FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第1戦オーストラリアGP(開催地:豪・ビクトリア州メルボルン市、開催期間:3月18~20日)の決勝レースが3月20日(日曜日)に、1周5.303kmのアルバート・パーク・グランプリ・サーキットを58周するかたちで行われた。
前日の予選セッションでは、時間毎に一人ずつドライバーをノックアウトする新方式の予選が行われた。しかしその結果、アタックラップのタイミングを逃すドライバーが続出。
なんと最終セッションでは、Q3でメルセデス陣営がタイムアップして、早々に出走を切り上げた後、本来であれば彼らを撃墜するべきフェラーリ陣営を筆頭に、残り3分以上を残して、どのドライバーも出走しないという事態が発生した。
結果、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がPP獲得。同チームのニコ・ロズベルグが2番手、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が3番手となった。
これを受けて、決勝レース当日の朝。出走チームの各代表が集結して緊急ミーティングを開催。結局、予選システムを昨年度のスタイルに戻すことに決した。
次のバーレーンGPでは、早くも昨年度の予選スタイルとなる見込みで、結果的にF1レースに混乱を与えただけの新予選方式は、オーストラリアGPで実施した今回を以て、葬り去られることになった。
なおその他の予選順位変動では、当初11番手に食い込んでいたバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)が、ギアボックス交換で5グリッド降格している。
レースは当地の夏の終わりに相応しい気温23度、路面温度37度、湿度41%、予選時と同じくドライコンディションのまま定刻に開始された。
しかしスタート前のフォーメーションラップを消化した時点で、ダニール・クビアト(レッドブル)がマシンのエンジンを止めてしまいピットに逆戻りするハプニングが発生。結果スタートがやり直しとなって、残りの消化周回数が57周に減算された。
その後のスタートで、この時点で3番グリッドに居たはずのセバスチャン・ベッテルと、4番グリッドスタートのキミ・ライコネンのフェラーリ陣営が、ルイス・ハミルトンと、ニコ・ロズベルグのメルセデス陣営を出し抜いてオープニングラップを消化。
この段階では、ベッテル(フェラーリ)、ライコネン(フェラーリ)、ロズベルグ(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(トロ・ロッソ)、フェリペ・ナッサー(ザウバー)、ハミルトン(メルセデス)、カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、ダニエル・リカルド(レッドブル)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が続く形となった。
以降、ハミルトン(メルセデス)は、昨年度のワールドチャンピオンに相応しく果敢に追い上げを図るものの、先行車のオーバーテイクに難航。
レース序盤のタイヤ交換が行われている最中で、懸命にベッテル(フェラーリ)、ライコネン(フェラーリ)、ロズベルグ(メルセデス)のトップ集団を追い続けた。
しかし16周目のターン3で、彼らの後方のポイント圏内を走っていたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が、エステバン・グティエレス(ハース)のマシン左側面に突っ込むアクシデントが起きる。
これによってフェルナンド・アロンソのマシンは大破してしまう。アロンソ自身は、自力でマシンを降りて無事だったものの、この影響でレースは一旦中断。
20分の中断を経てレースが再開された。
再開時は、ベッテル(フェラーリ)、ロズベルグ(メルセデス)、ライコネン(フェラーリ)、リカルド(レッドブル)、フェルスタッペン(トロ・ロッソ)、サインツ(トロ・ロッソ)、ハミルトン(メルセデス)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、ロマン・グロージャン(ハース)、ボッタス(ウイリアムズ)の順で再スタートを切った。
ちなみに、この中断の間に各チームは戦略を練り直し、ロズベルグ(メルセデス)はミディアムタイヤに換装。フェラーリ陣営はスーパーソフトタイヤ。リカルド(レッドブル)、フェルスタッペン(トロ・ロッソ)、サインツ(トロ・ロッソ)がソフトタイヤに換装した。
その後の駆け引きを経て、ライコネン(フェラーリ)が、マシントラブルでリタイヤを喫したことから、リカルド(レッドブル)が3番手浮上から、さらにジャンプアップ。
ロズベルグ(メルセデス)、リカルド(レッドブル)、ハミルトン(メルセデス)、ベッテル(フェラーリ)の順で後半戦に突入する。
残り周回がわずかになった時点でリカルド(レッドブル)を、ハミルトン(メルセデス)が追い抜いたことで順位が入れ替わり、上位陣はロズベルグ(フメルセデス)、ハミルトン(メルセデス)、ベッテル(フェラーリ)となる。
そして最終周直前の56周目にベッテル(フェラーリ)が、ハミルトン(メルセデス)へのアタックに失敗して後退。
結果57周目を最初に走りきったロズベルグ(メルセデス)が、昨年終盤から数えて4連勝でチェッカーを潜り、蓋を開けてみればここのところ定位置となっているメルセデス陣営の1-2フィニッシュとなった。
以下3位・ベッテル(フェラーリ)、4位・リカルド(レッドブル)、5位・マッサ(ウイリアムズ)と続き、なんと6位にはグロージャンが、遙か米国内に本拠を置き、ジーン・ハース氏が率いてF1デビュー戦を果たしたハースに初ポイントを献上するという快挙を成し遂げた。
これはフェラーリのパワーユニットを獲得・搭載したというマシン内容を考慮に入れても画期的なことだ。
というのは過去、参戦に至るまでにF1とは全くの接点を持たなかった新チームで、初参戦・初入賞を果たしたのは2002年にミカ・サロのトライブにより入賞したトヨタ以来14年ぶりであるからだ。
以降、7位・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、8位・ボッタス(ウイリアムズ)、9位・サインツ(トロ・ロッソ)、10位・フェルスタッペン(トロ・ロッソ)までが得点を獲得した。なおマクラーレン・ホンダは、ジェンソン・バトンが周回遅れの14位で完走している。
決勝レース・リザルト
順位 ドライバー チーム(ポイント)
1—N.ロズベルグ(GER)————メルセデス(25)
2—L.ハミルトン(GBR)————-メルセデス(18)
3—S.ベッテル(GER)—————-フェラーリ(15)
4—D.リカルド(AUS)—————レッドブル(12)
5—F.マッサ(BRA)——————-ウィリアムズ(10)
6—R.グロージャン(FRA)———-ハース(8)
7—N.ヒュルケンベルグ(GER)—-フォース・インディア(6)
8—V.ボッタス(FIN)—————–ウィリアムズ(4)
9—C.サインツ(ESP)—————-トロ・ロッソ(2)
10—M.フェルスタッペン(NED)–トロ・ロッソ(1)
11—J.パーマー(GBR)—————-ルノー
12—K.マグヌッセン(DEN)———ルノー
13—S.ペレス(MEX)——————フォース・インディア
14—J.バトン(GBR)——————-マクラーレン
15—F.ナッサー(BRA)—————-ザウバー
16—P.ウェーレイン(GER)———-マノー