝レースを開催した。
まだまだ梅雨が明け切らない天候の中、決勝はドライ路面下での戦いとなり、No.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がレース終盤に於いて大逆転を果たして今季初優勝の栄冠を獲得した。
これに続く2位は、55周のレースで速さを見せつけたNo.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)。オリベイラと中嶋の上位ふたりの首位争いは、残り周回数5周まで続き、後半のペース配分で余裕を残していたオリベイラが、最後の最後にトップを奪い逃げ切り優勝を果たした。
3位は、No.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)やNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)との接近戦バトルを演じて、場内を沸かせたNo.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が、ルーキー3戦目で初の表彰台の一角に食い込んだ。
またマクラーレン・ホンダF1チーム第3ドライバーで、スーパーフォーミュラ選手権に於いては初のポールポジションスタートとなったストフェル・バンドーンは残り周回数7周を残した48周目に痛恨のコースアウトを喫し、惜しくもリアイヤとなっている。
第3戦・冨士は当初ハーフウェットでフリー走行が開始され、次第にドライコンディションに移っていく中、迎えた決勝では、気温25度・路面温度27度の完全なドライコンディションとなった。
スタートでは、ターン1に向けてポールポジションのバンドーンが優勢を保ったままコースに進入したものの、予選2番手のNo.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がバンドーンのイン側に滑り込む。
この際、バンドーンがブレーキをロックさせ、インから抜けた石浦はターン1の立ち上がりでオーバーランして、2人共ポジションを落としてしまう。
この機に3番手につけていたオリベイラが一気に首位浮上。この後方に中嶋一貴がつける展開。3番手はNo.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)、後退したバンドーン4番手、5番手が関口、6番手が石浦と続く。
レースは4周目の終盤にオリベイラがコースアウトしたのを機に、中嶋一貴がト首位に浮上。そのまま中嶋は後方を引き離しに掛かる。
その後、16周目に国本がギヤボックスオイルのリークでギヤがスタックしてスピンして停止。レースはフルコースコーションとなる。ここまでのオーダーは首位が中嶋一貴、2番手オリベイラ、3番手バゲット、4番手バンドーン、5番手関口、6番手No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)。そしてその後方7番手にロッテラーが浮上する。
レース再開は19周終盤。以降フルコースコーションでタイヤやブレーキが冷えてしまった影響下で、順位の入れ替わりが続く。その後レース周回が30周を迎えた頃、中嶋一貴のマシンが遅れ始め、反対にタイヤを温存していたオリベイラがペースアップを図る。
2台が首位争いを繰り返す中、3番手以下ではバゲット、バンドーン、関口、ロッテラーがバトルを展開。しかしターン1のブレーキングでバンドーンがブレーキトラブルによりスピンアウトしてリタイヤの憂き目に。
この間、首位争いの行方は51周目にもつれ込む。ターン1でオリベイラが中嶋一貴をオーバーテイクし、逃げ切り体制に持ち込んで今季初優勝。
2位中嶋、3位関口。4位ロッテラー、5位ロシター。6位石浦、7位No.7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOXO TEAM LEMANS)、8位No.10 塚越広大(REAL RACING)となり、以上8台がポイントを獲得した。
優勝・ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
ターン1で先行していたバンドーン選手と石浦選手が、曲がりきれず前に出ることができた。
当初はマシンが若干オーバーステア気味で、ブレーキングしてシフトダウンしたときにリヤがロックしたので、今日は勝てないかも知れないと思っていた。
そこでタイヤを労るような走りに切り替え、逆転のチャンスを狙っていた。そうしているとレース終盤になってチャンスが巡ってきた。今回は黄旗を上手く使うことができた。
今日の勝利で、日本のレースでの勝利は10勝目になった。日本に来たことは自身のドライバー人生で良い選択だったし、日本の文化や環境は自分にも合っている。
これからも長く日本でのレースでキャリアを重ねていき、より強く、速くなるよう事を目指す。今日の結果は浮上する切っ掛けになるだろう。
2位・中嶋一貴
6番手スタートだったが、今日はコース上のフィーリングが良く、いいレースができると思っていた。実際レースが始まったら先行車が消え、知らない間にトップに立っていた。
最初は後続を引き離していくことができたが、セーフティーカーが入る少し前くらいから、ペースが鈍化して苦しいレースになってきた。
オーバーテイクスイッチを使いながら、なんとか乗り切れると思い、頑張ったが、少しスピードが足りなかった。残り5周くらいのところだったので、残念だ。
ただ今シーズンは、鈴鹿、岡山のいずれも手応えを得られずに来たので、今日の結果を踏まえ今後に向けて浮上する切っ掛けになったと思っている。
選手権ポイントも大きく離れていないので、これが開幕戦という気持ちで戦って行きたい。
それにル・マン(24時間レースでリタイヤ)で相当ついてなかった中で、表彰台に立てたので良かったと思う。
次のもてぎに向けて、ここからがスタートだと思って頑張りたい。
3位・関口雄飛
当初は、完全に路面が乾き切っていなかったことから、普通のドライ路面の時より遅いタイムで走っていた。その後ドライ路面になった後のフィーリングは、悪い感じがしなかった。
ただレース前半は、ペース配分が悪くなり、燃料を積んだ時のリアのトラクションが足りず、苦しんだ。その後、アンドレ・ロッテラー選手が後方に付いてきて、何回か抜かれそうな状況になった。
だけどブレーキングで抜かれるのはダサいし、コーナーに突っ込んで回れなくなってもいいから、引くのだけはやめようと考えて粘った。それができたからこその3位だったろうと思っている。
レースを続けていく中、支えてくれたメンバー誰かひとりでも欠けていたら自分は絶対この場所にいないと思う。チームに支えられ、ようやくスーパーフォーミュラのシートを掴んだ。
それだけに早く結果を出したかった。優勝は出来なかったが、とりあえず3位に入れて良かった。バトルのときはロッテラー選手とやり合いで、監督がガンガン行けと行ってくれたので、絶対負けないという気持ちで走った。
優勝チーム監督・星野一義
序盤でデ・オリベイラが、ミスで中嶋一貴選手に抜かれたので、正直なところ、今日のレースはヤバいかなと思っていました。
ただそのあと、タイムが上がってきている最中で、セーフティカーランになり、いつもはガッカリすることもあるんですが、今回は『ほんとうにありがとうございます』というような状況でした。
先にSUPER GT第2戦富士で、トップを走っていてタイヤがバーストするっていうこともありましたが、レースって運もいるんですよね。
何よりも優勝監督として嬉しいことは、今日はファンの皆さんにレースというもの、その戦いというものは、ドライバーの執念や魂などすべてが合わさって、最後チェッカー受けるまではわからないものであり、そういう素晴らしいレースを見せられたことです。
勝ち負けがあるレースの中で、今日のレースは最高でした。一方で、関口雄飛選手が日本人のドライバーの中でファイトあるプレーを見せてくれてました。ロッテラーを抑えて抜け出してきたので、それは彼のセンスでしょうね。ありがとうございました。