エイブリック、世界最小の車載用LDOレギュレータを発売。小型化と車載品質確保を両立へ


セイコーインスツルの半導体事業を継承するアナログ半導体専業メーカーのエイブリック株式会社(旧エスアイアイ・セミコンダクタ、本社:千葉県千葉市、社長:石合 信正、以下:ABLIC)は2月5日より、世界最小(0.8×0.8×0.41mm)車載用LDOレギュレータ「S-19251シリーズ」の発売を開始した。

このLDOレギュレータは、出力電圧を一定に保つよう制御するIC。新製品「S-19251シリーズ」は、5.5V入力、1.0〜3.5V出力、消費電流20μA、105℃動作、150mA 出力電流の車載用LDOレギュレータとなっている。

具体的には、世界最小である車載用パッケージ「HSNT-4(0808)B (0.8×0.8×0.41mm)」<2018年1月、同社調べ 。車載用LDOレギュレータ用パッケージとして>を採用しており、この小型化設計により、市場からの強い小型化要求に応えた。

また小型でありながらも低消費電流20μAを実現。さらに、車載ICの品質規格「AEC-Q100」に対応しており、アメリカ自動車工業会 (AIAG) が定める「生産部品承認プロセス(PPAP)」にも対応可能な製品とした。

近年、自動車の多機能化や電装化が進み、各種モジュールの搭載部品点数が大幅に増加しつつある。

しかし軽量化やデザイン性の観点からモジュールの基板を大きくすることはなかなか許容されない。そのため、モジュールに搭載される部品には、小型化の要求が高まっている。

しかし従来設計のLDOレギュレータでは、小型化と車載品質確保の両立は困難で、今回は同社のパッケージ小型化技術を最大限活用することで、小型化と車載品質確保の両立を実現したと云う。

なお主な製品特長は以下の通り

1.世界最小、高放熱のHSNT-4(0808)Bパッケージの採用
新開発のHSNT-4(0808)B (0.8×0.8×0.41mm)は超小型でありながら、車載製品に求められる高い信頼性を確保した。

また放熱板を有しており、熱を直接プリント基板へ放出するため、高い許容損失が得られる仕様とした。

製品ラインナップとしてHSNT-4(1010)B(1.0×1.0×0.41mm)とSOT-23-5が用意され、使用用途に合致したパッケージの選択も可能となっている。

2.アウターリードの採用による優れた実装性を実現
実装性に優れた世界最小車載用パッケージHSNT-4(0808)BとHSNT-4(1010)Bは、リードが外に出ているアウターリードタイプのため、実装が容易で、実装強度が高く、実装後の自動外観検査が可能。

また、HSNT-4(1010)Bは、一般的に用いられるノンリードタイプの小型パッケージ4ピンDFNとランドパターンを同一にすることができる。

3.車載品質の確保
「S-19251シリーズ」では、三温度テスト(低温、常温、高温)を実施、また、車載電子部品評議会(AEC)による各種の信頼性・品質評価試験である「AEC-Q100」にも対応予定としている。

さらに、PPAP(生産部品承認プロセス)にも対応可能で、自動車等の過酷な環境での品質を担保すると云う。

4.小型ながら低消費電流20μAと高リップル除去率75dBの両方を実現
長年培った回路技術により、小型でありながらLDOレギュレータに求められる低消費電流20μAを実現した。さらにリップル除去率75dBとノイズ特性にも優れている。

【主な仕様】
・ 出力電流:150mA
・ 出力電圧:1.0V〜3.5V (0.05V Step)
・ 入力電圧:1.5〜5.5V
・ 出力電圧精度:±2.5%(Tj = −40°C ~ +105°C)
・ 動作時消費電流:20 μA typ.
・ リップル除去率:75 dB typ. (1.2 V出力品、f = 1.0 kHz時)
・小型パッケージ
– HSNT-4(0808)B (車載用世界最小パッケージ*1)
– HSNT-4(1010)B
– SOT-23-5
・ AEC-Q100対応
・ PPAP対応可能

【用途例】
・メータ、ボディ、ヘッドランプ、ITS、アクセサリ、カーナビゲーション、カーオーディオ等

データシートURL
https://www.ablicinc.com/jp/doc/datasheet/automotive_voltage_regulator/S19251_J.pdf 

製品Webサイト
https://www.ablicinc.com/jp/semicon/ 

なお旧社名:エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社であった同社は2018年1月5日に、エイブリック株式会社に社名変更して営業を開始している。

エスアイアイ・セミコンダクタは、2015年9月にセイコーインスツル株式会社(社長:村上斉、本社:千葉県千葉市、以下:SII)の半導体事業を分社化し設立。

2016年1月に株式会社日本政策投資銀行(本社:東京都千代田区、社長:柳 正憲、以下:DBJ)の共同出資(出資比率SII60%・DBJ40%)を受け、事業を行ってきたが、上記同日にSIIが保有する当社株式をDBJに譲渡し、DBJが当社株式の70%を保有する筆頭株主となったことを機に、アナログ半導体の専業メーカーとしての成長拡大を目指して社名変更を実施した。

新社名とした「エイブリック」は、(英文: ABLIC Inc./中文: 艾普凌科有限公司)ABLE(~ができる)と、IC(Integrated Circuit)を組み合わせた造語で、半導体技術で不可能を可能にするという意味を込めたと云う。

ちなみにロゴにあるマークは、成長を表す上向きの矢印とICを表す◆を組み合わせ、社名の頭文字「A」を表現するとともに、半導体で社会の成長を目指すという企業姿勢を表したものだとしている。

会社概要
商号:エイブリック株式会社(英文名:ABLIC Inc.)
社名変更日:2018年1月5日
営業開始:2016年1月
本店所在地:千葉県千葉市美浜区中瀬1‐8
資本金:9,250百万円
事業内容:アナログ半導体製品の設計、開発、製造および販売
代表者:代表取締役社長 兼 CEO 石合 信正
従業員数:880名(2018年1月5日現在)
ウェブサイト:http://ablicinc.com 
株主: 議決権比率
– 株式会社日本政策投資銀行 70%
– セイコーインスツル株式会社 30%