ヒューリックとJAL、成田市下福田地区で国際物流拠点の開発へ

2029年、成田空港近接に航空上屋施設と物流施設一体の国際物流拠点が誕生

ヒューリック(本社:東京都中央区、代表取締役社長:前田隆也)、 日本航空(JAL/本社:東京都品川区、代表取締役社長:鳥取三津子)は7月15日、成田市下福田地区に於いて航空上屋施設(保税蔵置場)と物流施設を一体化した国内初の国際物流拠点「WING NRT((ウイング ナリタ)」の運営を共同で進めることで合意した。

ちなみに街区名称の「WING NRT」は、同街区の上屋施設を通じて日本と世界が繫がる拠点になるべく命名した。これは「Worldwide-cargo Innovation Gate」の頭文字であり、航空機を連想させる「WING」と成田空港の空港コードである「NRT」を組み合わせたもの。

1.近年の成田空港を取り巻く環境
成田空港では現在、千葉県、成田市をはじめとする空港圏自治体、国土交通省が連携して、成田国際空港 (NAA)が掲げたエアポートシティ構想の実現に向けて、第3滑走路の新設など更なる機能強化に向けた取り組みが進められている。

この施策実施の背景には日本の経済的地位の低下がある。日本の港湾地区は中国や韓国に後れをとり、抜港の対象になるなど世界の物流チェーンから取り残されかねない状況が続いている。

航空貨物でもそれは同様で、首都圏空港発着容量の限界や施設の狭隘化に加え、施設整備の難しさなど構造的な課題によるリスクが指摘されている。

そこでヒューリックと日本航空(JAL)は、この苦境を打破すべく、貨物施設の新設・拡張や上屋の集約化を包括する取り組みを介して、東アジア地区での航空貨物の最重要空港に返り咲くための多様な計画が織り込まれた。

2.同街区の目指すビジョン

(1)成田空港の国際的なプレゼンスの向上
ヒューリックとJALは、成田空港に近接する成田市下福田地区に於いて、「成田空港の機能を補完する一体的な運用の実現」を基本理念に、航空上屋施設(保税蔵置場)と物流施設が一体化した国内初の国際物流拠点を共同で運営する。

この新たな街区が空港内施設との一体運用されることで、第3滑走路の供用開始により見込まれる需要の大幅な増加の受け皿となりながら、ひいては東アジアでの航空貨物のハブ空港としての成田空港の位置づけを再確立させていきたい考えだ。

(2)顧客の利便性向上、および地域への貢献
上記の考え方を前提に街区は、千葉県内で初めて地域未来投資促進法の重点促進区域として承認され、参画企業には税制・投資含めて様々な優遇措置が講じられる。

また現在、千葉県、成田市をはじめとする空港圏自治体、国土交通省の四社協議会およびNAAが連携して進めているエアポートシティ構想の中核として、多様な物流関連企業を誘致し、 雇用拡大を図ることで地域の活性化に貢献していく。

併せて同街区は、半導体をはじめとする精密機器、リチウム電池、越境EC、医薬品等に加えて、政府が輸出拡大を掲げる農林水産品の集積基地として、成田空港を通じて世界中の物流拠点とシームレスに繋がる輸出入拠点の役割を担う。

また、それと同時に、我が国の喫緊の課題で最重要政策のひとつとして、経済安全保障におけるサプライチェーンの国内回帰に寄与することを目指す。

3.開発スケジュールおよび開発概要
参画した2社のなかでヒューリックは、全体土地面積 約45万㎡(約13.6万坪)の広大な用地を既に取得し、造成工事を進めております。2027 年の建築工事着手、2029年の開業を目指し、本街区の開発計画を推進する。

一方でJALは、本街区の上屋施設において、最先端のテクノロジー機器を導入する他、医薬品専用定温庫、高機能冷蔵・ 冷凍庫等を完備することで、あらゆる物流ニーズに適応し、お客さまに高付加価値サービスを提供する。

加えて両社は、同街区開業後の施設運営および進出企業の誘致についても共同で取り組み、成田空港と同街区を高頻度で結ぶ輸送サービスや、本街区内での貨物輸送サービス等、目指すビジョンを実現するために求められる 運営形態を共に作り上げていく。

4.立地の特徴
成田市下福田地区は、東関東道「成田IC」を起点に、圏央道・東関東道を通じて、首都圏や北関東をはじめ各地域へのアクセスに優れており、輸出・輸入のベース拠点として最適な立地として2028年度末の北千葉道路延伸による飛躍的なアクセス改善が見込め、成田市街地の中心部を経由することなく成田空港や成田ICへアクセスが可能となる上、成田空港からの短時間(約10分)かつ保税状態での一括輸送が実現する。

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5.計画概要
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所在地:千葉県成田市下稲田地区
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全体土地面積:約45万㎡(約13.6万坪)
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建設面積(予定):合計約42万㎡(約13万坪)、上屋施設約15万坪(約4.5万坪)
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開業時期:2029年予定
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<千葉県 熊谷知事コメント>
本県では、日本最大の貿易港である成田空港における第三滑走路の新設をはじめとした拡張事業による空港周辺地域のポテンシャルの高まりを活かし、国際的な物流拠点等の形成に取り組んでいるところです。

その取組が具体的な形となった本開発計画により、成田空港の国際航空物流拠点機能の更なる強化に加えて、我が国の産業競争力強化および本県経済の活性化に繫がることを期待します。

<成田市 小泉市長コメント>
2029年3月の運用開始を目指し本格工事に着手した「成田空港の更なる機能強化」に合わせ、ヒューリックが下福田地区で整備を進める約45万㎡の国際物流拠点は、本市を含む空港周辺地域にとっても、新たな企業の進出や雇用の拡大をもたらすなど、地域の持続的な発展に寄与するビッグプロジェクトであり、本市のみならず、空港圏自治体も大変期待している事業です。

そして、本街区を、日本の航空業界をけん引するJALと共に、航空上屋と物流施設を一体化した国内初の拠点として整備し、これまでにない先進的なサービスを展開されることは、我が国の産業の発展に寄与するとともに、航空貨物野で成田空港が東アジアの主要空港になるための中核施設として、その一翼を担う存在になることを確信しております。

<NRTエリアデザインセンター コメント>
本年4月1日に千葉県および成田国際空港株式会社で、「成田空港第2の開港プロジェクト」や「成田空港周辺の地域づ くりに関する実施プラン」に基づくエアポートシティ(仮称)の実現のため、「NRTエリアデザインセンター」を開設いたしま した。

また6月には成田空港「エアポートシティ」構想も発表され、国際物流拠点の形成は重要な要素となっております。 具体的な取り組みとして本計画が発表されることを喜ばしく思うとともに、成田空港、地域、我が国の発展に大きく寄与できるものと期待しております。