DHL、シンガポールにIoT・AR開発のイノベーションセンターを新設


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貨物輸送サービスのDHL(本社:ドイツ・ボン、CEO:フランク・アッペル)は、ロジスティクス業界の革新を踏まえ、進化するサプライチェーン・ニーズに対応できる新たなソリューションを開発する拠点として、2015年12月、シンガポールにアジアパシフィック・イノベーションセンター(以下、APIC)を開設した。

アジア太平洋地域で類を見ない数百万ドル規模の拠点。ドイツ国外で初の試み

数百万ドルを投じて設立されたアジアパシフィック・イノベーションセンターは、DHLにとってドイツ国外で初のイノベーションセンターであり、革新的なロジスティクスサービスに特化した施設としてはアジア太平洋地域初となる。

アジアパシフィック・イノベーションセンターは、1億400万ユーロの投資によりシンガポールのタンピネス・ロジスパークに建設されたDHLサプライチェーン・アドバンスト・リージョナルセンター(ARC)の建物内に位置する。

ドイツポストDHLグループCEOであるフランク・アッペル氏は、「DHLの今後の成功への鍵を握るのは、革新的なアイデアであると考えています。

今後もロジスティクス業界のリーダーであり続けるためには、顧客中心のイノベーションを推進し、お客様が最も必要としているサービスを開発していく必要があります。

社会、ビジネス、テクノロジーの動向を分析し、イノベーションを実用化ソリューションとして提供することで、お客様の成功に貢献していきます」と述べた。

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アジア太平洋地域において、ステークスホルダー、外部専門家とのプラットフォーム環境として機能

アジアパシフィック・イノベーションセンターには、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けて開設された。そんな同センターには、ロジスティクス業務のあり方を大きく変える未来のテクノロジーが展示されている。

展示品には、倉庫内の組み立て業務やピッキングに使用されるAR(拡張現実)スマートグラス。

医薬品をはじめ緊急性の高い製品の配送に使われるドローン、機械間通信(M2M)センサーを活用して車両の稼働率を30%向上させることのできるメンテナンス・オン・デマンド(MoDe)車両。

さらに輸送の高速化および効率化を実現する自動運転車などがある。

アジアパシフィック・イノベーションセンターは、ロジスティクス業界の最新動向や革新的なソリューションを展示するだけでなく、アジア太平洋地域においてDHL、顧客、業界パートナー、外部専門家間の連携や協働を促進するプラットフォームの役割も担っていく。

アジアの経済活動に焦点を当て、特設チームによる市場調査や未来予測も推進していく

また、アジアにおけるロジスティクスや経済活動の動向に焦点を当て、「DHLトレンドリサーチ」というチームによる市場調査や未来予測も推進していくという。

DHLのチーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)であるビル・ミール氏は、「DHLの世界売上に占める新興市場の割合が2020年までに30%に達すると予想されています。

業界リーダーとしての地位を維持するためには、新たなテクノロジー、プロセス、サービスを計画的に導入し、新興市場において差別化を図っていかなければなりません。

ドイツにあるDHL初のイノベーションセンターの成功を受け、次のステップとして今回シンガポールにAPICを開設したことは、イノベーションの先駆者として今後も業界の先頭に立っていく上で必然的なことでした。

イノベーションのハブであり、優れたインフラと質の高い労働力を持つシンガポールは、DHLがアジアで力強く安定的な成長を遂げるための本拠地として最適な場所であると言えます」と語った。

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ロジスティクスの未来に向け、「インスパイア」「コネクト」「エンゲージ」する

アジアパシフィック・イノベーションセンターでは、ガイド付きツアー、イノベーション・ワークショップ、イベント、フォーラムなど、様々なプログラムが提供され、見学者はその中から興味に合ったものを組み合わせて楽しむことができるようになっている。

また、展示エリアとしては、自動化やロボット技術がもたらす未来の働き方を紹介する最新式のメイン展示エリア、小包ロッカーやセンサー技術。

音声および照明を使ったピッキングシステムに至るまで、ドイツポストDHLグループが提供するあらゆるサービスやソリューションを体験できる「ソリューション・スフィア」エリア。

将来動向とロジスティクス業界への応用例を紹介する「トレンド・カーブ」エリア、そして2050年のロジスティクスの世界に出会える「ビジョン・ウォール」エリアなどがある。

自動運転車、ロボット技術、モノのインターネット(IoT)、拡張現実(AR)で、ロジスティクス業界に付加価値をもたらす

EDBのロジスティクス・天然資源担当ディレクターであるリー・エン・キート氏は、「APIC開設は、グローバルサプライチェーンソリューションの分野においてシンガポールの付加価値を高めるための重要な一歩となります。

世界中でサプライチェーンを取り巻く環境が変化し、新たな技術やトレンドが生まれている中、シンガポールはDHLを戦略的パートナーに迎え、新たなニーズやチャンスに対応できる態勢を整えています。

これにより、世界有数のロジスティクスハブとしてのシンガポールの地位は一層強化されるでしょう」と説明した。

当センターは、すでに大きな成功を収め、今年新しく生まれ変わったドイツのイノベーションセンターをモデルに設立された。

アジアパシフィック・イノベーションセンターは、アジア市場を対象としたDHL第二のイノベーションプラットフォームとして機能するだけでなく、分析手法、電子商取引、エンドユーザーと称される末端顧客までの配送に関連する技術やサービスへの新たな投資判断にも活用していく構えだ。

アジアパシフィック・イノベーションセンターの画像

DHLサプライチェーン株式会社
本社所在地:東京都品川区北品川4丁目7番35号
代表取締役社長:ギャビン マードック
DHLウェブサイト< http://www.dhl.co.jp >