まさかのアロンソ欠場で、第3ドライバーのストフェル・ヴァンドーン、スーパーフォーミュラテスト中の岡山から直行
FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第2戦バーレーンGP(開催期間:4月1~3日、開催地:バーレーン・サヒール、開催サーキット:バーレーン・インターナショナル・サーキット、1周:5.412km、決勝:57周)がいよいよ開始となり、4月1日のフリープラクティス終了時点に於いて、ロズベルグがトップポジションに座るなか、マクラーレン・ホンダ陣営のバトンが3番手に付けている。
バーレーン・インターナショナル・サーキットは、砂漠地帯に位置しているため、日中の気温が高いこと。さらに世界放送の関係上、2014年よりナイトレースとして開催されている。
コースは4本のストレートと低速コーナーの組み合わせであることから、低速ギアによる加速が繰り返される。
このことから、グランプリサーキットの中では、マシンに対する燃費面への影響が厳しく、エネルギーマネージメントがレースの行方を左右するコースだ。
併せて、左記の通りコースそのものの立地が砂漠地帯のため、気候変動が激しく、高昼間は高温ながら湿度が低い、しかし一方で夜間の気温は大きく低下する。
この寒暖差は、フリープラクティスから予選・決勝を通して、いずれもかならずしも同じ時間帯で、実施される訳ではないことから、マシンのセットアップを悩ましくする。
また、コースに舞う砂の影響でグリップ力が変動するため、低速コーナーの立ち上がりでマシンをコントロールするのが難しい。
アロンソはバーレーンGP欠場
マクラーレン・ホンダ陣営では、出走ドライバーに大きな変化があり、フェルナンド・アロンソがバーレーンGPを欠場した。
開幕戦GPで大クラッシュを喫したフェルナンド・アロンソは、原形をとどめないほど大きく損傷したマシンから自力脱出して、最新鋭F1レーシングカーの安全性を、身を以て証明することになった。
今回そのアロンソがバーレーンGP出走に臨み、木曜日朝にFIAによる開催前のメディカルチェックを受けた。
結果、2セットの胸部CTスキャンが比較され、肋骨骨折と、肺と胸壁の間の収縮状態がまだ充分に完治していないと診断された。
これによりアロンソ出走の許可を出すには不十分な兆候があるとしてレースを欠場せざるおえない事態となった。今後は、さらに中国GPの前に改めて、胸部スキャンが求められ、アロンソのGP出走を検討することになる。
これについて同日木曜日、毎回の開催地セッションを前に6名のドライバーが参加して行なわれるサースデー6に於いて、アロンソ自身が、「出走にあたってのリスクは小さいものだと認識しているものの、FIAの決定に対しては理解できる。
今回は、代役として出走するマクラーレンの第3ドライバーのストフェル・ヴァンドーン(ベルギー)を応援したい」とコメントしている。
第3ドライバーのヴァンドーンは、昨年GP2でその力量を発揮。シーズンオフでは2016年のドライバースシートの行方を左右する程までなっていたが、今年は日本のスーパーフォーミュラ参戦が決定しており、本人は、岡山国際サーキットで行なわれていたテスト走行から急遽、バーレーンに向かうこととなった。
フリープラクティス3番手にバトンが付ける
一方、バーレーンGP開催地では、翌金曜日(日本時間4月1日・金曜日24時)から2回のフリープラクティスが実施された。
今季は、先の第1回目の開催地メルボルンと同じく、ピレリがグランプリコースに持ち込むドライタイヤで、スーパーソフト(オプション)、ソフト(プライム)、そしてミディアム(バックアップ)という3種類に増やし、ドライバーが自ら週末に利用する13セットのタイヤから、10セットを自由に選べるようになっている。
このことから、各チームのタイヤマネージメントに加え、決勝レースではピットストップ作戦が見どころのひとつとなっている。
1回目のフリープラクティスでは、メルセデスのニコ・ロズベルグが1分32秒294のトップタイムを記録。これにルイス・ハミルトンが続き、3番手がフェラーリのキミ・ライコネンという布陣。
さらに決勝と近似の夜間帯18時(気温20度・路面24度・湿度39%)に行われた2回目のフリープラクティスでは、ここのところの各開催地でトップを占拠し続けているメルセデス陣営が1分32秒台で先頭集団を引っ張る展開。
一方で、先の1回目のフリープラクティスで、その背後に付けていたフェラーリ陣営で異変が発生。ピットでの調整作業を経て、ようやく出走したベッテルが、ソフトタイヤを履いて3番手。スーパーソフトタイヤを履いたウィリアムズのバルテリ・ボッタスが4番手、フェリペ・マッサが5番手。
その直後、同じスーパーソフトを履いたマクラーレン・ホンダ陣営のバトンが3番手のタイムを記録し、ニコ・ロズベルグ、ルイス・ハミルトン、ジェンソン・バトン、マックス・フェルスタッペン(トロ・ロッソ)、ライコネン(フェラーリ)となった。
なおマクラーレン・ホンダ陣営のコメントは以下の通り
バーレーンGP 1日目フリー走行時間のチームの公式コメント
本日の1回目のフリー走行は、強風が吹く砂漠の中で難しいコンディションを強いられたものの、ここ数日バーレーンでは例年にない雨や低温が続いていたので、ドライコンディションで走行できるのは、うれしい状況でした。
今週末はフェルナンド・アロンソを欠場させるべきとの決断が、昨日FIAの医師から下され、代役を務めるストフェル・バンドーン用にシャシー#02を準備。チームはすばらしい仕事を成し遂げました。
バンドーンは、空力やメカニカル面の一連のセットアップ・プログラムをすぐに開始しました。ジェンソン・バトンも空力とバランスの作業に重点を置き、両ドライバーとも各種セットアップを行いながら、両セッションにおいて競争力のある走りをみせました。
夕暮れ時となり、会場のフラッドライトが点灯すると、両ドライバーはマシンの空力およびメカニカルバランスの両セットアップに焦点を当てながらも、さまざまな燃料積載量でのタイヤ評価にも時間を費やしました。
サーキットの状況も、今日はほぼ終日、比較的一定した気温となり、ポジティブな形でプログラムを完了するとともに、明日のFP3、そしてまたもや予測不可能なセッションが予想されている予選に向けて、必要な作業を実施することができました。
F1ドライバーとしてハンドルを握る準備が十分にできている
#47 ストフェル・バンドーン
MP4-31-02
FP1 1分36.392秒(トップとの差 +4.098秒) 25周 18番手
FP2 1分32.999秒(トップとの差 +1.998秒) 30周 11番手
「私は土曜日に24歳になったばかりです。ですから、これはとてもいい誕生日プレゼントです!今日はすばらしい一日になりました。
今週末にドライブすることは予想していませんでしたが、この機会を与えられたことをとてもうれしく思います。チームのために、できる限りいい仕事をします。
私は100%準備ができているような気がしますし、今日はとてもいい一日でした。このマシンをドライブするのは今日が初めてでしたが、マシンに乗ってすぐに心地がいいと感じましたし、FP1ではかなりたくさんの作業をこなし、FP2でもなかなかいい感触を得ました。
我々にとって一番大事なことは、多くの周回を重ねることでした。私が学ばなければならないことをすべて網羅するために、ピットストップ、スタートの練習、および(マシンの)操作関連のことを数多く実施しました。
日本からバーレーンまでの道中には、準備作業もありましたし、学ぶべきことがたくさんありました。エンジニアから多くの情報を受け取り、その全部に目を通しました。
機内での時間を有効に使ったわけです!明日、それから特にレースまでにやるべきことは、まだたくさんありますが、今のところ、すべてがとても順調に進んでいます。
この機会を楽しみたいと心から思っていますし、今回チャンスを与えられたことに、とてもワクワクしています。
フェルナンドは終日、私のそばでエンジニアと一緒にいながら、すばらしいアドバイスをしてくれました。McLaren-Hondaはすばらしいチームですし、私はチーム内のメンバーを既にたくさん知っているので、ここで一緒に仕事をするのはそれほど難しくはありません。
もちろん、テストをせずにマシンにすぐに乗り込むのは理想的な状況ではありませんが、今日のフリー走行では両セッションとも非常にいい内容となりました。
マシンで周回を重ねるたびに心地良さが増しているので、明日も引き続き前進できると考えています。ここ数カ月間、ファクトリーで多数のシミュレーター作業を実施したため、今日は自分がF1ドライバーとしてハンドルを握る準備が十分にできていると感じました。
(今週末のレースに出場するよう指示された)電話を受けて以来、私はエンジニアとともに、マシンの設定方法やレース運びについて多くのことを学びました。忙しい一日でしたが、すべてのことが順調に進みました。バーレーンは私が好きなサーキットですし、土日もとても楽しみにしています」
予選でQ3に進出することを想定し、それを目標にしたい
#22 ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP1 1分35.440秒(トップとの差 +3.146秒) 28周 14番手
FP2 1分32.281秒(トップとの差 +1.280秒) 32周 3番手
「今日はいい一日でした。FP1・FP2ともに競争力がありましたし、いい感触を得られるマシン、つまりいろいろと試すことで目に見える改善があるマシンを手に入れるのは、うれしいものです。
今日はフリー走行にしか過ぎませんが、いつもよりずっと楽しかったです!燃料をたくさん積んでいたときの走行もそれほど悪くありませんでしたし、今日は全体的にポジティブな一日でした。
ロングランに関しては、明日やるべきことがまだたくさん残っています。特にハードタイヤでの走行もそうですし、明日は他チームのマシンの競争力がさらに増すはずです。
ただ、今日の我々のラップタイムは3番手であり、これは前向きな結果です。改善すべきエリアはあるものの、さらなる改善の余地があると考えています。明日はチームとしていい仕事をして、ミスをしないようにする必要があります。
今日は信頼性に関する問題はなく、すべて順調に進みました。ドライブを楽しめるマシンを手にするのはうれしいものです。
バランスはまずまずですし、ここでのマシンに対する感触はよく、メルボルンのときより確実によくなっています。FP2で3番手につけたのは変わりやすい天候やそれ以外の理由でもありません。予選でQ3に進出することを想定しなければいけませんし、それが目標となります。
今日はストフェルが本当にいい仕事をしてくれました。予想通りうまく順応していましたし、彼は非常に才能のあるドライバーです。
明日はチームとしてなにができるのか見てみましょう。明日は私とストフェルの間に入り込む他チームのマシンが何台かいると思いますが、今日はポジティブな形でスタートが切れました。
いつも通りにいかなかったことはなにもありませんでしたし、明日も引き続き改善できるよう願っています」
ドライブを楽しめるマシンを手にするのはうれしい
エリック・ブーリエ
MCLAREN-HONDA RACING DIRECTOR
「今日は非常に満足できるいい一日でした。昨日、今週末のレースにフェルナンドが出場できないというFIAのメディカルチームによる判断を受け、チームは その状況を迅速かつプロフェッショナルな形で対処し、ストフェルがリザーブドライバーとしてMP4-31でデビューするために、フェルナンド側のガレージ で必要な各種変更を実施してくれました。
ストフェルはプロのドライバーとして、すぐにマシンに乗り込み、フリー走行ではすぐにマシンにも 慣れて周回を重ねてくれました。
ストフェルもジェンソンも今日はいい走りをしましたし、ストフェルは我々の予想通り今日のプログラムを順調にこなし、すば らしいフィードバックをしながら、セットアップや空力に関する価値あるテストを実施してくれました。
我々のペースは非常に励みになるものの、今日はまだ金 曜日であり、いつもと同様に、今夜やるべきことはたくさんあります。
オーストラリア戦と同様、我々はバーレーンにもアップデートを持ち込 んでおり、今日は新しいパーツを評価し、パッケージの中でそれらを慣らすことに時間を費やしました。
信頼性については、今日もまた力強い内容の一日とな り、たくさんの周回を重ねることができました。有効なデータを多く収集することができましたし、それをもとに明日のセッションに臨みます。
今回も予選の対応は難しく、予期せぬセッションとなることが予想されており、特に中盤でのポジション争いはそうなる可能性があります。
ただ、今日の走行は励みになりましたし、明日もこの勢いを維持しながら、我々のパッケージのポテンシャルを披露できればと思います」
パワーユニットに大きな問題もなく、明日以降に向けたマシンのセットアップも順調に進んでいる
長谷川 祐介
(株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「アロンソ選手が今回のグランプリに出走できなくなり、大変残念に思います。
バンドーン選手には、アロンソ選手の欠場をカバーすべくがんばってほしいので、チーム一丸となって週末を通してサポートしていきます。
メルボルンで使用したアロンソ選手のパワーユニットを、レース後に確認したところ、大きな事故の影響により、残念ながらICE(内燃機関)はほぼ使用できない状態でした。
このため、バーレーンGPではパワーユニット全体を交換し、週末のレースに臨みます。
今後の長いシーズンを考えると、パワーユニットを初戦で失ったことはチームにとって痛手になりますが、年間を通じたパワーユニットの戦略については、チーム全体でじっくりと検討することとします。
バーレーン・サーキットは、砂漠の暖かく乾燥した気候が予想されるため、全セッションで安定した走行が見込まれますが、夜のセッションは急激に気温が落ちるので、タイヤなどのセットアップが難しいサーキットです。
ほぼ平坦なサーキットの中に、2つの長いストレートがあり、パワーと燃費には厳しいので、金・土のフリープラクティスでパワーユニットの適性確認を念入りに行っています。
オーストラリアの初戦で得られたデータをもとに、バーレーンのコースに合わせてパワーユニットの適正化を図り、一戦ごとの前進を目指します。
初日のバーレーンは例年になく涼しい気温となっており、今のところ冷却の問題などは出ておりません。
本日の両セッションとも共に、パワーユニットの大きな問題もなく、順調にラップを重ねることができ、明日以降に向けたマシンのセットアップも進みました」
バーレーンGP・フリープラクティス初日2回目の結果
順位/ドライバー_/チーム_/タイム
-1/N.ロズベルグ_/メルセデス_/1’31.001
-2/L.ハミルトン_/メルセデス_/1’31.242
-3/J.バトン_/マクラーレン_/1’32.281
-4/M.フェルスタッペン_/トロ・ロッソ_/1’32.406
-5/K.ライコネン_/フェラーリ_/1’32.452
-6/S.ベッテル_/フェラーリ_/1’32.650
-7/D.クビアト_/レッドブル_/1’32.703
-8/V.ボッタス_/ウィリアムズ_/1’32.792
-9/D.リカルド_/レッドブル_/1’32.870
-10/F.マッサ_/ウィリアムズ_/1’32.873
-11/S.バンドールン_/マクラーレン_/1’32.999
-12/E.グティエレス_/ハースF1_/1’33.129
-13/C.サインツ_/トロ・ロッソ_/1’33.177
-14/R.グロージャン_/ハースF1_/1’33.384
-15/S.ペレス_/フォース・インディア_/1’33.406
-16/K.マグヌッセン_/ルノー_/1’33.447
-17/N.ヒュルケンベルグ_/フォースインディア_/1’33.570
-18/J.パーマー_/ルノー_/1’33.640-
-19/P.ウェーレイン_/マノー_/1’33.953
-20/M.エリクソン_/ザウバー_/1’34.224
-21/F.ナッサー_/ザウバー_/1’34.477
-22/R.ハリアント_/マノー_/1’34.562