BMW(本社:バイエルン州ミュンヘン、社長:ノルベルト·ライトホーファー、以下、BMW)は7月2日(欧州時間)、南フランスのミラマにある同社のテスト・コース(Autodrome de Miramas)で、同社が次世代自動車への搭載を想定している駆動システム群を紹介するドライビング・イベント、「イノベーション・デイ2015」を開催した。
紹介したクルマの中には、BMWが2014~2015年に市販化を果たしたハイブリット・スポーツ車や、電気自動車に混じって、トヨタが昨年末、世界に先駆けて市販化を果たしたFCV「ミライ」の心臓部である燃料電池スタックを搭載したBMW製燃料電池車も含まれている。
搭載ボディは、「5シリーズGT」ベースの車両に加え、最新プラグインハイブリッドスポーツの「i8」ベースの2台がお披露目された。
「5シリーズGT」ベースは、最大出力245hpのモーターを搭載するなど、基本的なモーターの制御並びに高圧バッテリー等の基本技術は、同社のEVやプラグインハイブリッド車の技術が応用されている。気になる航続距離は、水素が満充填されていれば500kmの航続が可能という。
一方、「i8」ベース車両については、車体内部の構造状況等は公開されず、内容は分かっていないが、走行写真並びにベース車両の構造から、水素タンクの搭載位置などを推察する愉しみは残されている。こちらの車両については、今後の同社発表を待って公開していく。
ちなみに今回、次世代車が公開された場所は、BMWグループが保有するテストコースの中でも、473ヘクタールもの広大な敷地を持つグループ最大の施設だ。
同コースは、これまでBMW製の4輪車開発だけでなく、モーターサイクルの開発においても、過去30年間以上に亘って重要な役割を果たしてきた場所であり、ドライブトレインの絶対性能や運動性能を、現実の環境に近い負荷を与えられる理想的な条件を備えているという。
ちなみにこのテスト・コースの中核となっているのは、アスファルトで舗装された長さ5キロメートルにおよぶオーバル・コースである。
さらにここには高速走行時の様々なハンドリングテストを実施するための高速周回路のほか、傾斜路、連続ヘアピン・コーナー、悪路、オフロード・セクションも揃っており、リリース前の走行実験ばかりではなく、車両の耐久試験のセクションにも活用されている。
また近年では同コース内に、ニュルブルクリンクに存在する「Caracciola-Karussell(カラツィオラ・カルッセル)」コーナーを正確に模したセクションを新たに設け、サスペンション・コンポーネントや電子制御システムの最適化、ファイン・チューニングを行う際などの重要な指標としても利用されている。
さてそんな同コースで、当地報道陣に向けて公開された燃料電池車は、フロントに横置きエンジンを搭載、リアに高電圧オルタネーターを搭載した同社eDriveテクノロジー車の次世代にあたる発展的将来モデルとして紹介された。
燃料電池車は一般的に、電池駆動の純粋EV車よりも航続距離が長いことと、短い補給時間が美点であるとし、また開発技術はBMWグループの長年に亘る研究をベースに、トヨタ自動車との共同開発を踏まえて実現したと謳っている。
BMWは、eDriveテクノロジーの導入、ツインパワー・ターボ・テクノロジーを搭載したエンジンの継続開発、そして長期的には燃料電池電気自動車(FCEV)コンセプトを通じて、未来の多様な課題を解決するべく、着実に準備を進めていると述べている。
具体的には、高効率なガソリンおよびディーゼル・エンジン、プラグイン・ハイブリッド・システムや、バッテリーによる電気駆動システム。これに水素利用の燃料電池システムを加え、駆動テクノロジー分野では、あらゆるセグメント、あらゆる要求にも応えられるとした。
今回公開された各車概要は以下の通り。
・BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー プラグイン・ハイブリッド・プロトタイプ: BMW eDriveテクノロジー
BMWのモデル・ラインアップ上に存在するeモビリティ技術は、日増しにその勢力範囲を拡張している。
当初、BMW iモデルのために開発されたBMW eDriveテクノロジーだが、今やプラグイン・ハイブリッド・ドライブの一部として他の車両にも採用されており、その実績は、同テクノロジーの優れた柔軟性を証明している。
そして今回、それが初めてフロント横置きエンジンと組み合わされることになった。ミラマで発表されたBMW2シリーズ アクティブ ツアラーのプラグイン・ハイブリッド・プロトタイプは、BMWツインパワー・ターボ・テクノロジーを装備した3気筒ガソリン・エンジンを介した前輪駆動方式を採用、またフロントに高電圧オルタネーターも搭載しており、そのパワーが後輪を駆動するべく電子制御モーターへと送られる。
これにより、先輩のプラグイン・ハイブリッド・スポーツカーBMW i8と、ドライブトレインの配置自体は逆とはなるものの、BMW i8と同様、路面に吸い付くような四輪駆動走行を実現する。
このクルマが持つハイブリッド四輪駆動システムは、プラグイン・ハイブリッド・システムの優れた効率性と、純粋な電気駆動の俊敏な走り、電気モーターの出力特性による胸のすく立ち上がりを活かしていくことで、同セグメント中、傑出した能力を発揮する。
BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー プラグイン・ハイブリッドのプロトタイプは、電気駆動だけで最大38キロメーターを走行することができ、0-100 km/h加速性能は約6.5秒、プラグイン・ハイブリッド・モデル用のEUテスト・サイクルで測定した平均燃費は約2リッター/100 km、CO2排出量は50 g/kmを下回る。
・ダイレクト・ウォーター・インジェクション:冷却効果で出力と効率性をさらに向上
BMW M4 MotoGPセーフティー・カーに搭載したウォーター・インジェクション・システムの発表後初めて、BMWの新世代パワー・ユニットとなるターボ過給式ガソリン・エンジンに、ダイレクト・ウォーター・インジェクション・システムが採用された。
燃焼プロセスの温度を引き下げることで、さらなる効率性を引き出す同テクノロジーは、BMWグループ・イノベーション・デイ2015において、3気筒ガソリン・エンジンを搭載したBMW 1シリーズ・モデルのひとつとして紹介された。
このユニット搭載車においても、ダイレクト・ウォーター・インジェクションによる冷却効果は、出力と効率性を著しく向上させる。
特に高出力を要求される場面での燃料消費量を抑えることができ、スポーティーなドライビング・スタイルのときの効率性も大きく向上し、日常の走行条件下での平均燃費を大幅に削減できる。
またダイレクト・ウォーター・インジェクションは、さまざまなエンジン・コンポーネントの熱負荷を低く抑え、最適な排出ガス特性を発揮できるようになるという。
・水素燃料電池:BMW eDriveと共に未来を切り拓く組み合わせ、ゼロ・エミッション・モビリティを実現する長期的な選択肢
BMWグループは15年以上にわたり、水素を用いた燃料電池駆動システムの研究開発を進めている。
そして2013年、BMWはこの分野における共同開発についてトヨタ自動車と正式に合意し、2020年までに燃料電池電気自動車(FCEV)向けのコンポーネントを作り上げるというさらなる目標を掲げた。
水素を電気エネルギーと水蒸気に変換する同技術が完成に至れば、BMWブランドならではの運動性能、優れた長距離走行性能、短い補給時間を実現した上で、ローカル・ゼロ・エミッション・ドライビングも夢ではなくなり、BMWのeDriveテクノロジーをさらに浸透させることも可能になる。
イノベーション・デイ2015では、上記、水素燃料電池駆動システムを搭載したデモンストレーション車両を初めて公開し、このテクノロジーの大きな可能性を披露した。
将来的には、水素燃料電池駆動システムは、エフィシエント・ダイナミクス・テクノロジーに欠かせないコンポーネントになると考えており、さまざまな車両コンセプト、顧客の要望、世界各国の自動車市場の法的な周辺条件に合わせて柔軟に調整できるよう、BMWグループとして駆動システムのバリエーションもいっそう充実させていく予定。
さらに、水素燃料電池駆動システム専用の車両アーキテクチャを開発するなど、eDriveを搭載したBMW iモデルのライフ・ドライブ・アーキテクチャと同様に、未来のFCEVにもデザインや空間コンセプトの分野で、革新的なソリューションにつながる大きな自由度をもたらしてくれる可能性さえもある。(坂上 賢治)
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