マクラーレン・ホンダ陣営、F1オーストラリアGP決勝レポート


アロンソは、自分が無事であることを家族に示すため、すぐにマシンから降りた

FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第1戦オーストラリアGP(開催地:豪・ビクトリア州メルボルン市、開催期間:3月18~20日)に於けるマクラーレン・ホンダ陣営の決勝レースは、16周目のターン3で発生したフェルナンド・アロンソと、エステバン・グティエレス選手(ハース)の接触により、開幕戦で想定外のアクシデントに見舞われた。

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ただ、これを裏返してみれば、昨シーズンの低迷から上向きつつあるマシン並びにチームにとって、ドライバーが積極的に攻めの走りを取り戻しつつある兆候であるとも言えるだろう。

いずれにしても、先行車の後方側面からの接触で、相手のタイヤを飛ばす程のクラッシュとなり、大きく宙を舞ったにも関わらず、アロンソは自力でマシンから脱出。

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その後、フォーミュラONEレーシングの慣例に従い、サーキット内のメディカルセンターで医師に問題なしとの診断を受けた。

対して、アロンソのマシン損傷は甚大で、シャシーおよびパワーユニットの両方が大きなダメージを被った。併せて、そのクラッシュによって大破したマシンの破片がコースの広範囲に散乱していたことから、それを除去するためにレースは赤旗中断となっている。

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再スタート後、僚友のジェンソン・バトンは他チームの大半のドライバーとは別の戦略を採用したものの、結果的にバックアップタイヤに履き換えるタイミングを逸したことで、14位で完走した。

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それでも、今週末はポジティブな点がいくつかあった。実際、16週を迎える前の段階で、今年のマシンパッケージは競争力のある状態に見えたし、実際、赤旗が出る前、両ドライバーは共にトップ10圏内を力強く走行していた。

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マクラーレン・ホンダ陣営では、「我々は、この力強い勢いを維持しながら、次戦の開催場所であるバーレンに向かいます」語っている。

フェルナンド・アロンソ選手のコメント
– マシン:MP4-31-01
– スタート:11番手
– レース結果: DNF ※16周目に発生したアクシデントで未完走
– ファステストラップ :1分32.553秒
14周目(トップとの差 +3.556秒、11番手)
– ピットストップ 1回:12周目(ピットストップ時間 2.68秒)
[オプション→プライムにタイヤ変更]

「大クラッシュでしたが、今、自分が生きていること、そして深刻なことがなにも起こらなかったことに感謝している。

さまざまな要素が重なって、エステバン・グティエレス選手と私が衝突してしまった。

私が乗っているマシンが宙に舞ってバウンドする中、空が見えたと思ったら次は地面、そしてまた空が見えるといった状況だった。

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その後、マシンが着地して落ち着いた時、少しすき間が見えたので、自宅でレースをTV観戦している母に、自分は無事だと伝えるため、すぐにマシンから降りた。

これは、レースでは避けられない事故だ。私たち2人ともが無事だったことをとても嬉しく思う。それが一番大事なことだ。

ただ、その後すぐに、フラストレーションがたまる、残念な気持ちになったのも確かだ。

今季初のレースで、ポイントを獲得するチャンスを逃したからだ。また、マシンがほぼ完全に大破したので、おそらくパワーユニットも失ってしまっただろうと思う。

フォーミュラ・ワンのマシンに乗る度に、ドライバーは命を危険にさらす。こういう事故は時折り起こるものだが、自分が無事であったことを嬉しく思う。

私が今も生きていられるのは、FIA(国際自動車連盟)が安全を向上させるため、過去10~15年の間に数々のすばらしい仕事を成し遂げ、今もそれを続けてくれているおかげだ。

また、私のために頑丈で安全なマシンを作り上げてくれたマクラーレン・ホンダ陣営のメンバー全員に対しても感謝したい」

ジェンソン・バトン選手のコメント
– マシン:MP4-31-03
– スタート :12番手
– レース結果 :14位
– ファステストラップ :1分31.684秒 33周目(トップとの差 +2.687秒、8番手)
– ピットストップ 3回
:15周目(ピットストップ時間 3.36秒)
:18周目(再スタート時にタイヤ交換実施)
:30周目(2.60秒)
[オプション→プライム→オプション→バックアップタイヤ]

「フェルナンドが事故の後、自力でマシンから降りられたことを本当に嬉しく思う。ただ、フェルナンドは今回の事故を今後、数週間は忘れられないだろう。

マシンのタイヤ同士が接触した際に、マシンがこれほど遠くまで放り出されるかと、驚くばかりだ。

ブレーキ中に接触すれば、様々なことが非常に速いスピードで起る。ただ、今日、フェルナンドのマシンがなんとか事故を切り抜けたことは、フォーミュラONEレーシングというスポーツが安全面でいかに進化したのかを物語っている。

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さて今回のレースに於いて、私のマシンはそれほど悪い状態ではなかった。

ただ午後のレースでは、戦略的なピットストップを何度か行ったものの、その作戦は、あまり完ぺきな内容ではなかったかも知れない。

また、赤旗が出る前に、我々は既にピットストップを実施してしまっていたため、むしろ痛みを伴う結果となった。

というのは、再スタート後にスーパーソフトタイヤを装着して10周ほど走行した後、バックアップタイヤに履き替えたからだ。

一方、他のドライバーは再スタートから既にバックアップタイヤを装着して走行していた。

従ってそこから、前方のマシンに追いつくことはできるものの、オーバーテイクは難しく、ピットストップ後は、複数のマシンが作る列の後ろにとどまる形に終わってしまった」

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エリック・ブーリエ氏のコメント
McLaren-Honda Racing Director
「私がまず申し上げたいのは、2つの称賛に値することについてです。

それは現代のF1マシンの構造面での完成度の高さと、現代のレースコースの安全設備です。

フェルナンドの事故は大クラッシュでしたが、あれほどひどい衝突であったにもかかわらず、彼が直後に自力でマシンから降りられたという事実は、本当に目を見張るものがあります。

事故発生直後に、フェルナンドはFIAのメディカルセンターを訪れ、そこで医師から問題なしと正式に診断されました。

当時、フェルナンドは非常にいい走りを見せてくれていましたし、彼のレースが通常通り進んでいれば、ポイントを獲得できたのではないかと思います。

一方、ジェンソンについては、皮肉なことに、フェルナンドの事故が引き金となって導入されたセーフティカーと、その後、出された赤旗によって、レース戦略を妥協せざるを得ず、ポイント圏内で完走するための走りができなくなりました。

今日は、ここメルボルンでポイントを獲得できませんでしたが、全体的に見ると、我々が冬の間に成し遂げた進化に、ささやかではあるものの、励まされる思いです。

予選のセッションでもう少し混乱がなく、レース中に事故がなければ、今後のグランプリで我々がポイントを獲得することができると強く信じています」

長谷川 祐介氏のコメント
(株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「まずは、大きな事故にもかかわらず、フェルナンドとグティエレス両選手にケガがなく安心しました。

レース序盤のペースは悪くなかったものの、アロンソの事故による赤旗の影響で、ジェンソンが後方に下がってしまい、タイヤのコンディションによってペースが大きく変わり、その後、順位をリカバリーすることができないままレースを終えてしまいました。

この週末はフリープラクティスや予選で、マシンのポテンシャルの向上を感じることができましたが、結果として周回遅れの14位と、マシンの進化を証明するには至らず大変残念でした」

 

決勝レース・リザルト
順位 ドライバー       チーム(ポイント)
1—N.ロズベルグ(GER)————メルセデス(25)
2—L.ハミルトン(GBR)————-メルセデス(18)
3—S.ベッテル(GER)—————-フェラーリ(15)
4—D.リカルド(AUS)—————レッドブル(12)
5—F.マッサ(BRA)——————-ウィリアムズ(10)
6—R.グロージャン(FRA)———-ハース(8)
7—N.ヒュルケンベルグ(GER)—-フォース・インディア(6)
8—V.ボッタス(FIN)—————–ウィリアムズ(4)
9—C.サインツ(ESP)—————-トロ・ロッソ(2)
10—M.フェルスタッペン(NED)–トロ・ロッソ(1)
11—J.パーマー(GBR)—————-ルノー
12—K.マグヌッセン(DEN)———ルノー
13—S.ペレス(MEX)——————フォース・インディア
14—J.バトン(GBR)——————-マクラーレン
15—F.ナッサー(BRA)—————-ザウバー
16—P.ウェーレイン(GER)———-マノー