チャンピオンシップを争うオジエとエバンスが大接戦
11月8日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリージャパン」の競技3日目デイ3が、愛知県豊田市の豊田スタジアムを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(GR YARIS Rally1 17号車)が首位を堅守。
*トップ写真は、17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車) は総合2位に、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)は総合4位に。
カッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(69号車)は総合7位に順位を上げた。なお、前日総合2位の勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)はデイリタイアとなった。
ラリージャパンのデイ3は、愛知県と岐阜県が戦いの舞台に。愛知県豊田市の小原エリアに今年新たに設けられた「オバラ」、昨年も使われた岐阜県の「エナ」と「マウント・カサギ」のステージを、岐阜県の恵那峡ワンダーランドに設定されたTFZ(タイヤフィッティングゾーン)での簡易的なサービスを経て、各2回を走った。
更に一日の最後には、豊田スタジアム近くの矢作川河川敷に新設された「トヨタ・シティSSS」を走行。7本のステージの合計距離は121.91kmと4日間で最長の一日となった。
デイ3は、やや雲が多いものの青空も見え、路面コンディションは概ねドライ。しかし路肩から舗装路に流れ出した泥や落ち葉により、一部の路面は非常に滑りやすい状態。
デイ2でチームメイトの勝田選手、エバンス選手と激しい首位争いを続け、総合2位の勝田に7.9秒差をつけてトップに立ったオジエ選手は、午前中の3本のステージを3、5、4番手タイムで走行。
一方、オープニングのSS8「オバラ1」で2番手タイムを記録し、勝田選手を抜き総合2位に順位を上げたエバンス選手は、SS9「エナ1」でも2番手タイム。
午前中最後のSS10「マウント・カサギ1」ではベストタイムを刻み、首位オジエ選手との差を2秒まで縮めた。
デイ3はミッドデイサービスの設定がなく、恵那峡ワンダーランドでのTFZを経て午後の再走ステージがスタート。
午後1本目のSS11「マウント・カサギ2」でもエバンス選手がベストタイムを記録し、このステージ2番手タイムだったオジエ選手との差を1.4秒まで縮めた。
一方、SS9で3番手タイムを、SS10で2番手タイムを刻みエバンス選手と3.2秒差の総合3位につけていた勝田選手は、SS11でコーナリングラインがワイドに脹らみバリアに激突。
クルマのステアリングシステムにダメージを負い4分程度タイムを失った。その後、勝田選手はリエゾン(移動区間)でダメージの修理を試み、順位を大きく下げながらも残るステージを通常に近いペースで走行。
しかし、タイムコントロールに、タイムリミットを越えてチェックインしたことにより、デイリタイアという形で一日を終えることになった。
勝田選手の後退により、首位争いはオジエ選手とエバンス選手の一騎打ちに。再走ステージ2本目のSS12「エナ2」、続くSS13「オバラ2」ではオジエ選手が連続でベストタイムを記録したことで、総合2位エバンス選手との差を4.9秒に拡大した。
更に一日の最後に行なわれたSS14「トヨタ・シティSSS」でも、オジエ選手は2番手タイムのエバンス選手に1.6秒差のベストタイムをマークし、差を6.5秒に拡げて首位を守った。
Rally1車両でのラリージャパン出場で、今回が初となるパヤリ選手は、一日を通して3〜5番手のタイムでステージを走行。総合3位のアドリアン・フォルモー選手(ヒョンデ)と21.8秒差の総合4位で一日を終えた。
また、前日のデイ2でガードレールに接触し、左リヤサスペンションにダメージを負って大きく遅れたロバンペラ選手は、一日を通して5、6番手のタイムで走行。総合17位から、総合7位まで順位を大きく挽回した。
GR Yaris Rally2で出場の、2025年WRC2王者オリバー・ソルベルグ選手(スウェーデン/プリントスポーツ)は、Rally2クラストップを守り、総合では8位に順位を上げた。
また、同じくGR Yaris Rally2で出場のアレハンドロ・カチョン選手(スペイン/トヨタ・スペイン テオ・マルティン・モータースポーツ)はソルベルグ選手に次ぐRally2クラス2番手、総合9位につけ、サポート選手権のWRC2では首位の座を堅持。2位のライバルとの差を26.9秒に拡げた。
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<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
今日もまた非常にエキサイティングな一日になり、私はセブとエルフィンの戦いを心から楽しんでいます。
もちろん神経が少しすり減ることもありますが、世界最高のドライバー二人が同じクルマで競い合う姿は見応えがあり、明日も最後まで非常に興味深い展開になるでしょう。
貴元も非常に調子が良かっただけに、彼自身もちろん今回の結果を非常に残念がっています。ほんの小さなミスだったので、サービスに戻ってきた彼をしっかりとハグして励ましました。
私もホームラリーで何度もリタイアを経験した後、ようやく優勝することができたので貴元の気持ちはよく分かりますし、決して良い気分ではないと思いますが、彼が決して諦めないことを私は知っています。
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<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
全体的には良い一日でした。午前中は順調に進み、昨日よりもはるかに好調でした。多分、よりスムースな運転をすることができたので、セブとの差を縮めることができたのだと思います。
午後も、最初の2本のステージでは良い走りを続けることができましたが、最後の2本のステージでは、想定していた以上に差を広げられてしまいました。それでもまだ差はごく僅かですし、明日も勝負は続きます。
非常に厳しい天候になる可能性もあるようなので、何が起こるかわかりませんし、もちろん私たちは戦いを続けます。
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<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)>>
少なくとも、ポイントを獲得することが可能なトップ10に戻ってくることができて良かったです。
その点では、今日はなかなか良い一日でした。明日はスーパーサンデーとパワーステージの追加ポイントを獲得することも可能ですが、雨が降りそうなので状況はさらに複雑になりそうです。
今年のウェットタイヤをこのようなコンディションで経験したドライバーは多くないため、新たな挑戦になると思います。
チャンピオンシップの行方が懸かっているため、興味深い一日になるでしょう。また、当面の間、自分がターマックステージをラリーカーで走るのはこれが最後になるので、楽しみたいと思います。
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<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)>>
午後の走りは良かったと思いますが、午前中はもっといい走りができたはず…というのが今日の総括です。結局のところ、今日の結果に満足していないとは言えません。
エルフィンは非常に速いペースで素晴らしい走りをしていました。午前中は特にループの最後のステージで遅れを取りすぎましたが、その後かなり挽回することができました。
タイム差は依然として信じられないほど小さいですが、最終日を首位で迎えられるのはポジティブなことに違いありません。明日は、おそらく誰にとってもさらに厳しいコンディションになると思うので、最初から集中して臨む必要があります。
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<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
午前中はトップとの差を縮めていましたが、運転していてそれほど速いとは感じていませんでした。
午後の最初のステージでは、何が起こったのか正確には分かりませんが、アリーナセクションの狭い入口で十分に減速することができませんでした。
その結果バリアに接触し、冷却システムとパワーステアリングシステムが破損してしまいました。
可能な限りの修理を試み、アーロンがチームからの情報を基に素晴らしい仕事をしてくれた結果、一日を走り終えることはできたのですが、あまりにも多くタイムを失ってしまいました。今はチーム、そして特に、応援してくれているファンの皆さんに申し訳なく思っています。
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<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
今日も堅実に一日を終えることができました。ほとんどのステージで安定したタイムを刻み、いくつかの区間では速さを示すこともできました。
それと同時に、改善の余地があると感じたところもありましたが、それは当然のことです。全体として、自分たちのペースにはかなり満足しています。
ラリーはまだ一日残っていますし、雨が降って難しいコンディションになりそうなので、チームと相談しながらどのようにアプローチすべきか決めたいと思います。
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<<ラリージャパン デイ3の結果>>
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h32m55.0s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +6.5s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +23.6s
4 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +45.4s
5 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m34.5s
6 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +4m39.6s
7 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +6m27.9s
8 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +6m40.6s
9 アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m54.9s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m21.8s
22 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +34m31.7s
(現地時間11月8日20時45分時点のリザルト。最新リザルトはwww.wrc.comを参照されたい)
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<<明日のステージ情報>>
ラリー最終日となる9日(日)のデイ4は愛知県が戦いの舞台に。SS15「ヌカタ1」、SS16「レイク・ミカワコ1」というラリージャパン定番の2本のステージを走行した後、岡崎市の中央総合公園で「オカザキSSS」がSS17、18として2本連続で行われる。
その後、ステージに隣接するエリアでのTFZを経て、午後はSS19「ヌカタ2」、SS20「レイク・ミカワコ2」と2本のステージを再走。
最終ステージとなるSS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。4本のステージの合計距離は72.38km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は198.61kmとなる。
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