ルノー・日産アライアンス、年間シナジーが前年16%増の50億ユーロに増加


2016年度シナジーは、前年の43億ユーロから50億ユーロに増加
し、2018年度は55億ユーロのシナジーを創出する見込み

ルノー・日産アライアンスは7月7日、2016年度のアライアンスのシナジーが、前年から16%増加したと発表した。

ルノー、日産および三菱自動車は、世界の自動車業界をリードするパートナーシップを通じて、コストを削減し、さらなる収益を生み出し、コスト回避策を実行した。

アライアンスの2016年度のシナジーは、前年の43億ユーロから、50億ユーロへと増加した。購買、開発、生産における業務の統合が、増加した7億ユーロの創出に最も貢献した。

ルノー・日産アライアンスの会長兼CEOのカルロス ゴーン氏は、「アライアンスにおける連携の拡大が、アライアンスのパートナー企業に大きな利益をもたらし、それが規模のメリット、技術の革新、イノベーションに反映され、ルノー・日産アライアンス内で共有されています。

私たちは、新しいアライアンスパートナーである三菱自動車の貢献分を除いても、2018年に55億ユーロのシナジーを実現しようとしています」と述べた。

三菱自動車が2016年末に新たにアライアンスの一員となったことで、年間販売台数は1,000万台に到達。

その2年前、ルノーと日産は、研究・開発、生産技術・物流、購買、人事の4機能を統合し、アライアンスを深化させた。

各機能は、それぞれの分野を担当する共通のアライアンス副社長が統括している。

特に開発、生産、購買がシナジー創出に最も貢献している

ゴーン氏はこれを、「私たちは今、この大規模な機能統合の具体的な成果を目の当たりにしています。

シナジーの拡大によって、ルノーと日産、そして三菱自動車は、それぞれの業績目標を実現し、モビリティの新時代にお客さまへ価値の高いクルマをお届けすることができるのです」と語った。

今年度、アライアンス各社は、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーに、次世代のさらに先を行く技術を投入していく予定としている。

また、プラットフォーム、パワートレイン、部品における共用を拡大し、競争力を高め、新たなシナジーを見極めていく構え。

例えば2017年4月、このアライアンスは、バンおよびトラック事業におけるさらなるシナジーの創出を目指し、小型商用車(LCV)事業部門を新設した。

この新LCV事業部門は、アライアンスのパートナー企業それぞれのブランドアイデンティティを維持しながら、商品開発の分担や相互生産、技術の共有とコスト削減に最大限取り組んでいる。

併せてアライアンスは、新たに三菱自動車が加わったことで、共同購買・物流だけでなく、現地サプライヤーの拡大、生産拠点の共用、共通プラットフォーム開発、新技術の開発分担および成長市場や新興市場でのプレゼンス拡大から、さらなるシナジーが創出されることを見込んでいると云う。

三菱自動車は、プラグインハイブリッド車、ピックアップ、小型トラック、SUVなどの領域や、ASEAN地域における市場プレゼンス強化の面に於いて、アライアンスへ知見を提供していく。

コモン・モジュール・ファミリーも引き続き利益を創出

またコモン・モジュール・ファミリー(CMF)は、5つの主要なコンポーネントセット(モジュール)をベースとし、モジュールを入れ替えることで、アライアンスの大部分のブランドに於いて、何百ものモデルバリエーションを実現していると云う。

アライアンスは、CMFを2013年に導入し、それ以来、大きな利益を享受してきた。

例えば、ルノーが2015年にインドで発売した「クウィッド」は、最も小型で手ごろな価格の車両に適用されるCMF-Aアーキテクチャーをベースとしたアライアンス初のモデルである。

また昨年、日産はこのCMF-Aアーキテクチャーがベースのダットサン「redi-GO」をインドで発売した。この2車種は、60%以上の部品を共有しながら、双方の個客層には全く異なるブランドエクスペリエンスを提供している。

さらに2016年、アライアンスは、ルノーの新型「セニック」、新型「メガーヌ」を発売したことで、CMF-C/Dアーキテクチャーをベースとした全ての車種の展開を完了した。

他にCMF-C/Dアーキテクチャーを適用したモデルには、日産「ローグ」、「キャシュカイ」、「エクストレイル」、ルノー「エスパス」、「カジャール」、「タリスマン」がある。

今後アライアンスは、2020年までに、生産する車両の70%をCMFアーキテクチャーで開発したモデルにする予定。CMFにより、購買コストを最大30%、開発コストを最大40%削減できる見込みとなっている。

加えて相互生産、プラットフォームの共用も、今後は生産分野におけるシナジーの創出に大きく貢献していくとする。

相互生産により、ルノー、日産、三菱自動車は、各社の工場や、販売する市場に近い場所での車両生産ができるようになり、工場稼働率が向上する。これにより、固定費の削減が可能となる。

この例では2016年、ルノーのフランス・フラン工場で、日産の新型「マイクラ」の生産を始めた。日産は、この高品質のBセグメントハッチバックの生産にフラン工場の知見を活用している。

新型「マイクラ」は、刷新されたV-プラットフォームをベースにした車両で、ルノー「クリオ」とパワートレインを共有している。
日産は、本年中に、スペイン・バルセロナ工場において、同様の手法でルノーのピックアップ「アラスカン」の生産も開始する予定だ。