アルパインとゼンリン、宗像市の公共ライドシェア実証に参画


アルパインマーケティング(本社:東京都大田区、代表取締役:酒井龍哉)とゼンリン(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:竹川道郎)は4月21日、福岡県宗像市で運行を開始する「宗像版公共ライドシェア」実証事業に参画した。

この実証事業は国土交通省「令和7年度日本版MaaS推進・支援事業(観光促進型)」の対象事業として選定を受け実施するもの。

「宗像版公共ライドシェア」実証事業は、地域公共交通の維持と再編を目指す福岡県宗像市の取り組み。

バスやタクシーの運転手不足、それに伴う路線維持の困難さといった地域公共交通の課題が全国で顕在化するなか、宗像市では市内のタクシー会社と連携し、自治体が運営する新たな公共ライドシェアサービス「むなりんく」の運行を開始する。

車両は、タクシー会社が保有する遊休タクシーを活用し、運転はタクシー会社のドライバーや国が定めた講習を受講したドライバーが担当する。

この実証により、宗像市では交通空白地域に於ける人の移動の効率化や、二次交通の不足による観光周遊の困難さの解消を目指す。

実証にあたり公共ライドシェアのサービス名として打ち出した新たな「むなりんく」とは、宗像市内の一定のエリア内に於いて、自宅までの配車依頼や、目的地までの一定料金での移動を可能とする乗合型の公共ライドシェアサービスを指す。

電話で予約でき、将来的には専用のアプリも導入する予定を計画している。乗合型とすることで、より効率的な輸送が実現できることに地域では期待を寄せている。

ちなみにアルパインマーケティングとゼンリンはこれまで、それぞれが全国各地の自治体と連携し、人やモノの移動に関する課題解決に向けた取り組みを実施してきた。

そうした経緯から当該事業では、アルパインマーケティングが、顧客(市民)の困りごとやタクシー会社のニーズなどを深く理解し、ソリューションを企画、事業の全体構想と運営サポートの役割を担う。

対してゼンリンは、これまで多くの自治体や企業と地図ソリューションを通じてまちづくりの課題解決を推進してきたノウハウや知見を活用し、事業の全体統括・地図データ提供・運行分析システム構築の役割を担うという。

アルパインマーケティングとゼンリン、両社の役割概念

上記を前提に実証事業にあたり、アルパインマーケティングとゼンリンは公共ライドシェア向けアプリ・システムの開発を行う。

それはオンデマンドでの配車予約と配車指示を実現し、ユーザーと事業者の利便性を向上させる「配車アプリ・システム」の他、車両の移動データ等を可視化する「運行分析システム」の開発も計画している。

この際、ゼンリンの地図データと車両の移動データを重ね合わせることで、利用者の移動傾向やニーズを正確に把握し、地域交通の維持・改善に向けた施策検討を支援する。併せて今後、段階的に実証事業に於ける改善策の導入を進めていく構えだ。

また今後の展望については、今回開発する配車アプリ・システムを通じて公共ライドシェア・乗合タクシー・タクシーの異なる交通手段の配車をワンストップで実現する機能も実装そしていく予定とした。

両社は、宗像市での実証事業を通し、地域公共交通のニーズを広く汲み取ることで、住民・交通事業者・自治体それぞれの課題を解決するまちづくりを支援する。

併せてアルパインマーケティングとゼンリンは同様の課題を抱える全国の自治体に向け、公共ライドシェア向けアプリ・システムの全国展開も目指していきたい考えとしている。