当媒体に於いて先の3月5日に報じた通り、フランスのグループPSA(本社:フランス・パリ、CEO:カルロス・タバレス、以下、PSA)は、米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)から英国時間の3月6日、同社欧州部門のオペル買収を正式発表した。
売却は年内に完了する見込み。買収額は、額面に含まれるGMの欧州金融事業も含め、総額22億ユーロ(約2650億円)に達する。
具体的な買収額の内訳は、独オペルに加え、英ボクソール買収に13億ユーロ。残りはファイナンス部門の取得分となる。但しファイナンス事業の半分は、フランスのBNPパリバが買い取る予定だ。
一方、GMは上記欧州部門の売却に伴い40億〜45億ドル(約4550億〜5120億円)の非現金費用を計上。さらにGMは、オペルの年金債務の大半を引き継ぎ、同債務の一部として30億ユーロをPSAに支払うことになった。
結果、GMは欧州市場からの完全撤退となり、世界販売台数で4位に転落する。新たな3位の座には、三菱自動車工業を獲得したルノー・日産アライアンスが座る。
但し、欧州市場に限るとPSAの市場シェアは約17%に拡大することから、独・フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ2位に踊り出る。
また今発表に併せ、会見に於いてはPSAがGMとの協力関係を強化していく意向で、具体的には先にGM・ホンダが打ち出した米国内に於ける燃料電池ユニット生産の共同出資会社から、この基幹システムを調達する可能性を示唆した。
これによりPSAのカルロス・タバレスCEOは、早々にグループの生産性を上げて収益力を高める策を実行するだろう。
実際、同氏は事業統合に伴う共同開発や工場投資の分担。購買のコストの一本化を通じて、2026年までに年17億ユーロのコスト節減を見込んでいると述べていた。
但しこの措置を敢行するためには、約16億ユーロの投資が必要になる。そして最終的には、オペル部門のみで来る2020年までに営業利益率2%、次いで2026年までには同6%の達成を目指すとしている。
ちなみにPSAは欧州地域で14の生産工場を構え、そこで働く従業員は139,000人。これにオペル8工場・38,510人と、英国ボクソールの2工場・4,500人が加わる。
なかでもこの英国内にある2つの生産拠点は、生産効率自体はとても高い。しかし車両の部品調達が課題で、約6割から7割近くが英国外から納入されており、昨今の英国のEU離脱に伴う状勢が、短期的な行く末を不透明にしている。従ってこれらの生産拠点で働く従業員達は、今買収に伴う生産拠点の削減を心配しているようだ。
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