ビクトレックス社、PEEKファイバーのリーディング・カンパニー「英Zyex社」を買収


高性能PEEKポリマーのビクトレックス社(本社:英国ソーントン・クリーブリーズ、CEO:デイビット・ハンメル)は4月6日、PEEKファイバーのリーディング・カンパニーである英Zyex社を買収した。

このZyex(ザイエックス)社は主に航空宇宙、自動車分野および一般工業用途向けにPEEKファイバーを供給しており、ビクトレックス社は、フィルム、コーティング、パイプにファイバーを新たに加え、今回の買収により拡充したPEEKソリューションを提供していくことになる。

ちなみにZyex社は、ビクトレックス社と同じく、塗料から食品やポリマー、電子部品、香料や食品添加物などの機能性製品までを取り扱う世界有数の化学企業グループである旧ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ、Imperial Chemical Industries:現在、イギリス・ロンドンのマンチェスター・スクエア に本部を置く)を母体とした会社で、両社はこれまでも長期にわたる戦略的パートナーであった。

今買収によってビクトレックス社は、ファイバーの成形加工とPEEKポリマーのノウハウの統合による世界トップクラスのPEEKファイバーの製造会社となる。

ビクトレックス社によると、2016年7月に発表されたビクトレックスが参加する3Dプリンティングの技術開発を目的とした業界コンソーシアムにおいて、同統合がPEEKファイバーのプリンティング技術開発を進める足がかりになることが期待されていると云う。


今買収と今後の事業計画についてビクトレックス社CEOのデビッド・ハメル氏は、「“Zyex社のファイバー成形加工における技術力と当社のグローバル展開および新規用途の開発力の統合は、今後の当社の長期的な成長を支える基盤の強化となります。

この動きはPEEKポリマーの特性をフルに活かした強い差別化がはかれる加工品や部品開発を内製化し、新規市場を創出していくという当社の長期戦略にも、よく合致しています。

Zyex社のPEEKファイバー製品は、製造工程における搬送用ベルトや浄化フィルター、ワイヤーハーネスなどにも採用されており、イギリス中部のグロスターシャーに製造拠点を構えています。

対して当ビクトレックス社は、近年成長基盤の強化を目的とした投資を積極的に行っています。

具体的には、2016年12月に英Magma社と、原油輸送用のコンポジットパイプm-pipe(R)の共同開発に投資。らさに2017年2月には米Tri-Mack社と航空機向けPAEKコンポジット部品の製造開発に特化した合弁会社TxV Aero Compositesを設立しています」と述べている。

※ PAEK = ポリアリルエーテルケトン、PEEKをはじめとする高性能ポリケトン類の総称である。
※ ZyexはZyex社の登録商標。
※ m-pipe(R)はMagma社の登録商標。

なおビクトレックス社(Victrex plc)は、英国に本社を置く、VICTREX PEEKを中心とした超高性能ポリマー製造開発メーカーである。

35年以上にわたって航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、エネルギーおよび医療の各産業に向けて最先端ポリマーソリューションを提供し続けており、スマートフォン、航空機や自動車の構造部品、石油・ガスの採掘現場からインプラント用医療機器にいたるまで世界中で広く使用されてきた。